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賃貸用不動産を相続したときの相続税評価

1 賃貸物件の相続税はなぜ評価が下がるのか?

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

賃貸物件は自宅などの「自用不動産」とは異なり、相続税評価額が低くなるケースが多くあります。理由は、「貸している=自由に使えない」ため、経済的価値が制限されていると判断されるからです。

賃貸物件の相続税評価には、次の3つの要素が影響します:

  • 借地権割合

  • 借家権割合

  • 賃貸割合(入居率)

賃貸不動産 (2)


2 建物の相続税評価額はどう決まる?


No.4614 貸家建付地の評価(貸家が建つ土地の評価)

2-1.固定資産税評価額がベース

相続税評価額の算定は、「固定資産税評価額」をベースに計算されます。賃貸中の場合は、以下の式で評価額が下がります。

建物の評価式:
固定資産税評価額 ×(1-借家権割合×賃貸割合)


2-2.【新しい例】アパートの建物評価

  • 固定資産税評価額:5,400万円

  • 借家権割合:30%(法令により一律)

  • 賃貸割合:75%(全8室中6室が賃貸中)

計算式:
5,400万円 ×(1-0.3×0.75)=5,400万円 × 0.775=4,185万円

したがって、この建物の相続税評価額は4,185万円になります。


3 土地(貸家建付地)の評価方法

賃貸物件が建っている土地は「貸家建付地」とされ、以下の式で評価額を圧縮できます。

土地の評価式:
自用地価格 ×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)


3-1.【新しい例】土地の評価

  • 自用地価格:4,800万円

  • 借地権割合:60%

  • 借家権割合:30%

  • 賃貸割合:75%

計算式:
4,800万円 ×(1-0.6×0.3×0.75)=4,800万円 × 0.865=4,152万円

この土地の相続税評価額は4,152万円になります。

 


4 賃貸割合と床面積の確認方法

4-1.賃貸割合の確認

  • 全体の床面積:400㎡

  • 入居中の部屋の床面積:300㎡
    → 賃貸割合:300㎡ ÷ 400㎡ = 75%

空室が一時的で、入れ替えによるものである場合は、判断によって賃貸扱いに含められるケースもあります。

4-2.面積の確認方法

登記簿謄本または登記事項証明書で「専有部分の面積」を確認可能です。


5 ローンがある場合の控除

賃貸物件にローンが残っている場合、その残高は「債務控除」として相続財産から差し引けます。

5-1.【新しい例】

  • 評価額合計(建物+土地):4,185万円+4,152万円=8,337万円

  • アパートローン残高:6,000万円

→ 差引:8,337万円-6,000万円=2,337万円

基礎控除(相続人1人):3,000万円+600万円×1人=3,600万円

→ 課税対象にならず、相続税は発生しない可能性あり


6 小規模宅地等の特例でさらなる節税

6-1.概要


No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

賃貸事業用の土地に関しては、一定の条件を満たすことで、最大200㎡までの評価額を50%に減額できます。


6-2.【新しい例】

  • 対象土地面積:180㎡(特例適用可)

  • 評価額:4,152万円
    → 減額後:4,152万円 × 50%=2,076万円


7 まとめ

賃貸用不動産は評価が圧縮される要素が多く、生前の相続対策により、相続税が減少する可能性があります。

  • 借家権割合や借地権割合の把握

  • 賃貸割合と床面積の確認

  • 小規模宅地等の特例活用

  • ローンによる債務控除

 

コラム最下署名

相続税の専門院

飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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相続税評価額の基本と計算方法|土地・建物・預金・株式などの評価

1 「相続税評価額」とは?

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

相続税評価額とは、相続税を計算するために国が定めた“評価のルール”に基づいて算出される金額です。

現金や預金であれば「相続開始時(被相続人が亡くなった時等)の残高」で評価できますが、不動産や株式などは「市場価格」と「評価額」に、原則としてズレが生じるため、一定の計算ルールが用意されています。

たとえば1億円の土地でも、評価額は8,000万円以下になることもあります。

なぜ相続税評価額を正確に把握する必要があるのでしょうか?
相続税の申告義務は、相続財産の合計額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に発生します。評価額を正しく算出できなければ、申告の必要性すら判断できません。また、過大評価による無駄な税金の支払いや、過少評価による税務調査のリスクも避けられます。

建物


2 土地の評価方法は2種類|路線価方式と倍率方式

2-1. 路線価方式

情報元:国税庁  土地家屋の評価(相続税評価額の基本)

情報元:国税庁 路線価方式による宅地の評価

国税庁が毎年7月に公表している「路線価」に、土地の面積と持分割合をかけて算出します。

実務的には次の式の減額割合の部分に専門性が必要であり、相続税が難しいといわれる理由でもあります。

計算式:

地積 × 路線価 × 持分 × 減額割合= 相続税評価額

例)200㎡ × 180,000円 × 1/2 = 1,800万円

用意するもの:

  • 固定資産税の納税通知書(地積確認)

  • 登記簿謄本(持分割合の確認)

  • 国税庁の路線価図(路線価の確認)

路線価評価について >

2-2. 倍率方式(市街化調整区域や郊外)

情報元:国税庁 倍率方式による土地の評価

固定資産税評価額に、国税庁の倍率表に記載された「倍率」を掛けます。

倍率評価だとしても、簡単というわけではなく、どの倍率を適用するのか、雑種地の評価をどうするか等、難しい論点もあります。

計算式:

固定資産税評価額 × 倍率 × 持分 = 評価額

例)1,000万円 × 1.1 × 1/1 = 1,100万円


3 土地の評価を下げるための減額要素とは?

土地の相続税評価は、さまざまな事情に応じて減額されることがあります。

3-1. 貸家建付地

アパートや貸家が建っている土地は、約20%の評価減。

賃貸用不動産について >

3-2. 借地権・借家権

借りている土地や貸している建物の権利部分も評価に影響。借地権割合や借家権割合を考慮します。

3-3. 地積規模の大きな宅地

500㎡以上の広大な土地は、最大35%以上の評価減となる可能性もあります。
情報元:国税庁 地積規模の大きな宅地の評価

3-4. 小規模宅地等の特例

一定の要件を満たす自宅や事業用の土地は、最大80%の評価減が認められます。

小規模宅地等の特例について >

3-5. 評価減適用時の注意点

これらの減額特例を適用する際は、要件の確認が重要です。特に小規模宅地等の特例は、居住継続要件や事業継続要件など、厳格な条件があります。適用要件を満たさない場合、後から特例が否認され、追徴税額が発生する可能性もあるため、事前の入念な検討が必要です。

土地


4 建物の評価方法は「固定資産税評価額」でOK

建物の評価は、固定資産税評価額でシンプルに行われます。

  • 自己使用 → 固定資産税評価額

  • 賃貸中 → 固定資産税評価額 × 70%

固定資産税評価額は、各自治体から送られる「納税通知書」で確認できます。


5 金融資産の評価方法まとめ

5-1. 預金

普通預金:相続開始日時点の残高
定期預金:残高+既経過利息

5-2. 上場株式

情報元:国税庁 上場株式の評価

相続発生日を含む以下4パターンのうち「最も低い株価」を採用。

  • 相続開始日の終値

  • 当月の平均

  • 前月の平均

  • 前々月の平均

上場株式の評価について >

5-3. 投資信託

基準価額 × 口数 – 解約時の税金や手数料

投資信託の評価について >

5-4. 非上場株式

純資産価額方式、類似業種比準価額方式、配当還元方式など複雑な評価。税理士による個別評価が必須。

5-5. その他の資産

生命保険金:500万円×法定相続人数の非課税枠あり
退職金:500万円×法定相続人数の非課税枠あり
ゴルフ会員権:時価の70%程度で評価
貴金属・宝石:鑑定価額や売買実例価額

みなし相続財産について >


6 時価との違いに注意!相続税評価額は低めに設定されている

相続税評価額は、原則として時価の8割程度。これは納税のしやすさや、不動産の換金性を考慮したものです。

区分概算比率(例)
時価100%
相続税評価額約80%
固定資産税評価額約70%

7 相続税評価額の理解が、相続対策の第一歩

不動産を中心とした相続財産を把握するためには、「評価額の正しい理解」が欠かせません。

評価の仕方ひとつで、相続税が数百万円単位で変わることもあるのが現実です。

特に土地評価の計算や減額特例は専門的で複雑なので、「土地をどう評価するか」で節税の成否が決まると言っても過言ではありません。


8 まとめ

  • 相続税評価額は、資産の「時価」ではなく、評価基準に基づいた金額で算出される。

  • 土地の評価には「路線価方式」と「倍率方式」の2種類がある。

  • 減額特例や小規模宅地の特例を活用すると、大幅な評価減が可能なケースも。

 

コラム最下署名

相続税の専門院

飯野明宏税理士
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飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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相続人とは誰のこと?定義・順位・代襲相続まで徹底解説

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

今回は、「相続人って誰?」「自分が相続人にあたるのか不安」といった声にお応えして、相続人の定義・順位・代襲相続・養子の扱いまで、相続の出発点となる基礎知識を徹底解説します。図解や具体例も交えて、できるだけわかりやすくまとめています。


1 相続人とは?定義と基本用語の理解

相続とは、亡くなった方(被相続人)の財産を、法律に基づいて特定の人が引き継ぐことを言います。その引き継ぐ側の人を「相続人」といいます。

相続に関わる基本用語

  • 被相続人:亡くなって財産を遺す人
  • 相続人:財産を受け継ぐ人(遺族など)

法定相続人:民法により定められた相続人

指定相続人:遺言により指定された相続人

これらの用語の理解が、手続きや税務処理を円滑に進めるうえで重要です。特に「法定相続人」は、相続税の基礎控除や遺産分割協議の出発点となるため、正確な認識が不可欠です。


2 相続人の順位と相続権のある人たち

民法では、相続人になれる人には順位があり、下記のように定められています。配偶者は常に相続人ですが、相続人には順位があります。

法定相続人の順位

相続人の順位と該当者・条件
相続順位該当者条件・備考
配偶者常に相続人子や親、兄弟姉妹と併存する場合もある
第1順位子(実子・養子)子がすでに死亡していれば代襲相続人(孫)が相続
第2順位直系尊属(父母・祖父母)子がいない場合のみ相続人となる
第3順位兄弟姉妹子も直系尊属もいない場合に限る

相続の具体例

  • ■妻と子2人がいる場合:妻と子2人が相続人
  • ■妻と親(父母)のみ:妻と親が相続人
  • ■妻と兄弟姉妹のみ:妻と兄弟姉妹が相続人

これらは実際の現場でも頻出するパターンです。戸籍調査や関係図の作成を通じて、正確な相続人確定が求められます。

相続人達


3 代襲相続とは?甥や姪にも相続権がある?

代襲相続(だいしゅうそうぞく)」とは、本来相続人となる人が相続開始前に死亡していた場合、その人の直系卑属(子や孫)が代わりに相続する制度です。

代襲相続の仕組み

  • ■子が死亡していた場合、その孫が相続人となる
  • ■兄弟姉妹が相続人のとき、その人が死亡していれば甥・姪が代襲相続人になる
  • ■ただし、兄弟姉妹の代襲相続は1代限り

よくある質問

  • Q:孫はいつでも相続人になる?
    • A:基本的には代襲相続のときだけ。子が健在なら孫には相続権なし。
  • Q:甥・姪は代襲相続人?
    • A:兄弟姉妹が相続人で、かつ死亡している場合に限る。

代襲相続について >


4 養子は相続人になる?実子との扱いの違い

養子も法的には「子」として扱われ、実子と同じく相続順位の第1順位に位置づけられます。

養子の種類と相続権

  • ■普通養子縁組:実子と同じ相続権あり
  • ■特別養子縁組:親子関係がより強く、実子同等の相続権
  • ■事実上の養子(非法律婚):法的相続権なし

相続税法上の注意点

相続税の計算では、「法定相続人の数」に含められる養子の人数が制限される場合があります。

  • ■実子がいる場合:養子1人まで含められる
  • ■実子がいない場合:養子2人まで含められる

これを超える養子は「法定相続人」としてカウントされません。

5 法定相続人の調査と相続人の確定

相続手続きの最初のステップは、「誰が相続人であるか」を正確に確定することです。以下の作業が必要になります。

相続人確定のプロセス

  • ■被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得
  • ■相続人候補全員の戸籍を確認
  • ■養子縁組、婚姻、認知、離婚歴などの確認

相続人確定の実務上の意味

  • ■遺産分割協議の有効性:相続人全員の同意が必要
  • ■相続税の基礎控除
    • □計算式:3,000万円+600万円×法定相続人の数
  • ■相続放棄・限定承認の期限
    • □自分が相続人であると知った日から3ヶ月以内

6 相続人に関する誤解と実際の注意点

よくある誤解

  • 「内縁の妻にも相続権があると思っていた」
    • →法律婚でなければ、相続権はありません(遺言書でカバー可)
  • 「孫は当然に相続人でしょ?」
    • →代襲相続でのみ相続人になり得ます

現場での注意点

  • 認知された非嫡出子も相続人になる
  • 相続人不在の場合は相続財産法人となり、特別代理人の選任が必要

7 まとめ|相続人を正しく理解して円満な相続を

相続人の定義や順位を理解することは、円満な遺産分割の出発点です。特に以下の点が重要です:

  • 配偶者は常に相続人であること
  • 子がいなければ、親や兄弟姉妹に相続権が移ること
  • 代襲相続の範囲は孫・甥姪までであること
  • 養子も条件を満たせば相続人になり得ること
  • 相続人の確定には戸籍調査が不可欠であること

誤解や思い込みによるトラブルを防ぐためにも、相続の開始時点で「誰が相続人か」を正確に確定しておくことが不可欠です。

富士市・富士宮市で相続に関してお悩みの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。専門家の視点から、円満な相続手続きのお手伝いをさせていただきます。

 

 

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飯野明宏税理士
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代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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はじめての相続税|全体像をやさしく解説

1 相続税とは?

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

この章では、「相続税とは何か?」を説明します。

相続税の計算 (2)

相続税とは何か?

相続税とは、人が亡くなったときに、その人の財産(家、土地、現金など)を引き継いだ人に課される税金です。 目的は、富の偏りを減らし、経済的なバランスを保つことです。また、亡くなった人が生前に得た利益に対して、最終的に課税する意味もあります。

【例】 ある人が1億円の資産を持って亡くなり、その全額を子どもが引き継いだとします。 子どもは何もせずに1億円を手に入れることになります。そのため、相続税によって一部を国が回収し、社会全体の公平性を保とうとしています。

相続税の役割

相続税には2つの主な役割があります。

(1)所得税の補完
亡くなった人が生前に得た利益で蓄えた財産に、死亡のタイミングで税金をかける仕組みです。

(2)富の集中を防ぐ
一部の人に極端に多くの財産が集中するのを防ぐため、相続のたびに税金をかけて調整します。

相続税の基本的な流れ

(1)人が亡くなる
(2)財産を調査する(家、土地、預金など)
(3)誰が財産を引き継ぐかを確認する
(4)一定の金額を超えた財産に相続税がかかる
(5)税額を計算し、申告と納税を行う

相続税は、単に財産に税金をかけるだけではなく、社会全体の公平性を保つための仕組みです。

次の章では、相続税の計算方法や考え方について詳しく説明します。

2 相続税の課税方式

相続税を実際に計算する際には、「どのように課税するのか」というルールを理解する必要があります。ここでは、日本の相続税の課税方式について説明します。

相続税計算

課税方式の種類

相続税には、次の2つの基本的な課税方式があります。

(1)遺産課税方式:亡くなった人が残した財産全体に対して税金を計算する方法。 (2)遺産取得課税方式:相続人が受け取った財産の金額に応じて税金を計算する方法。

日本では、現在「遺産取得課税方式」が採用されています。

遺産取得課税方式の特徴

相続人ごとに取得した財産の金額に応じて、個別に相続税を計算します。 つまり、誰がいくら受け取ったかによって、それぞれの税額が変わります。

この方法には以下のような特徴があります:

  • 各相続人の取得額が反映されるため、税負担が公平になりやすい。
  • 高額な財産を取得した人ほど、高い税率が適用される。
  • 相続税の総額を一度計算し、それを実際の取得額に応じて分ける仕組み(法定相続分課税方式)を採用している。

なぜこの方式が採用されているのか?

この方式は、財産を多く受け取った人が多く税金を支払うことにより、社会全体の公平性を保つという考え方に基づいています。 また、税務上の不正(たとえば意図的に相続分を少なく申告するなど)を防ぎやすいという利点もあります。

次章では、実際にどんな財産に課税されるのか、そして課税対象にならない財産について説明していきます。

3 相続税がかかる財産とかからない財産

相続税はすべての財産にかかるわけではありません。この章では、相続税の対象になる財産(課税財産)とかからない財産(非課税財産)を明確に分けて説明します。

課税対象となる財産の例

以下のような財産は、相続税の対象になります。

  • 預貯金(銀行口座の残高)
  • 土地や建物などの不動産
  • 株式、投資信託などの金融資産
  • 車や貴金属、絵画などの動産
  • 未収金(貸したお金の返済がまだのもの)

また、「みなし相続財産」として、以下も課税対象になります:

  • 生命保険金(受取人が相続人の場合)
  • 死亡退職金(勤務先から支給されるもの)

これらは、民法上は相続財産ではありませんが、相続税の課税対象に含まれます。

非課税とされる財産

以下の財産は、相続税がかかりません。

  • 墓地、仏壇、位牌などの祭祀財産
  • 相続人が受け取った生命保険金のうち、非課税枠内の金額(500万円 × 法定相続人の数)
  • 死亡退職金のうち、非課税枠内の金額(同じく500万円 × 法定相続人の数)
  • 公的年金等の未支給分

判断のポイント

課税されるかどうかは、「経済的価値があるか」「被相続人の死亡によって取得したか」が判断基準になります。

次章では、相続税を計算する具体的な手順について説明していきます。

4 相続税の計算手順

この章では、相続税をどのように計算するかを、ステップごとに整理して解説します。

ステップ1:課税遺産総額の把握

まず、課税の対象となる財産(第3章で解説)をすべて評価します。 その合計から、「非課税財産」と「債務および葬式費用」を差し引いた金額が、課税遺産総額となります。

ステップ2:基礎控除の適用

課税遺産総額が「基礎控除額」を超えているかを確認します。

  • 基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

課税遺産総額がこの基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。

ステップ3:相続税の総額の計算

課税遺産総額を法定相続分で仮に分けたと仮定して、それぞれの相続人について税率を適用し、税額を計算します。

  • 税率は超過累進税率(10%〜55%)が適用されます。
  • すべての税額を合計したものが「相続税の総額」です。

相続税の税率は以下の通りです:

【相続税の速算表】
* 1,000万円以下:10%(控除額0円)
* 3,000万円以下:15%(控除額50万円)
* 5,000万円以下:20%(控除額200万円)
* 1億円以下:30%(控除額700万円)
* 2億円以下:40%(控除額1,700万円)
* 3億円以下:45%(控除額2,700万円)
* 6億円以下:50%(控除額4,200万円)
* 6億円超:55%(控除額7,200万円)

ステップ4:実際の取得額に応じた按分

実際の相続分(遺言や協議による)に基づいて、相続税の総額を按分します。

ステップ5:各種控除の適用

  • 配偶者の税額軽減
  • 未成年者控除
  • 障害者控除
  • 相次相続控除

これらの控除を適用したあとの金額が、最終的な相続税額となります。

【計算例】
被相続人:夫、相続人:妻と子2人、遺産総額1億円の場合

ステップ1:課税遺産総額 = 1億円
ステップ2:基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円×3人 = 4,800万円
課税遺産総額 = 1億円 – 4,800万円 = 5,200万円
ステップ3:法定相続分で計算
妻:5,200万円×1/2 = 2,600万円 → 税額315万円
子:5,200万円×1/4 = 1,300万円 → 税額125万円(各人)
相続税総額 = 315万円 + 125万円×2 = 565万円

このように段階的に計算していきます。

次章では、贈与税の仕組みと、相続との関係について説明していきます。

5 贈与税と相続の関係

贈与税は、相続税を補完する役割を持っています。この章では、贈与税の基本的な仕組みと相続税との関係について説明します。

贈与税の仕組み

贈与税は、生前に財産をもらったときに課される税金です。 対象となるのは、個人から無償でもらった財産で、年間110万円を超える部分です。

【贈与税の税率】
贈与税には「一般贈与財産」と「特例贈与財産」の2つの税率があります。

一般贈与財産(夫婦間、兄弟間など):
200万円以下:10%
400万円以下:15%(控除額10万円)
600万円以下:20%(控除額30万円)
…(以下省略)

特例贈与財産(直系尊属から20歳以上の子・孫への贈与):
200万円以下:10%
400万円以下:15%(控除額10万円)
…(税率が一般より優遇)

相続税との関係(生前贈与加算)

相続開始前7年以内に被相続人から贈与された財産は、相続税の計算に加算されます。 これを「生前贈与加算」と言います。

相続時精算課税制度

高額な贈与について、贈与時にまとめて税金を計算する制度です。 一度選択すると暦年贈与制度に戻すことができない点に注意が必要です。

  • 特別控除:2,500万円まで非課税
  • 税率:一律20%
次章では、申告や納税の手続きについて解説していきます。

6 申告と納税の手続き

相続税と贈与税には、必ず申告と納税が必要です。この章ではその流れと期限について説明します。

相続税の申告と納税

  • 申告期限:相続開始(死亡)から10ヶ月以内
  • 納税方法:現金一括が原則
  • 延納(分割払い)や物納(不動産などで支払う)も条件付きで可能

贈与税の申告と納税

  • 申告期限:贈与を受けた翌年の2月1日〜3月15日
  • 申告が必要な場合:110万円を超える贈与を受けたとき

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飯野明宏税理士
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大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

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相続税の税率と計算方法|課税価格ごとの税率・控除・計算例まで

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

「相続税はどのくらいかかるのか?」 この質問に答えるためには、「相続税の税率」を正しく理解する必要があります。

相続税は一律の税率ではなく、課税価格に応じて税率が上がっていく「超過累進課税制度」を採用しています。また、税率だけでなく「控除」や「特例」なども複雑に絡んでおり、全体像を把握するにはある程度の知識が求められます。

本記事では、相続税の税率とその計算方法を、税理士の視点からわかりやすく解説します。これを読めば、自分や家族に相続税がどれだけかかるのか、具体的にイメージできるようになるはずです。

1.相続税の税率は「超過累進課税」

相続税は、受け取る財産の総額によって税率が段階的に高くなる「超過累進課税方式」が採用されています。

以下は、国税庁が公表している「相続税の速算表」です。
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相続税の速算表(課税価格に応じた税率と控除額)
課税価格(超)課税価格(以下)税率控除額
0円1,000万円10%0円
1,000万円3,000万円15%50万円
3,000万円5,000万円20%200万円
5,000万円1億円30%700万円
1億円2億円40%1,700万円
2億円3億円45%2,700万円
3億円6億円50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

ポイントは、「財産全体に対して一律の税率がかかる」のではなく、課税価格の区分ごとに異なる税率が段階的に適用されるということです。

超過累進課税の具体例

例えば、課税価格が2,000万円の場合:
– 1,000万円まで:1,000万円×10%=100万円
– 1,000万円超2,000万円まで:1,000万円×15%=150万円
– 合計税額:250万円(控除額50万円を引いて200万円)

このように、全額に高い税率がかかるのではなく、段階的に税率が適用されます

2.相続税の計算ステップ

実際の相続税額を求めるには、以下のような手順を踏みます。

ステップ① 相続財産の総額を算出

土地・建物・預貯金・有価証券・生命保険金などを含めたすべての財産の評価額を合算します。生命保険金や退職金の一部も「みなし相続財産」として課税対象となります。

注意点
– 相続開始前3年以内の贈与財産も相続財産に加算されます
– 相続時精算課税制度を利用した贈与財産も含まれます
– 名義預金(被相続人が実質的に管理していた他人名義の預金)も課税対象です

ステップ② 債務・葬式費用を差し引く

住宅ローンや借入金、未払い税金などの債務、および葬儀費用を差し引きます。

ステップ③ 基礎控除を適用

課税遺産総額を算出するため、以下の基礎控除を引きます。

基礎控除額=3,000万円 +(法定相続人の数 × 600万円)

ステップ④ 法定相続分で按分して仮税額を計算

課税遺産総額を法定相続分どおりに分けたと仮定して、それぞれの取得分に税率を適用します。仮に、ここでは、「仮税額」と呼びます。

ステップ⑤ 実際の取得分に応じて本税額を算出

相続人ごとの実際の取得割合に応じて按分し、各自の納税額を計算します。

3.具体的な計算例

相続税の計算は文章で読むより、実際の数字で見たほうがイメージしやすくなります。

事例

  • 被相続人:父
  • 相続人:妻と子1人
  • 相続財産:1億円(預金7,000万円、不動産3,000万円)
  • 債務・葬式費用:なし(簡易化)
  • 法定相続人:2人

Step1:基礎控除の計算

3,000万円+600万円×2人=4,200万円

Step2:課税遺産総額

1億円-4,200万円=5,800万円

Step3:法定相続分で按分(配偶者1/2、子1/2)

  • 配偶者:2,900万円
  • 子:2,900万円

Step4:各自の仮税額を計算(税率15%、控除50万円)

2,900万円 × 15% − 50万円 = 385万円

各自の仮税額:385万円

合計税額:770万円

この770万円を、実際の取得分に応じて配分して納税します。

相続税の計算 (2)4.税率に関わる各種控除と特例

税率の影響を大きく緩和する制度として、以下のような控除・特例があります。

(1)配偶者の税額軽減

次のいずれか多い額まで、配偶者には相続税がかからないという特例です。

  • 1億6,000万円
  • 配偶者の法定相続分

ただし、この特例を利用する際は注意が必要です。配偶者が全財産を相続すれば一次相続では税負担がなくても、配偶者の相続(二次相続)では基礎控除が減り、結果的に税負担が重くなる場合があります。
配偶者控除について >

(2)未成年者控除

未成年の相続人には、20歳までの年数×10万円が控除されます。

(3)障害者控除

障害者の相続人には、一定の年数×10万円(特別障害者は20万円)の控除があります。
障害者控除について >

(4)小規模宅地等の特例

一定の要件を満たす居住用または事業用の土地については、最大80%の評価減を受けることができます。

**主な適用要件**
– 居住用:配偶者または同居親族が相続し、継続居住すること
– 事業用:事業を継続すること
– 面積制限:居住用330㎡、事業用400㎡まで
小規模宅地等の特例について >

(5)相次相続控除

10年以内に相次いで相続が発生した場合、一定の要件のもとで税額控除が適用されます。
相次相続について >

5.税率を意識した考え方

課税価格が高くなると税率が上がるため、財産を分割する・分散するという視点が重要です。

よく使われる対策例

  • 生前贈与:110万円までの非課税枠を活用
  • 養子縁組:法定相続人を増やすことで基礎控除が拡大
  • 不動産の共有相続:個別取得額を減らす
  • 遺言活用:相続分配を明確にし、争続を防止
  • 財産の評価見直し:評価方法の選択によって税負担が変わる

6.相続税の税率に関するよくある質問(FAQ)

Q. 税率は毎年変わりますか? A. 大きな税制改正がない限り、税率は急に変更されることはありません。ただし政治状況によっては変更される可能性もあります。

Q. 贈与税の税率と相続税の税率は違う? A. はい、異なります。贈与税はもらった人単位で、相続税は相続全体に対して課税されます。税率構造も異なります。また、贈与税の税率の方が相続税よりも圧倒的に高くなっています

Q. 相続税を払えないとどうなる? A. 延納や物納といった制度があります。

まとめ|相続税の税率は正しく理解すれば怖くない

相続税は、単に税率表だけを見て判断するのではなく、全体の仕組みを理解したうえで適切に計算することが重要です。

  • 税率は累進式で、段階的に上昇
  • 基礎控除や特例によって大幅に負担が軽減される
  • 配偶者・未成年者・障害者などの保護制度も充実

「うちは相続税がかかるのか?」等、相続について疑問をお持ちの方は、ぜひ、私たちにご相談ください。

 

 

コラム最下署名

相続税の専門院

飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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相続税対策としての養子縁組 効果と注意点

こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。

相続税の申告と聞くと、多くの方が「複雑で大変そう」と感じるのではないでしょうか。実際、遺産が一定の基準を超えると課税されるため、効率的な相続税対策は多くの方の関心事となっています。

その中でも「養子縁組」は、相続税を軽減する有効な手段として注目されています。しかし、安易に行うとトラブルの原因にもなりかねません。今回は、養子縁組が相続税に与える影響と、その効果・注意点について解説します。

1 養子縁組の基本:2つの種類を知ろう

相続税対策として養子縁組を検討する前に、まず養子縁組には「普通養子」と「特別養子」の2種類があることを理解しましょう。

普通養子縁組

実親との法的関係を保ちながら、養親との間に親子関係が成立する養子縁組です。一般的に行われる養子縁組で、当事者同士の同意があれば市区町村への届出だけで成立します。

特徴:実親と養親の両方から相続を受けることが可能

特別養子縁組

実親との法的関係が完全に切れる形で、養親との親子関係が成立する養子縁組です。子どもの福祉を目的としており、原則として15歳未満の養子縁組に限られ、家庭裁判所の審判が必要です。

特徴:養親からのみ相続を受ける(実親からの相続権は喪失)

どちらの養子縁組も法定相続人として認められ、相続分・遺留分は実子と同じ扱いになります。

2 養子縁組による相続税軽減の仕組み

では、なぜ養子縁組が相続税対策に有効なのでしょうか。主な理由を見ていきましょう。

1. 基礎控除額の増加効果

相続税の基礎控除額は以下の計算式で算出されます:

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の人数

養子縁組によって法定相続人の数が増えることで、控除額が拡大し、課税対象となる遺産額を減らすことができます。

具体例で見てみましょう

相続財産が4,500万円の場合:

  • 養子縁組前:法定相続人が配偶者と子1人の計2名
    • 基礎控除額:4,200万円(3,000万円+600万円×2)
    • 課税対象:300万円
  • 養子縁組後:普通養子を1人迎えて法定相続人が3名
    • 基礎控除額:4,800万円(3,000万円+600万円×3)
    • 課税対象:0円(相続税負担なし)

このように、法定相続人が1人増えるだけで600万円の控除額増加となり、大きな節税効果が期待できます。

2. 累進課税による税率の低減

相続税は累進課税方式を採用しており、相続額が増えるほど税率が高くなります。養子縁組によって相続人が増え、一人当たりの相続額が減少することで、より低い税率が適用され、全体の相続税負担が軽減される傾向にあります。

3. 生命保険金・死亡退職金の非課税限度額拡大

生命保険金や死亡退職金にも非課税枠があり、「500万円 × 法定相続人の数」で計算されます。養子縁組で法定相続人が増えると、これらの非課税限度額も増加し、相続税負担をさらに軽減できます。

4. 世代スキップによる節税効果

孫を養子にすることで、本来二世代で2回発生する相続税を、一世代スキップして1回の納付で済ませられる可能性があります。ただし、これには後述する注意点があります。

3 養子縁組を行う上での重要な注意点

養子縁組は有効な相続税対策となり得ますが、安易な養子縁組はトラブルの元となります。以下の注意点を必ず理解しておきましょう。

1. 養子の数に制限がある

相続税の基礎控除額の計算において、法定相続人としてカウントできる養子の数には制限があります:

  • 被相続人に実子がいる場合:養子は1人まで
  • 被相続人に実子がいない場合:養子は2人まで

ただし、特別養子縁組の場合、配偶者の実子を養子にした場合(連れ子養子)、代襲相続人である孫等を養子縁組した場合は、この制限に含まれません。

2. 過剰な養子縁組による税務リスク

節税目的で過剰な養子縁組を行うと、税務調査で否認される可能性が高まります。税務署に不自然と判断された場合、ペナルティ課税や調査が行われるリスクがあるため、法の範囲内での節税が求められます。

養親と養子との関係が実質的であること(例:生活を共にしている、定期的に関わりがあるなど)が重要視されます。

3. 孫を養子にした場合の2割加算

被相続人の孫を養子にした場合、その養子(代襲相続人を除く)が相続する財産には、相続税が2割加算される制度があります。これにより、必ずしも節税につながるとは限りません。

4. 家族関係への影響とトラブルリスク

養子縁組は、既存の家族関係に大きな影響を与え、相続人が増えることで遺産分割の際に争いの原因となることがあります。特に、本来の相続人の法定相続分が減ることや、特定の子の配偶者や子を養子にすることによる不公平感がトラブルを招くことがあります。

養子縁組は一度すると解消が容易ではないため、将来的な家族関係の変化も考慮し、慎重な判断が必要です。

5. その他の注意点

  • 養子の氏の変更:養子縁組により、養子の氏(名字)が養親の氏に変更されることがあります
  • マイナスの財産も相続対象:借金などのマイナスの財産も相続の対象となります
  • 相続人が減るケース:特殊なケースとして、養子縁組によってかえって相続人の数が減り、相続税が増える可能性もあります

4 他の相続税対策との効果的な組み合わせ

養子縁組は、他の相続税対策と組み合わせることで、さらに効果を高めることができます。

遺言との組み合わせ

遺言を活用することで、財産の分割方法や養子への承継に関する明確な意思を示すことができ、相続トラブルを未然に防ぐことが可能です。養子縁組による基礎控除のメリットを享受しつつ、計画的な承継を進めるためにも、遺言書の作成が推奨されます。

民事信託(家族信託)との組み合わせ

民事信託は、相続財産の管理や承継をより柔軟に行うための手段です。養子縁組と民事信託を組み合わせることで、節税だけでなく、財産の承継と管理の一貫性を保ちながら、より効果的に相続税対策を行うことが可能です。

5 まとめ:専門家への相談が成功の鍵

養子縁組を用いた相続税対策は、法定相続人の数を増やし、基礎控除を拡大することで、相続税の負担を軽減する有効な手段です。特に、多額の財産を有する場合や相続人が少ない場合において、その効果が顕著に現れます。

しかし、過剰な養子縁組による税務リスクや、家族関係への影響など、法的な制約やリスクが伴う点には十分に注意が必要です。養子縁組を検討する際は、節税目的だけでなく、家族の承継計画の一環としてその意義を深く理解し、無理のない計画を立てることが大切です。

最適な相続対策は、ご家庭の状況や財産の内容によって異なります。相続税対策として養子縁組を検討する場合は、税制や家庭の状況に応じた最適な方法を選択するため、税理士、司法書士、弁護士などの専門家へ相談することをお勧めします