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相続税における「みなし相続財産」とは?

1. 相続税における「みなし相続財産」概要

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

「相続税の対象になる財産は何か」といった疑問を持つ方は多いかと思います。その中で、特に注意が必要なのが「みなし相続財産」です。これは民法上の遺産ではないものの、相続税法上では遺産とみなされ、課税対象になる財産を指します。この記事では、税理士の視点から「みなし相続財産」の基本的な考え方と、代表的なケースについてわかりやすく解説していきます。

リンク 国税庁 相続税がかかる財産

2. みなし相続財産とは?

相続税法では、亡くなった方(被相続人)の財産のうち、実際にはその人の名義になっていないものでも、一定の条件を満たすと「相続財産」として課税の対象になります。これが「みなし相続財産」と呼ばれるものです。

代表的な例として、以下のようなものが該当します:

  • 生命保険金
  • 死亡退職金
  • 生命保険契約に関する権利
  • 定期金に関する権利

これらは、民法上の「遺産」には含まれませんが、相続税の計算上は遺産として扱われる点に注意が必要です。

死亡保険金を受け取る女性 (2)

3. みなし相続財産の共通する特徴

みなし相続財産には、次の2つの大きな特徴があります。

3-1. 遺産分割の対象外

みなし相続財産は民法上の「相続財産」ではないため、遺産分割協議の対象になりません。たとえば、生命保険金は受取人が指定されている場合、他の相続人と分ける必要がなく、その受取人の固有の財産として扱われます。

3-2. 相続放棄しても取得できる

相続放棄をしても、みなし相続財産は取得可能です。これは、みなし相続財産が「相続によって取得した財産」ではなく、「契約に基づいて直接取得した財産」として位置づけられているためです。

相続放棄と限定承認の違いと注意点

4. 主なみなし相続財産の種類と注意点

4-1. 生命保険金

生命保険金(死亡保険金)は、被相続人が契約者・被保険者であり、保険金受取人が相続人であるケースでよく見られます。民法上の遺産ではありませんが、相続税法上は遺産とみなされ課税対象となります。

ただし、以下の非課税枠が設定されています:

法定相続人の数 × 500万円

たとえば、法定相続人が3人いれば、合計1,500万円までが非課税となり、それを超える金額についてのみ相続税が課税されます。

なお、保険金受取人が相続人以外の場合はこの非課税枠の適用ができないため注意が必要です。

リンク 国税庁 相続税の課税対象になる死亡保険金

4-2. 死亡退職金

会社勤めをしていた方が亡くなった際、勤務先から支給される死亡退職金も、みなし相続財産に該当します。これは通常、会社の福利厚生制度や就業規則に基づき支払われるものです。

死亡退職金にも生命保険金と同様の非課税枠が設けられています:

法定相続人の数 × 500万円

一方で、死亡後に支給される給与・賞与については、みなし相続財産には該当せず、本来の相続財産として扱われます。非課税枠も適用されないため、申告時には区別して取り扱うことが重要です。

リンク 国税著 相続税の課税対象になる死亡退職金

退職金・功労金が課税対象になるケースと非課税になるポイント

4-3. 生命保険契約に関する権利

これは、被相続人が保険料を負担していたが、被保険者が別人という保険契約のケースです。たとえば、被相続人が保険料を負担し、契約者は配偶者、被保険者は子どもというような場合です。

このような契約においては、被相続人が保険料を負担していたという理由で、その契約に関する「解約返戻金相当額」が相続税の課税対象となります。

ポイントは、解約返戻金があるかないかです。掛け捨て型の保険の場合、解約返戻金がゼロであれば、課税対象になりません。

なお、このケースには生命保険金や死亡退職金のような非課税枠は設けられていないため、全額が相続財産として課税されます。

4-4. 定期金に関する権利

定期金に関する権利とは、被相続人の死亡後、特定の受取人に対して定期的に支払われる金銭的給付を受ける権利です。たとえば、個人年金保険などが該当します。

これらも本来の遺産ではありませんが、相続税法上は相続財産とみなされます。定期金の給付総額や契約の内容により評価され、相続税の計算に含める必要があります。

 

5. まとめ:みなし相続財産を正しく理解し、適切な申告を

「みなし相続財産」は、相続税の課税対象として重要なポイントです。民法と相続税法の違いを理解し、生命保険金や死亡退職金、定期金などが相続税にどう影響するのかを把握することが、正しい申告につながります。

特に、非課税枠の有無や、実際に申告の対象となるかどうかを判定するには、税理士などの専門家に相談することが有効です。相続の手続きにおいては、思わぬ財産が課税対象になるケースもありますので、事前の確認と準備をしっかりと行いましょう。

 

 

コラム最下署名

相続税の専門院

飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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相続税の基礎控除とは?


こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

「相続税って、自分には関係あるの?」
「基礎控除って聞いたことはあるけど、よくわからない…」

そんな疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
相続税はすべての人にかかるわけではありません。基礎控除という“非課税の枠”が設けられており、これを超えるかどうかが申告・納税の判断基準になります。

この記事では、相続税の基礎控除額の計算方法、法定相続人の正しい数え方、相続税が必要となる“ボーダーライン”について解説します。


1. 相続税は「基礎控除」以内ならかからない

相続税の申告が必要かどうかは、遺産の総額が「基礎控除額」を超えるかどうかで決まります。

この基礎控除額は、以下の式で計算します。

3,000万円 + 法定相続人の数 × 600万円

たとえば、法定相続人が配偶者と子1人の2人なら、
3,000万円+600万円×2=4,200万円が基礎控除額です。

この場合、遺産総額が4,200万円以内であれば、相続税の申告も納税も不要です。

相続税の基礎控除


2. 基礎控除額を左右する「法定相続人」の数え方

基礎控除額は、法定相続人の人数によって変動します。ここでは、その数え方の注意点を解説します。

2-1. 法定相続人の順位

法定相続人とは、民法で定められた“相続する権利のある人”のことです。
その順位は次の通りです。

  • 配偶者は常に相続人

  • 第1順位:子(すでに亡くなっていれば孫が代襲相続)

  • 第2順位:父母(または祖父母)

  • 第3順位:兄弟姉妹(すでに亡くなっていれば甥姪が代襲)

たとえば、配偶者と子がいれば、第2順位・第3順位の人たちは相続人になりません。

相続人について >

2-2. 相続放棄した人も「数に含める」

相続放棄をした人がいても、その人は基礎控除額を計算する際の人数に含まれます。
つまり、実際に相続を受け取っていなくても“法定相続人としての資格”がある限り、基礎控除の計算対象になります。

相続放棄について >

2-3. 代襲相続人も含める

代襲相続とは、本来の相続人が亡くなっている場合に、その子(孫など)が代わりに相続する制度です。
この代襲相続人も、法定相続人の人数に含めて計算します。

代襲相続について >

2-4. 養子には人数制限がある

養子は法定相続人に含めることができますが、基礎控除額を計算する上では以下の制限があります。

  • 実子がいる場合は養子1人まで
  • 実子がいない場合は養子2人まで

ただし、特別養子や再婚相手の子(連れ子)を養子にした場合など、実子と同様に扱われるケースはこの限りではありません。

養子縁組について >

2-5. 相続欠格・廃除された人は含めない

相続欠格や相続廃除となった人は、法定相続人の数に含めません。
ただし、そういった人の子が代襲相続する場合は、その子は人数に含めることになります。

相続欠格について >
相続廃除について >


3. 相続税がかかるかどうかを判断する3つのポイント

では、実際に「自分の家は相続税がかかるのか?」を判断するために、どのような点に注意すべきでしょうか。

3-1. 「みなし相続財産」も含める

生命保険金や死亡退職金など、被相続人が亡くなったことによって支払われるお金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。

例えば、生命保険金については
500万円 × 法定相続人の数
までは非課税となります。

みなし相続財産について >

3-2. 3年以内の生前贈与は相続財産に含まれる

被相続人が亡くなる前の3年以内に行った贈与は、たとえ贈与税を支払っていても相続財産として加算されます(生前贈与加算)。

【重要】2024年1月からの制度変更
2024年1月1日以降に行われた贈与から、生前贈与加算の対象期間が段階的に延長されます:

– 2023年12月31日までの贈与:従来通り3年以内の加算
– 2024年1月1日以降の贈与:段階的に7年以内まで延長
– 完全に7年加算となるのは2031年1月1日以降の相続

なお、延長された4年間(相続開始前4~7年)の贈与については、総額100万円までは相続財産に加算されない優遇措置が設けられています。

例:毎年110万円を7年間贈与していた場合
– 3年以内:110万円×3年=330万円(全額加算)
– 4~7年:110万円×4年-100万円=340万円(100万円控除後に加算)

贈与税と相続税の二重課税にならないよう、すでに支払った贈与税は相続税から控除できます。

生前贈与加算について >

3-3. 相続財産の種類と評価額を正確に把握する

課税遺産総額は、以下のように計算します。

(相続財産 + みなし相続財産 + 生前贈与財産)-(債務や葬儀費用)- 非課税財産 = 課税遺産総額

不動産や預金、有価証券、借金などをすべてリストアップし、評価額を求める必要があります。


4. 特例を使って税額ゼロにしても申告は必要

基礎控除額を超えていても、一定の特例を使えば相続税がゼロになることもあります。しかしこの場合でも、税務署への申告は必要です。

この点は、非常に重要ですので、忘れないようにしてください。

代表的な特例は以下の2つです。

小規模宅地等の特例

居住用または事業用の土地について、一定の条件を満たせば評価額が最大80%減額されます。例えば、自宅土地の評価額が5,000万円だったとしても、80%減で1,000万円に圧縮されることがあります。

小規模宅地等の特例について >

配偶者の税額軽減(配偶者控除)

配偶者が相続した財産が「1億6,000万円以下」または「法定相続分以内」であれば、相続税はかかりません。
ただし、申告しなければ適用されませんので注意が必要です。

配偶者控除について >


まとめ|相続税が心配な方はまず「基礎控除」の理解から

相続税は、誰にでも必ずかかるものではありません。
相続財産の総額が基礎控除額以下であれば、原則として申告も納税も不要です。

しかし、生命保険や生前贈与、土地評価など複雑な要素が多く、「正しい財産の把握」が難しいケースも多々あります。
また、特例を使って税額がゼロでも申告が必要になるケースもあり、注意が必要です。

「うちは申告が必要かも…」と少しでも思った方は、お早めに弊事務所に、ご相談されることをおすすめします。

 

コラム最下署名

相続税の専門院

飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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【重要改正】生前贈与加算の変更 加算期間と対象のケース

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

相続税対策として「生前贈与」を行う方が増えていますが、注意が必要なのが「生前贈与加算」の制度です。

今回は、令和6年以降の改正で大きく変わった生前贈与加算について、その考え方や対象となるケース・ならないケースを、実務経験をもとにわかりやすく解説します。


1. 生前贈与加算とは?

生前贈与加算とは、相続開始前の一定期間内に行われた贈与を、相続財産に「持ち戻して」相続税の課税対象とする制度です。年間110万円の基礎控除内での贈与であっても、加算の対象となる点がポイントです。

これまでこの加算の対象期間は「相続開始前3年以内」でしたが、令和5年の税制改正により、最大7年以内に延長されました。

暦年贈与について >

たとえば、6年前に100万円を子に贈与したとします。これまでは、

  • 贈与税なし(110万円以下のため)

  • 相続税の加算対象外(3年より前だから)

でしたが、今後はこの100万円も相続財産に加算される可能性が出てきます。

生前贈与 (2)


2. 加算対象期間の延長とその影響

加算期間の延長は、令和6年(2024年)1月1日以降の贈与に段階的に適用されます。

生前贈与加算の加算期間(改正スケジュール)
相続開始年加算期間
~令和5年3年
令和6年4年
令和7年5年
令和8年6年
令和9年以降7年(完全移行)

つまり、令和13年(2031年)以降の相続からは、贈与者が亡くなる前の7年間の贈与すべてが加算の対象になります。

このように加算対象期間は段階的に広がっていくため、これからの贈与については「昔やった贈与だから大丈夫」と思っていると、思わぬ税負担が発生する可能性があります。

贈与の持ち戻し

生前贈与加算の100万円控除とは

令和6年度税制改正により、生前贈与加算の期間が3年から7年に延長されましたが、この影響を緩和するため、延長された4年分(相続開始前4年目から7年目)の贈与については、総額100万円まで相続財産への加算が免除される特別な措置が設けられました。

具体的な仕組み

対象期間

  • 相続開始前4年目から7年目までの4年間の贈与が対象
  • 相続開始前3年以内の贈与は従来通り全額加算

控除の内容

  • 延長された4年間の贈与合計額から総額100万円を控除
  • 1年間100万円ずつ控除されるわけではない
  • あくまで4年間の合計額に対する控除

適用例

ケース1:毎年50万円ずつ7年間贈与した場合

  • 相続開始前1~3年目:50万円×3年=150万円(全額加算)
  • 相続開始前4~7年目:50万円×4年=200万円-100万円控除=100万円加算
  • 合計加算額:250万円

ケース2:毎年110万円ずつ7年間贈与した場合

  • 相続開始前1~3年目:110万円×3年=330万円(全額加算)
  • 相続開始前4~7年目:110万円×4年=440万円-100万円控除=340万円加算
  • 合計加算額:670万円

重要なポイント

  1. 適用時期
    • 令和9年1月2日以後に相続が開始する場合から適用
    • それ以前の相続には適用されない
  2. 控除の上限
    • 4年間の贈与合計額が100万円以下の場合は、その金額が上限
    • 例:4年間で80万円しか贈与していない場合は80万円全額が控除
  3. 他の非課税制度との関係
    • 住宅取得資金や教育資金などの非課税制度とは別枠
    • 相続時精算課税制度の110万円控除とも併用可能

節税効果の計算

100万円控除による節税効果は相続税率によって決まります:

  • 相続税率10%の場合:100万円×10%=10万円の節税
  • 相続税率30%の場合:100万円×30%=30万円の節税
  • 相続税率55%の場合:100万円×55%=55万円の節税

この100万円控除は、生前贈与加算期間の延長による影響を部分的に緩和する措置ですが、完全に相殺するものではありません。そのため、今後の相続対策では、より早期からの計画的な贈与や、非課税制度の積極的な活用が重要になります。

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3. 生前贈与加算の対象となるケース

加算の対象になるのは、相続や遺贈により財産を取得した人です。

つまり、裏を返せば、相続や遺贈により財産を取得していない人への贈与は加算の対象になりません。

具体例をみていきますと、次のような方が対象です。

  • 法定相続人(配偶者や子など)

  • 遺言により財産を受け取った人

  • 相続時精算課税制度によって贈与を受けた人

さらに、次のような「みなし相続財産」を受け取った場合も対象になることがあります。

みなし相続財産の例

  • 生命保険金(亡くなった方が保険料を支払っていた)

  • 死亡退職金

  • 損害保険契約に基づく定期金

  • 債務免除による利益(遺言で「借金を帳消しにする」とされたなど)

 


4. 生前贈与加算の対象外となる贈与とは?

以下のような場合は、贈与を受けていても生前贈与加算の対象外となります。

① 相続や遺贈で財産をもらっていない人

たとえば、相続を放棄した人や、遺産分割で何も取得しなかった人は、加算の対象になりません。

② 特定の非課税制度を利用した贈与

次のような非課税制度を使った贈与は、加算対象から除かれます。

  • 相続時精算課税の110万円控除枠(令和6年創設)

  • 住宅取得資金の贈与(非課税枠最大1,000万円)※令和8年まで

  • 教育資金一括贈与(最大1,500万円)※令和8年3月末まで

  • 結婚・子育て資金一括贈与(最大1,000万円)

  • おしどり贈与(配偶者への居住用不動産の贈与2,000万円+110万円)

これらの制度を活用すれば、生前贈与加算の対象外にできる可能性があるため、相続対策として非常に有効です。

おしどり贈与について >


5. すでに支払った贈与税はどうなる?

加算対象となった贈与については、生前に支払った贈与税額を相続税から差し引くことができます。

ただし、次の点にはご注意ください。

  • 加算税や延滞税、利子税などは控除対象外です。

  • 控除するには、適切な申告が必要です。


6. まとめ:生前贈与は計画的に

改正により、生前贈与加算の対象期間が最大7年に延長されました。今後は「贈与=すぐに相続税対策になる」とは言い切れない時代です。

贈与を行う際は、加算対象になるか、非課税枠を活用できるかなど、慎重に検討することが必要です。

 

 

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飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

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【兄弟が相続人になる?】子や親がいない場合の相続と注意点

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

「私たち夫婦には子供がいない。兄弟がいるけれど、相続人になるのだろうか?」
未婚化・少子化が進む現代では、「兄弟姉妹が相続人になるケース」は決して珍しいことではありません。しかし、一般的な相続のイメージ(配偶者や子どもが相続する)とは異なる点も多く、制度や税制を正しく理解しておかないと、トラブルや予期せぬ負担につながる可能性もあります。

本記事では、兄弟姉妹が法定相続人となる具体的なケースや、相続分、税金の取り扱い、よくあるトラブル例まで、税理士の視点でわかりやすくご紹介いたします。

兄弟の相続

目次

  1. 兄弟が相続人になるのは「子どもも親もいない場合」
  2. 配偶者と兄弟が相続人になった場合の相続分は?
  3. 兄弟姉妹が相続人になる場合の3つの注意点
  4. まとめ

1. 兄弟が相続人になるのは「子どもも親もいない場合」

相続には「法定相続人の順位」があります。被相続人(亡くなられた方)に配偶者がいる場合は常に相続人になりますが、それ以外の親族には順位があります。

  • 第1順位:子(または孫)

  • 第2順位:父母(または祖父母)

  • 第3順位:兄弟姉妹(または甥姪)

つまり、子どももおらず、両親や祖父母もすでに亡くなられている場合に、兄弟姉妹が相続人になります。
また、法定相続人が相続を「放棄」した場合も、次の順位に相続権が移ります。たとえば、子がいても全員が相続放棄すれば、次の順位である親や兄弟に権利が移るのです。

図解

相続人とは誰のこと?定義・順位・代襲相続まで徹底解説


2. 配偶者と兄弟が相続人になった場合の相続分は?

兄弟姉妹が法定相続人になる場合の相続分は、民法で以下のように定められています。

2-1 配偶者と兄弟が相続人の場合

  • 配偶者:3/4
  • 兄弟姉妹全体で:1/4

たとえば兄弟姉妹が2人いるなら、1/4の相続分をさらに2人で分ける=1/8ずつ、ということになります。

2-2 兄弟姉妹だけが相続人の場合

被相続人に配偶者もいない場合は、兄弟姉妹で均等に相続します。
3人いれば、1/3ずつということです。

図解

法定相続分とは?相続すべき「割合」を知っておこう


3. 兄弟姉妹が相続人になる場合の3つの注意点

兄弟が相続人になるケースには、他の相続人とは異なる重要なポイントがいくつかあります。

3-1 遺留分がない

遺留分とは、法律上保障されている「最低限もらえる取り分」のことです。
ですが、兄弟姉妹には遺留分が認められていません

そのため、遺言で「全財産を○○に相続させる」と書かれていても、兄弟姉妹は異議を申し立てることができません。
兄弟に遺産を残したい場合は、遺言が非常に重要となります。

3-2 相続税が2割加算される

被相続人の配偶者・子・親以外が相続する場合、相続税額が2割増しになる規定があります。
兄弟姉妹が相続する場合もこの対象になるため、税金負担が大きくなる点に注意が必要です。

3-3 代襲相続は1代限り

兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合、その子(甥・姪)が代襲相続人になります。
ただし、代襲は1代限り甥姪もすでに亡くなっていた場合、その子(兄弟の孫)は相続できません。


4. まとめ

兄弟姉妹が相続人となるケースは、近年ますます増えています。
しかし、相続分の理解不足や遺留分の非対象、相続税の加算など、想像以上に注意すべき点が多く存在します。

生前のうちに遺言書を作成しておくことを強くおすすめします。

富士市・富士宮市の皆様に寄り添い、わかりやすくサポートさせていただきます。

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【孫に遺産相続させたい方必見】孫に財産を遺す方法と税金の落とし穴

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

最近、「子ども以外に孫に財産を遺したい」というご相談が増えています。「孫の教育資金の足しにしてほしい」「子には十分与えたので、次は孫に」「老後の安心材料として遺しておきたい」──そんなお気持ちを持つ方にとって、孫への遺産相続は重要なテーマです。

しかし、注意すべきは、孫は原則として法定相続人ではないということです。対策をしないままでは、孫に財産が渡らない可能性があるのです。

本記事では、孫に財産を引き継がせるための具体的な方法と、それぞれの税務上の注意点について、富士市・富士宮市を中心に相続税申告を行う税理士として、現場で得たリアルな知見も盛り込みました。

ぜひご自身やご家族の将来設計にお役立てください。

孫に相続させる



1. 孫は相続人になれるのか?民法上の基本ルール

民法では、おおよそ、次のように法定相続人の順位が定められています。

  • 第1順位:子(または代襲相続人)
  • 第2順位:直系尊属(親、祖父母)
  • 第3順位:兄弟姉妹

被相続人に子がいる場合、その子が法定相続人となり、孫は相続人にはなりません。孫が相続人となるのは、次の2つのケースに限られます。

  1. 子が亡くなっている(代襲相続)
  2. 孫を養子にしている

そのため、子が存命中に孫に財産を相続させたい場合は、特別な手続きが必要となります。


2. 孫に財産を渡す3つの方法

2-1. 遺言書を使って遺贈する

遺言書を作成することで、孫に財産を「遺贈」することが可能です。遺贈とは、法定相続人以外の人へ財産を渡す方法で、遺言によってその意志を明確に示します

おすすめは公正証書遺言」です。公証人が関与し、法的な不備が起こりにくく、家庭裁判所での検認も不要です。

ただし、注意すべきは「遺留分」です。相続人(子や配偶者など)には、最低限相続できる権利があります。孫に多く遺贈しすぎると、他の相続人から「遺留分侵害額請求」を受ける可能性があります。

また、不動産の遺贈では「不動産取得税」や「登録免許税(通常の5倍)」がかかることも、意外な落とし穴です。
孫にあてられた遺言

2-2. 養子縁組で法定相続人にする

孫と養子縁組を行うことで、その孫を法定相続人にすることができます。これにより、遺産分割協議に参加させたり、遺留分を確保したりすることができます。

養子縁組には、実子がいる場合は「養子1人」、いない場合は「養子2人」までという税務上のカウント制限があります。

また、孫を養子にすることで「基礎控除」が増加し、相続税が軽減されるというメリットもあります。

注意点としては、養子であっても孫である場合は「2割加算対象」となるケースがある点です(後述)。

2-3. 代襲相続で孫が相続人になるケース

子がすでに亡くなっている場合、その子(つまり孫)が「代襲相続人」として相続することが可能です。この場合、孫は法定相続人と同じ扱いになり、相続税の2割加算も適用されません。

代襲相続が発生する主なケース:

  • 子が相続開始前に死亡
  • 子が相続欠格・廃除された

なお、相続放棄した場合は代襲相続は発生しません。


3. 相続以外の方法で孫に資産を承継する

3-1. 暦年贈与と非課税制度

孫に対して毎年少額ずつ贈与する「暦年贈与」は、相続税対策として古くから活用されています。贈与税には年間110万円までの非課税枠(基礎控除)があり、この範囲内であれば申告も税金も不要です。

毎回、贈与契約書を作成しておきましょう。

さらに、2024年の法改正により、暦年贈与であっても相続開始前7年以内の贈与は加算対象となります(従来は3年)。相続税対策としては、早めの計画と記録の保管が重要です。

3-2. 相続時精算課税制度

60歳以上の祖父母が18歳以上の孫に対して贈与する場合、「相続時精算課税制度」を選択することができます。この制度では、累計2,500万円までの贈与について贈与税が非課税になります(超えた分には20%の贈与税が課税)。

また、2024年以降の改正で、年間110万円の非課税枠が追加で設けられました。つまり、相続時精算課税を選択しても、110万円までの贈与は贈与税の申告不要で贈ることができます。

注意点として、一度この制度を選択すると、暦年課税方式には戻れません。また、贈与者の死亡時には、贈与された財産を相続財産に加算して相続税を計算する必要があります。

3-3. 教育資金・結婚子育て資金の一括贈与

孫の教育資金や結婚・子育て資金を目的とした贈与については、特例として非課税となる制度があります。

  • 教育資金一括贈与:最大1,500万円まで非課税
  • 結婚・子育て資金一括贈与:最大1,000万円まで非課税

いずれも金融機関を通じて信託契約を結び、領収書などで支出の使途を証明する必要があります。余った資金については、一定年齢に達すると課税対象となることに注意しましょう。

3-4. 生命保険の活用

被相続人が孫を生命保険の受取人に指定しておけば、死亡後すぐに保険金を受け取らせることができます。

生命保険の非課税枠は、法定相続人1人につき500万円です。相続人としてカウントされる孫(養子や代襲相続人)であれば、その分非課税枠が増えることになります。

ただし、契約者・被保険者・受取人の組み合わせによって、相続税・贈与税・所得税と課税区分が変わります。契約内容の設計には十分な注意が必要です。

孫への教育資金贈与


4. 税務上の注意点と落とし穴

4-1. 相続税の2割加算ルール

相続人ではない孫が相続・遺贈により財産を取得した場合、原則として相続税額が2割増しになります(相続税法第18条)。

ただし、以下のケースは加算対象外となります:

  • 代襲相続により相続した孫
  • 養子縁組により法定相続人となった孫(要件による)

遺言で遺贈した場合などは2割加算が避けられないと思っておいてください。

4-2. 生前贈与の7年以内加算と例外

2024年の税制改正で、生前贈与の加算期間が「相続開始前3年以内」から「7年以内」に拡大されました。相続税対策として贈与を行う場合は、早めの開始が肝心です。

もちろん、この場合は、祖父母が長生きすることが一番の相続対策となります。

一方で、贈与先が法定相続人でない孫である場合、原則としてこの加算対象とはなりません。つまり、子を飛ばして孫に早めに贈与すれば、加算を回避できる可能性があります。

ただし、孫を養子にした場合や代襲相続人となった場合は、加算対象になります。孫が「法定相続人」となると、加算対象に引き込まれる点に注意が必要です。

この点は非常にややこしいので、祖父母が高齢の場合の孫への贈与は、税理士とよく相談のうえ実行しましょう。

4-3. 養子縁組の基礎控除と税務リスク

養子を加えることで相続税の基礎控除が増加しますが、税務署は「節税目的の養子縁組」を否認するケースもあります。

  • 被相続人が高齢・認知症
  • 養子縁組の意思が不明確
  • 実態のない戸籍上の養子縁組

こうした事情がある場合、課税庁側から「無効」と主張されることも。慎重な対応が必要です。


5. 富士市・富士宮市の相続事情と当事務所の支援体制

富士市・富士宮市では、農地や自宅を所有している高齢者が多く、「不動産の承継」が相続対策の主な課題となります。特に二世帯同居・三世代家族が多い地域では、「孫への承継ニーズ」も高くなっています。

また、近年の地価上昇や固定資産税評価額の見直しにより、思った以上に相続税がかかるケースもあります。

地域密着型の税理士事務所として、富士地域の不動産・家族構成に応じたオーダーメイドの相続税対策をご提案しています。

孫に相続 (2)


6. まとめとアドバイス

孫に財産を遺すには、事前の準備が欠かせません。

  • 遺言書の作成による「遺贈」
  • 養子縁組による「法定相続人化」
  • 子の死去を前提とした「代襲相続」
  • 生前贈与や保険など「相続以外の方法」

それぞれの方法にメリットと注意点があり、どれが最適かはご家庭の状況によって異なります。また、税制は毎年のように変わるため、専門家のサポートを受けながら進めることが大切です。

「孫に資産を遺したい」「今のうちに贈与しておきたい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。富士市・富士宮市の皆さまにとって、最適な相続の準備をご一緒に考えてまいります。

 

コラム最下署名

相続税の専門院

飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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預貯金口座付番制度が拡充!相続時などに口座照会が可能に

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

2024年〜2025年にかけて、「預貯金口座付番制度」が拡充され、相続や災害時の手続きがよりスムーズになる仕組みが始まりました。

特に、被相続人の口座がどこにあるか分からない場合、この制度は富士市・富士宮市の皆様にとっても大きなメリットがあります。

本記事では、制度の概要と拡充内容、そして実務上の影響について解説いたします。

リンク デジタル庁 預貯金口座付番制度


1 預貯金口座付番制度とは?

「預貯金口座付番制度」とは、金融機関の預貯金口座にマイナンバー(個人番号)をひもづける制度です。預貯金者が希望すれば、自らのマイナンバーを各金融機関の口座に登録することができます。

この制度により、行政機関は預貯金情報を正確かつ迅速に把握できるようになります。特に、相続時や災害発生時に、速やかな対応が可能となる仕組みとして注目されています。

※ 登録は義務ではなく、預貯金者本人の意思によって任意で行われます。

附番制度


2 2024年以降の制度拡充ポイント

令和6年(2024年)4月、「口座管理法(正式名称:預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律)」が施行され、制度が大幅に拡充されました。主な変更点は以下のとおりです。

1.マイナポータルによる一括届出が可能に

従来、マイナンバーの届け出は各金融機関ごとに個別の手続きが必要でしたが、制度拡充により、マイナポータルを利用すれば一度の手続きで複数の金融機関に届け出が可能となりました。

これにより、複数の口座をお持ちの方の手間が大幅に軽減されます。

2.相続・災害時の「口座照会制度」の新設(2025年4月〜)

令和7年(2025年)4月1日から、「相続時口座照会制度」が正式にスタートしました。以下がその概要です。

相続時口座照会制度(有料)

  • 内容:相続人や代理人(税理士など)が申請することで、被相続人のマイナンバーをもとに預貯金口座の有無を全国的に検索できる制度

  • 照会機関:預金保険機構

  • 手数料:5,060円(税込)

  • 対象者:相続人またはその代理人


3 富士市・富士宮市での実務的メリット

富士市や富士宮市でも、高齢化に伴い相続のご相談は年々増加しています。その中で、よくあるご相談が以下のようなものです。

「親がどの銀行に口座を持っていたか分からない」
「通帳もカードも見当たらないので手続きが進まない」

これまでは、

  • 全ての金融機関に個別に照会
  • 残高証明書の取得や確認に手間と費用がかかる
  • 家庭裁判所や税務署への申告にも遅れが生じがち

というのが実態でした。

しかし、相続時口座照会制度を使えば、

  • 一括で全国の付番済み口座を調査可能
  • 5,060円の手数料でスピーディに情報を入手可能

と、相続人の負担を大きく軽減できるようになります。

銀行


4 制度利用時の留意点とアドバイス

この制度は非常に便利ではありますが、以下の点には注意が必要です。

  • マイナンバー登録がされていない口座は対象外

  • 被相続人のマイナンバーが分かっていないと請求できない

  • 制度の理解が進んでいない金融機関もあるため、事前確認が望ましい


まとめ 制度の活用で「困らない相続手続き」を

今回の制度拡充により、相続における口座情報の把握がより簡単かつ迅速に行えるようになりました。
富士市・富士宮市でも、今後ますます活用が広がることが期待されます

「親の預金が分からず、手続きが止まってしまった…」といったトラブルを未然に防ぐためにも、制度の内容を正しく理解し、必要に応じてマイナンバーの登録や相続時口座照会制度の利用をご検討ください。

 

コラム最下署名

相続税の専門院

飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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