地味だけれども大切な遺言の話

2022年10月27日 飯野悠美子

相続において遺言は非常に有用なものです。できるだけ、健康なうちに、作成しておきましょう(あるいは、作成をお願いしておきましょう)。亡くなった方の財産は、元々その人の財産ですから、どのように分けたいかというのは、その亡くなった方の意思が最も尊重されます。

70歳あるいは75歳になったら作成する、と自分の中で決めておくとよいでしょう。注意すべきは、重度の認知症になってしまうと、遺言が作成できなくなります。まだら状態の認知症の場合は作成が、状態が良ければ、可能です(この場合は、必ず公正証書遺言にしましょう)。

■重要な特徴をあげていきます。

1 遺言は何度でも書き直すことができます

2 遺言があっても、相続人全員の同意があれば、遺産分割協議による分割が可能です。例えば、遺言通りに遺産を分割してしまうと、相続税が多額に発生する場合などに、この手を使います。

3 遺言には付言というものを書き添えることができます。これは法的な効力はないのですが、生きている間に、相続人たちに伝えることができなかった、被相続人、つまり亡くなった方の思いを遺言を通じて伝えることができます。これにより、遺産相続で揉めるということが回避できることもあります。

 

■遺言の種類についてです。

遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、の3種類ありますが、おすすめできるのは、公正証書遺言しかありません。

自筆証書遺言は、自分ひとりで作成でき、誰にも見られないため、気軽ですが法的要件不備のため、遺言自体が無効とされるリスクをはらんでおり、これを原因として紛争になるリスクもあります。テレビドラマでは、何枚も違う遺言が、後から後から出てくる事件が起こったりしますが、これは自筆証書遺言とそれを偽造したものです。

秘密証書遺言も同様ですが、違いは本人が作成した後に、公証役場に持っていき、その存在だけを公証人に死後証明してもらえるという点です。そのためテレビドラマのようなことは生じませんが、他のリスクは残ります。

これら二つがオススメできない最大の理由は、家庭裁判所の検認がいずれも必要だということです。これが非常に面倒くさい。面倒くさいのに多くのリスクがある。そのため、これら2種の遺言は、よほどの理由でもない限り、オススメできません。

したがって、公証人が立会のもと、公証人が作成してくれる公正証書遺言がオススメです

■遺留分について

また、遺言を作成する際には、遺留分についても考慮しなければいけません。遺留分とは各相続人が、最低限もらえる権利のある相続財産です。相続人の間で仲が悪いと、遺留分についての訴訟が提起されるリスクもあります。生前から、相続人どうしが相当仲が良いのであれば別ですが、死後の相続財産をめぐる関係の変化は生前にはわかりませんので、遺留分を考慮した分割内容とした遺言の作成をオススメします。。

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