相続人とは誰のこと?定義・順位・代襲相続まで徹底解説

2025年5月9日 管理人

相続人とは誰のこと?定義・順位・代襲相続まで徹底解説

こんにちは。富士市・富士宮市を中心に、相続税申告や生前対策をご支援している税理士・公認会計士の飯野明宏です。

今回は、「相続人って誰?」「自分が相続人にあたるのか不安」といった声にお応えして、相続人の定義・順位・代襲相続・養子の扱いまで、相続の出発点となる基礎知識を徹底解説します。図解や具体例も交えて、できるだけわかりやすくまとめています。


第1章|相続人とは?定義と基本用語の理解

相続とは、亡くなった方(被相続人)の財産を、法律に基づいて特定の人が引き継ぐことを言います。その引き継ぐ側の人を「相続人」といいます。

相続に関わる基本用語

  • 被相続人:亡くなって財産を遺す人
  • 相続人:財産を受け継ぐ人(遺族など)

法定相続人:民法により定められた相続人

指定相続人:遺言により指定された相続人

これらの用語の理解が、手続きや税務処理を円滑に進めるうえで重要です。特に「法定相続人」は、相続税の基礎控除や遺産分割協議の出発点となるため、正確な認識が不可欠です。


第2章|相続人の順位と相続権のある人たち

民法では、相続人になれる人には順位があり、下記のように定められています。配偶者は常に相続人ですが、相続人には順位があります。

法定相続人の順位

相続人の順位と該当者・条件
相続順位該当者条件・備考
配偶者常に相続人子や親、兄弟姉妹と併存する場合もある
第1順位子(実子・養子)子がすでに死亡していれば代襲相続人(孫)が相続
第2順位直系尊属(父母・祖父母)子がいない場合のみ相続人となる
第3順位兄弟姉妹子も直系尊属もいない場合に限る

相続の具体例

  • 妻と子2人がいる場合:妻と子2人が相続人
  • 妻と親(父母)のみ:妻と親が相続人
  • 妻と兄弟姉妹のみ:妻と兄弟姉妹が相続人

これらは実際の現場でも頻出するパターンです。戸籍調査や関係図の作成を通じて、正確な相続人確定が求められます。


第3章|代襲相続とは?甥や姪にも相続権がある?

代襲相続(だいしゅうそうぞく)」とは、本来相続人となる人が相続開始前に死亡していた場合、その人の直系卑属(子や孫)が代わりに相続する制度です。

代襲相続の仕組み

  • 子が死亡していた場合、その孫が相続人となる
  • 兄弟姉妹が相続人のとき、その人が死亡していれば甥・姪が代襲相続人になる
  • ただし、兄弟姉妹の代襲相続は1代限り

よくある質問

  • Q:孫はいつでも相続人になる?
    • A:基本的には代襲相続のときだけ。子が健在なら孫には相続権なし。
  • Q:甥・姪は代襲相続人?
    • A:兄弟姉妹が相続人で、かつ死亡している場合に限る。

第4章|養子は相続人になる?実子との扱いの違い

養子も法的には「子」として扱われ、実子と同じく相続順位の第1順位に位置づけられます。

養子の種類と相続権

  • 普通養子縁組:実子と同じ相続権あり
  • 特別養子縁組:親子関係がより強く、実子同等の相続権
  • 事実上の養子(非法律婚):法的相続権なし

相続税法上の注意点

相続税の計算では、「法定相続人の数」に含められる養子の人数が制限される場合があります。

  • 実子がいる場合:養子1人まで含められる
  • 実子がいない場合:養子2人まで含められる

これを超える養子は「法定相続人」としてカウントされません。


第5章|法定相続人の調査と相続人の確定

相続手続きの最初のステップは、「誰が相続人であるか」を正確に確定することです。以下の作業が必要になります。

相続人確定のプロセス

  1. 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得
  2. 相続人候補全員の戸籍を確認
  3. 養子縁組、婚姻、認知、離婚歴などの確認

相続人確定の実務上の意味

  • 遺産分割協議の有効性:相続人全員の同意が必要
  • 相続税の基礎控除
    • 計算式:3,000万円+600万円×法定相続人の数
  • 相続放棄・限定承認の期限
    • 自分が相続人であると知った日から3ヶ月以内

第6章|相続人に関する誤解と実際の注意点

よくある誤解

  • 「内縁の妻にも相続権があると思っていた」
    • →法律婚でなければ、相続権はありません(遺言書でカバー可)
  • 「孫は当然に相続人でしょ?」
    • →代襲相続でのみ相続人になり得ます

現場での注意点

  • 認知された非嫡出子も相続人になる
  • 相続人不在の場合は相続財産法人となり、特別代理人の選任が必要

第7章|まとめ|相続人を正しく理解して円満な相続を

相続人の定義や順位を理解することは、円満な遺産分割の出発点です。特に以下の点が重要です:

  • 配偶者は常に相続人であること
  • 子がいなければ、親や兄弟姉妹に相続権が移ること
  • 代襲相続の範囲は孫・甥姪までであること
  • 養子も条件を満たせば相続人になり得ること
  • 相続人の確定には戸籍調査が不可欠であること

誤解や思い込みによるトラブルを防ぐためにも、相続の開始時点で「誰が相続人か」を正確に確定しておくことが不可欠です。

富士市・富士宮市で相続に関してお悩みの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。専門家の視点から、円満な相続手続きのお手伝いをさせていただきます。

相続税の専門院

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飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

 

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