いつから始まった?日本の相続税の成り立ちとその背景を解説
こんにちは、富士市・富士宮市の相続・税務専門、飯野明宏税理士事務所です。
相続税という言葉を聞いて、「そもそもなぜ相続に税金がかかるの?」と疑問を持たれたことはありませんか?また、「昔は相続税なんてなかったのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、日本の相続税がどのように始まり、どのような目的で導入されたのかをわかりやすくご紹介します。
📚 目次
第1章|相続税はいつからあるの?
相続税が日本で導入されたのは、明治38年(1905年)のこと。日露戦争の戦費調達のため、政府は「非常特別税」として相続税を創設しました。
第2章|なぜ相続に税金がかかるのか?
そもそも、なぜ財産を相続しただけで税金がかかるのでしょうか?これには、次のような考え方が背景にあります。
- 相続税は「富の再分配」を目的とした税金である
相続によって得られる財産は、受け取る側にとっては努力せずに得られる「偶発的所得」とされます。
特定の家庭に富が集中するのを防ぎ、社会全体での公平性を図る目的があります。
富の固定化・世襲の抑制
相続財産が代々継承されていくと、階級や格差の固定化が進むため、それを是正する手段としても機能しています。
税負担の公平性の観点
経済的利益を享受する以上は、相応の税負担をするのが合理的であるという考えです。
第3章|制度の変遷とその背景
相続税の導入以降、時代に応じてその制度は何度も改正されてきました。
昭和22年の大改革
昭和22年には、戦後の税制民主化の一環として「家督相続制度」が廃止され、「一元的な遺産課税方式」に改正されました。
これにより、それまで認められていた家督相続(長男がすべてを相続する制度)という身分制度的な要素がなくなり、すべての相続人が公平に課税対象となるよう制度設計が見直されました。
また、同時期に申告納税制度が導入され、相続税の納税義務者が自ら申告して納税額を確定する仕組みが採用されました。
第4章|現代の相続税制度にも通じる考え方
現代の相続税制度においても、次の2つの思想が根底にあります。
富の集中を防ぎ、格差を緩和する
一度得た財産に応じた適正な税負担を課す
特に相続税は、課税最低限(基礎控除)があるため、ある程度以上の資産を保有していない限り課税されない仕組みになっています。
これにより、一般家庭の相続は非課税となり、一定以上の資産を有する家庭に限定して課税される「累進課税」の性格を持っています。
第5章|まとめ 相続税の歴史を知ることは、これからの対策にもつながる
相続税は「亡くなった人に税金をかける理不尽な制度」ではなく、社会全体の公平性を保ちつつ、経済的な富の偏りを防ぐ役割を持っています。
制度の成り立ちを知ることで、「なぜ相続に税金がかかるのか?」という疑問が解けるだけでなく、今後の相続対策や贈与設計にも役立つ視点を持つことができます。
もしご自身やご家族の資産が相続税の対象となるか不安がある方は、ぜひ相続税に詳しい税理士にご相談ください。当事務所では、富士市・富士宮市にお住まいの皆さまの相続対策をサポートしております。