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法人と個人で減価償却の計算方法はどう違う?

こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。

事業で使う建物や機械、車両などの固定資産は、時間の経過とともに価値が減っていきます。この価値の減少に合わせて、取得にかかった費用を数年間にわたって少しずつ経費として計上していく会計処理を「減価償却」といいます。

減価償却の計算は、法人税や所得税の計算にも関わる重要な処理です。この減価償却のルールには、法人と個人事業主とでいくつかの違いがあります。

今回は、減価償却における法人と個人事業主の主な違いについて、解説します。

1 原則となる減価償却の計算方法が異なる場合がある

減価償却費の計算方法にはいくつか種類がありますが、主に使われるのは「定額法」と「定率法」の2つです。

定額法とは 毎年一定の金額を減価償却費として計上する方法です。計算がシンプルで、毎年同じ額を経費にできるため、資金計画が立てやすいという特徴があります。

定額法

定率法とは 未償却残高(資産の取得価額からこれまでの減価償却累計額を差し引いた金額)に一定の割合をかけて減価償却費を計上する方法です。この方法では、資産を取得した最初の年に最も多くの減価償却費を計上でき、年々その額が減少していくという特徴があります。早期に多くの経費を計上できるため、特に事業開始初期の税負担を軽減したい場合に有利となることがあります。


情報元:国税庁 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)

定率法

法人と個人事業主の原則的な計算方法の違い

個人事業主の場合 原則として、すべての減価償却資産について定額法を用います。

法人の場合 原則として、建物、建物附属設備、構築物、ソフトウェア以外の減価償却資産については定率法を用います。

ただし、建物、建物附属設備、構築物、ソフトウェアについては、個人・法人いずれの場合も、必ず「定額法で計算しなくてはならないと定められています。

計算方法を変更したい場合

原則と異なる計算方法を選択したい場合は、事前に税務署へ届け出を行うことで、変更が認められるケースがあります。

法人の場合 機械設備、車両運搬具、工具器具備品について、定率法から定額法へ変更したい場合は、変更したい事業年度の開始前日までに税務署に届け出ます。

個人事業主の場合 建物・建物附属設備・構築物・ソフトウェア以外の固定資産について、定額法から定率法へ変更したい場合は、変更しようとする年の3月15日までに税務署に届け出ます。

定額法と定率法は、最終的に経費として計上できる合計額は同じですが、年度ごとの金額が変わるため、どちらが自身の事業状況に合っているか検討することが重要です。

定額法定率法表

2 減価償却費の計上が義務か任意かが異なる

減価償却におけるもう一つの大きな違いは、費用計上を行うことが義務付けられているか、それとも任意であるかという点です。

個人事業主は原則として義務(強制償却

個人事業主の場合、原則として、減価償却の対象となる資産は、法定耐用年数に応じて減価償却費を計上することが義務付けられています。これは、所得税法で計算した金額を「計上しなさい」と定められているためです。これにより、資産の経年劣化や減耗を費用として認識することが強制されます。

法人は原則として任意(任意償却

法人の場合、原則として、減価償却を行うかどうかは任意です。法人の場合、税法上計算される減価償却費の金額はあくまで上限額であり、その範囲内で会社の判断により償却費を計上するかどうか(帳簿上で費用として認識するかどうか)を決めることができます。これを「任意償却」といいます。

法人の任意償却のメリットと注意点

メリット

法人が任意償却できることには、損金計上を遅らせて将来の利益と相殺することで、課税を先送りするというメリットがあります。特に事業が軌道に乗るまでの期間など、まだ利益が少ないうちは減価償却費を計上せず、利益が多くなった事業年度に計上するという選択が可能です。

注意点

しかし、減価償却を行わなかったからといって、翌年度にまとめて計上できるわけではありません。

また、法人の任意償却には注意点もあります。減価償却は資産の価値の減少を費用として認識する処理であり、これを適切に行わないと、決算書が会社の真の経営状態を示さなくなる可能性があります。その結果、銀行などから融資を受ける際の審査で不利になるなど、会社経営の他の側面にマイナスとなることもあり得ます。節税目的であっても、決算書の読み手からは「赤字を小さく見せようとした」と捉えられかねないため、取り扱いには十分注意が必要です。

減価償却について >

まとめ

このように、減価償却の方法や費用計上の考え方には、法人と個人事業主で違いがあります。

  • ■原則的な計算方法: 個人事業主は定額法、法人は定率法が原則(建物等を除く)
  • ■費用計上の任意性: 個人事業主は原則義務(強制償却)、法人は原則任意(任意償却)

これらの違いを理解した上で、自身の事業形態や経営状況に合った減価償却の方法を選択し、適切に会計処理を行うことが大切です。

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飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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【小規模宅地の特例】老人ホーム入居中の親の自宅に使える?

こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。

親が老人ホームに入居していて、もし相続が発生したら「実家の土地にかかる相続税はどうなるの?」と心配になったことはありませんか?

「小規模宅地等の特例」という制度を使えば、相続税を大幅に減らせる可能性があります。今回は、老人ホームに入居中の場合でもこの特例が使えるのか、どんな条件が必要なのかを説明します。

1. 小規模宅地等の特例って何?

小規模宅地等の特例とは、亡くなった方が住んでいた家の土地や、事業で使っていた土地を相続するときに、土地の評価額を大幅に下げてくれる制度です。小規模宅地の特例の概要については、次のコラムをご覧ください。

小規模宅地等の特例について >

2. 老人ホームに入居していても特例は使える?

以前は「老人ホームで亡くなった場合、元の家は空き家だから特例は使えない」という厳しい扱いでした。でも、これはあまりにも理不尽だということで、平成26年から制度が改正されました。

現在では、一定の条件を満たせば、老人ホームに入居していても特例を受けることができます。


情報元:国税庁 老人ホームへの入所により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等の特例

3. 特例を使うための主な条件

老人ホームに入居していた場合に特例を使うには、主に次の2つの条件をクリアする必要があります。

条件その1:介護が必要で老人ホームに入居したこと

  • ■要介護認定や要支援認定を受けていることが必要です
  • ■基本チェックリスト※や障害者支援区分の認定でもOKです
  • ■判定のタイミングは亡くなる直前なので、施設に入る時点で認定を受けていなくても大丈夫です
  • ■相続後に認定が判明した場合でも、生前から認定を受けていたとみなされる場合があります

※基本チェックリストとは、65歳以上の高齢者が自分の生活や健康状態を振り返り、心身の機能で衰えているところがないかどうかをチェックするためのツールです

条件その2:自宅を老人ホーム入居後に貸したりしていないこと

  • ■老人ホームに入居している間に、元の自宅を誰かに貸して家賃を取っていた場合は特例が使えません
  • ■親族に無償で貸した場合も「貸している」とみなされるので注意が必要です
  • ■基本的には、老人ホームに入った時と同じ空き家の状態を保っている必要があります

老人ホームにすむ女性

4. 誰が相続すれば特例が使える?

特例を使えるのは、原則として次のような人です:

  • ■配偶者:亡くなった方の妻や夫
  • ■同居していた親族:老人ホームに入る前に一緒に住んでいた家族

「同居」の判定は、老人ホームに入る直前に同居していたかどうかで決まります。

また、「家なき子」の特例もあります。これは、別居していて賃貸住宅に住んでいる親族が相続する場合に使える制度です。ただし、同居している親族がいる場合は使えません。

家なき子特例について >

5. その他のケース

配偶者が自宅に住み続けている場合

夫婦のうち一方が老人ホームに入居し、もう一方が自宅に住み続けている場合、配偶者が相続すれば特例が使えます。

夫婦で老人ホームに入居している場合

ご夫婦揃って老人ホームに入居し、自宅が空いている場合でも、配偶者が相続すれば特例が適用できます。

老人ホーム間で転居した場合

複数の老人ホームを転居した場合でも、すべての施設が適格な施設であれば、最初の老人ホームに入る前の自宅について特例が使えます。

6. 注意が必要なポイント

無認可の老人ホームはNG

都道府県に届出をしていない無認可の老人ホームに入居していた場合は、特例を受けられません。入居する際は、きちんと認可を受けた施設かどうか確認しましょう。

「同居」の定義

住民票の住所が同じというだけでなく、実際に一緒に暮らしていたことが重要です。住民票だけ移していても、実際に住んでいなければ同居とはみなされません。

7. 必要な書類について

特例を受けるためには、様々な書類を準備する必要があります。

基本的に必要な書類

  • ■遺産分割協議書または遺言書の写し
  • ■被相続人の住民票の写し
  • ■印鑑証明書(遺産分割協議書に押印した全相続人分)
  • ■戸籍謄本(被相続人と相続人全員分)

老人ホーム入居の場合に追加で必要な書類

  • ■被相続人の戸籍の附票の写し
  • ■要介護認定証や要支援認定証の写し(介護保険被保険証や障がい者福祉サービス受給証でも可)
  • ■施設入居時の契約書の写し
  • ■施設の許認可に関する書類の写し

「家なき子」の特例を使う場合の追加書類

  • ■戸籍の附票の写し
  • ■賃貸借契約書または登記簿謄本

8. まとめ:専門家に相談することをおすすめします

老人ホーム入居中の親の自宅について、小規模宅地等の特例は非常に有効な相続税対策となります。しかし、適用には様々な条件があり、ケースによって必要書類も変わってきます。

相続税は専門性が高い分野ですし、老人ホームが絡むとさらに判断が複雑になります。「使えると思っていた特例が実は使えなかった」「知らずに特例を見落として、本来よりも多くの相続税を払ってしまった」ということがないよう、是非ご相談ください。

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飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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【小規模宅地の特例】家なき子特例とは?

こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。

相続で家を引き継ぐとき、税金が高くなって困ることがあります。「小規模宅地等の特例」という制度を使えば、土地にかかる相続税を最大80%減らすことができます。

小規模宅地等の特例について >

この特例には「家なき子」という聞き慣れない言葉が出てきますが、これは税理士たちがよく使う専門用語です。正式な名前ではありませんが、とても重要な制度です。今回はこの「家なき子」について説明していきます。

1. そもそも「家なき子」って誰のこと?

「家なき子」とは、亡くなった方(父や母)と一緒に住んでいなかった家族のことを指します。ただし、別々に住んでいただけでは「家なき子」にはなりません。


情報元:リンク 国税庁 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

家なき子特例が適用するには、次の要件を満たす必要があります。

① 被相続人(亡くなった方)に配偶者がいないこと

② 同居の相続人(相続放棄した人も含む)がいないこと

③ 被相続人の親族であること

④ 相続開始前3年間に、特定の家屋に住んでいないこと

⑤ 今住んでいる家を過去に自分が所有していたことがないこと

⑥ 申告期限までその宅地を保有し続けること

 

以下で、それぞれの要件について詳しく説明します。

① 被相続人(亡くなった方)に配偶者がいないこと

配偶者(夫や妻)がいる場合は、配偶者が優先されます。この要件があることから、家なき子特例は、基本的に二次相続のときに適用を検討します。

② 同居の相続人(相続放棄した人も含む)がいないこと

同居している家族がいる場合は、その人が優先されます。①とあわせて検討すると、被相続人に同居している相続人が全くいないこと、が要件となります。

③ 被相続人の親族であること

相続人だけでなく、孫でも親族であれば適用を受けることができます。

④ 相続開始前3年間に、特定の家屋に住んでいないこと

自分の家や親族の家ではなく、他人から借りた家に住んでいる必要があります。自分の家や親族の家とは、その相続人、その相続人の配偶者、その相続人の3親等内の親族又はその相続人と特別の関係のある法人が所有する家屋に住んでいないことをいいます。

⑤ 今住んでいる家を過去に自分が所有していたことがないこと

昔自分が住んでいた家を借りて住んでいる場合は対象外です。

⑥ 申告期限までその宅地を保有し続けること

相続税の申告期限まで売却や贈与をしてはいけません。申告期限までの間に、対象の土地を売却した場合は、家なき子特例の対象ではなくなります。

 

以上から、亡くなった方が一人暮らしで、その子供等が、長期間、賃貸住宅に住んでいる場合に、この特例が使える可能性があるということになります。

2. 平成30年の法改正で何が変わった?

平成30年の改正により、家なき子特例には大きな変更がありました。

具体的には、次のとおりです。

上述の要件『④相続開始前3年間に特定の家屋に住んでいないこと』の特定の家屋に、相続人の3親等以内の親族の持ち家、相続人本人と関係のある一定の法人の持ち家が追加されました。また、『⑤今住んでいる家を過去に自分が所有していたことがないこと』も追加されました。

昔はこんなことができた

  • ■自分の家をいったん親に売って、その家を借りて住むことで「賃貸住宅」扱いにする
  • ■親族の家を借りて住むことで条件をクリアする

しかし、新しく追加された要件により「形だけの賃貸住宅」は認められなくなりました。現在は、完全に他人から借りている賃貸住宅でなければ、この特例は使えません。

具体的にダメなケース

  • ■自分が昔住んでいた家を借りて住んでいる
  • ■親族が所有する家を借りて住んでいる
  • ■名義だけ変更して実質的に自分の家

3. 申請に必要な書類は?

「家なき子」特例を使うときは、以下の書類を準備する必要があります。

基本的な必要書類

①被相続人の戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写し

  • ■被相続人に配偶者や同居親族がいないことを証明
  • ■相続開始日から10日以降に作成されたもの

②自宅を取得する人の戸籍の附票の写し

  • ■過去の住所変遷がわかる書類
  • ■相続開始前3年以内における住所を証明

③遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し

  • ■特例を申請する宅地を申請者が相続していることを証明

④相続人全員の印鑑証明書

  • ■遺産分割協議書に押印したもの

⑤登記事項証明書や賃貸借契約書の写し

  • ■相続開始前3年以内に居住していた家屋が持ち家でないことを証明
  • ■賃貸借契約書(今住んでいる家が借りた家であることの証明)
  • ■住んでいる物件の登記簿謄本(誰が所有者かを確認するため)

これらの書類をきちんと準備して、相続税の申告書と一緒に提出することが大切です。

賃貸住宅に住む息子 (2)

4. 絶対に忘れてはいけない申告のこと

重要なポイント この特例を使って相続税が0円になったとしても、必ず税務署に申告しなければなりません。

申告を忘れるとどうなる?

  • ■特例が使えなくなる
  • ■本来なら0円だった相続税が、多額になる可能性がある

税務署の調査について 税務署は申告内容をチェックすることがあります。特に「家なき子」特例については、本当に賃貸住宅に住んでいたかどうかを詳しく調べることがあります。そのため、契約書などの書類はきちんと保管しておくことが重要です。

5. まとめ:迷ったら専門家に相談を

「家なき子」特例は、使えれば大きな節税効果がある制度ですが、要件がとても複雑です。

この特例のポイント

  • ■亡くなった方が一人暮らしの場合に検討する
  • ■3年以上、他人から借りた家に住んでいることが必要
  • ■平成30年の改正で、適用条件が厳しくなった
  • ■相続税が0円でも申告は必須

こんな場合は専門家に相談を

  • ■自分のケースで特例が使えるかわからない
  • ■必要な書類が揃っているか不安
  • ■税務署の調査が心配

この特例を正しく理解して活用すれば、相続税の負担を大幅に軽減できる可能性があります。ぜひ参考にしてみてください。

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静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

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【小規模宅地等の特例】同居の要件とは?

こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。

相続が発生したとき、自宅の土地にかかる相続税を最大80%も減額できる制度があることをご存知ですか?それが「小規模宅地等の特例」です。この制度を使えるかどうかで、相続税の負担が何千万円も変わることがあります。

次のコラムで、小規模宅地等の特例について、概要をご確認ください。
小規模宅地等の特例について >

今回は、この制度の中でも特に重要な「同居要件」について、解説します。特に判断が難しい二世帯住宅のケースも詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

1. 小規模宅地等の特例とは?

小規模宅地等の特例は、亡くなった方(被相続人)が住んでいた土地について、相続税の評価額を大幅に減額できる制度です。この制度の中でも「特定居住用宅地等」は、多くの方が利用を検討される特例です。

この特例を使うためには、相続人によって異なる要件がありますが、その一つが「同居」です。亡くなった方と一緒に住んでいた家族がこの特例を使う場合、「同居」の要件を満たしているかが非常に重要になります。

2. 法律上の「同居」って何?実態が重要!

「同居」の定義は、法律に明確に書かれているわけではありません。単に同じ建物に住んでいれば良いというものではなく、税務上は実際の生活状況が非常に重視されます。

二世帯住宅税務署はここをチェックしている

税務署は、特例の適用要件が満たされているかを確認する際、表面上の情報だけでなく、実際の生活状況を詳しく調べます。

住民票があっても同居と認められないケース

  • ■住民票が同じ場所にあっても、実際に一緒に生活していた形跡がない場合

住民票が別でも同居と認められるケース

  • ■諸事情で住民票が別々でも、実際に同居していたことが証明できる場合

水道光熱費も調査対象

税務署が同居の実態を調べる手段の一つに、水道光熱費の調査があります。一人暮らしと家族暮らしでは金額が異なるため、この情報を基に同居の実態を判断することがあります。

一時的な同居は認められない

特例適用のためだけに一時的に同居を開始したケースは、基本的に「同居」とはみなされません。例えば、住民票だけを移したり、亡くなる直前に同居を始めたりするケースがこれに該当します。

3. 二世帯住宅の場合はどう判定される?

二世帯住宅は、親と子など二つの世帯が一つの建物に住む形態ですが、その構造や登記の状況によって、税務上の「同居」とみなされるかどうかの判断が変わります。

平成25年度の税制改正で二世帯住宅に関する取り扱いが見直されました。ここでは、建物の構造と登記のパターン別に、特例の適用可否を見ていきましょう。

二世帯住宅について >

パターン1:区分所有登記でない建物(非分離型)

建物の形態:建物内部で行き来が可能で、区分所有登記がされていない建物

結論:⭕特例の適用が可能

二世帯住宅というより、単に同居していると見なされます。平成25年度改正前からも適用可能なパターンでした。

パターン2:区分所有登記でない建物(完全分離型)

建物の形態:玄関が別々で、建物内部で行き来ができない構造だが、区分所有登記がされていない建物

結論:⭕特例の適用が可能

親子間でもプライベートな空間を確保したいというニーズから増えているパターンです。平成25年度改正前は原則適用できませんでしたが、改正により適用可能になりました。

パターン3:区分所有登記建物(完全分離型)

建物の形態:玄関が別々で、建物内部で行き来ができない構造で、区分所有登記がされている建物

結論:❌ 特例の適用ができません

区分所有登記がされている場合、マンションのように部屋単体で生活機能が完備され、それぞれの居住スペースが完全に独立しているとみなされます。

パターン4:区分所有登記建物(非分離型)

建物の形態:建物内部で行き来ができる構造で、区分所有登記がされている建物

結論:❌ 原則として特例の適用ができません

ただし、亡くなった方の居住部分が、特例を適用する相続人の居住部分と同じ階にも及んでいるなど、実態として寝食を共にしている状況があれば、適用できる可能性があります。

パターン5:未登記建物(完全分離型)

建物の形態:玄関が別々で、建物内部で行き来ができない構造で、未登記の建物

結論:⭕特例の適用が可能

未登記ということは区分所有登記がされていない建物であるため、区分所有登記でない完全分離型の建物と同様に考えられます。

パターン6:別棟登記である二棟の建物(非分離型)

建物の形態:それぞれ別の建物として登記されているが、物理的にくっついており、建物内部で行き来ができる構造

結論:⭕原則として特例の適用が可能

ただし、それぞれの建物が「1棟の建物」と認定される場合には、特例の適用はできません。

パターン7:渡り廊下がつながっている別登記建物(非分離型)

建物の形態:それぞれ別の建物として登記されている家屋が、事後的に渡り廊下で接続された建物

結論:❌ 特例の適用ができません

渡り廊下で接している程度では、互いに「1棟の建物」とは認められないため、たとえ内部で行き来ができても同居とは判断されません。

4. 特例適用には税務署への説明がカギ

小規模宅地等の特例を適用する場合、必ず相続税の申告が必要です。たとえ特例を使った結果、相続税額が0円になったとしても、申告自体を省略することはできません。申告を怠ると特例が適用されず、追徴課税を課される可能性があります。

税務調査への備え

税務署は申告書の内容に不明点があれば調査を行います。特に同居要件のように実態が問われる場合、税務調査で質問される可能性もあります。

申告書に特例適用の経緯や、同居の実態を示す参考資料(水道光熱費の領収書など)を添付することで、税務署が調査する必要性を減らし、税務調査のリスクを下げることが期待できます。

5. まとめ:専門家への相談がおすすめ

小規模宅地等の特例は、相続税の負担を大きく軽減できる非常に有効な制度です。特に「同居要件」は重要なポイントであり、単なる住民票の有無だけでなく、実際の生活実態が重視されます。

二世帯住宅の場合は、建物の構造や登記の状況によって判断が分かれるため注意が必要です。要件が複雑で判断に迷うことも多いため、特例を確実に適用するためには、税理士に相談することをお勧めします。

専門家であれば、個別の状況に応じた適切な判定や、申告手続きのサポートを受けることができます。大切なご自宅の土地にかかる相続税の特例を最大限に活用するためにも、まずは、私たちにご相談ください。

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【小規模宅地の特例】二世帯住宅の相続税

親御さんと一緒に住める二世帯住宅。家族の絆を深められる素晴らしい住まい方ですが、相続税の面で大きな落とし穴があり、注意が必要です。

登記の仕方一つで、相続税が大きく変わってしまう可能性があります。今回は、二世帯住宅にお住まいの方や、これから建築を検討している方に向けて、この重要なポイントを解説します。

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1. 小規模宅地等の特例とは?相続税を大幅に減らせる制度

まず、相続税を大きく左右する「小規模宅地等の特例」について説明しましょう。

この特例は、亡くなった方が自宅として使っていた土地を、配偶者や同居していた家族が相続する場合に使える制度です。330㎡までの土地の評価額を80%も減額できます。

例えば、評価額1億円の土地があった場合、この特例を使えば2,000万円まで減額できるのです。相続税は土地の評価額をもとに計算されるため、税額が大幅に下がります。

特例が使える条件

  • ■亡くなった方が自宅として使っていた土地であること
  • ■配偶者または同居していた親族が相続すること
  • ■330㎡まで(約100坪)の部分が対象

この制度があるおかげで、多くの家庭で相続税の負担が軽減されています。

次のコラムで、小規模宅地等の特例の概要をご確認ください。
小規模宅地の特例について >

2. 二世帯住宅での特例適用ルールの変遷

二世帯住宅の場合、親世帯と子世帯が別々のスペースで暮らすことが多いため、「同居」とみなされるかどうかが重要なポイントになります。

平成26年度の税制改正前の状況

以前は、建物の構造によって判断が分かれていました。

  • ■建物内部で行き来できる構造:「同居」とみなされ、特例が使える
  • ■建物内部で行き来できない構造:「別居」とみなされ、特例が使えない

この時代は、玄関やキッチンが完全に分かれている二世帯住宅では、特例を受けられませんでした。

平成26年度の税制改正後の変化

平成26年の改正により、状況が大きく変わりました。

「構造上区分された住居であっても、同居親族として小規模宅地等の特例を認める」という方針に変更されたのです。つまり、建物内部で行き来ができなくても、二世帯住宅であれば原則として同居とみなされ、特例が受けられるようになりました。

次のコラムで「同居の要件」についてご確認ください。
同居の要件について >

これで二世帯住宅にお住まいの方は安心…と思いきや、実は新たな落とし穴が生まれていたのです。

二世帯住宅

3. 区分所有登記という大きな落とし穴

平成26年の改正で構造の問題は解決されましたが、新たに「区分所有建物登記がされている建物を除く」という条件が加わりました。

区分所有登記とは?

区分所有登記とは、一つの建物を部分ごとに独立した所有権として登記することです。例えば:

  • ■1階部分:親の所有
  • ■2階部分:子の所有

このように、分譲マンションの各部屋のように、建物の一部分ごとに独立した権利を設定する登記方法です。

なぜ問題になるのか?

区分所有登記されている二世帯住宅では、たとえ親子が同じ建物に住んでいても、法的には「別々の建物に住んでいる」と判断されます。そのため、小規模宅地等の特例が適用できなくなってしまうのです。

同じ二世帯住宅に住んでいても、登記方法が違うだけで数千万円の相続税の差が生まれる可能性があります。

4. 共有登記との違いを理解しよう

ここで混同しやすいのが「共有登記」です。

共有登記の場合

共有登記は、一つの建物全体を複数人で共有して所有する形です。例えば:

  • ■建物全体:親が1/2、子が1/2の持分で共有

この場合は問題なく同居扱いとなり、小規模宅地等の特例を使えます。

見分け方のポイント

  • ■区分所有登記:建物が部分ごとに独立して登記されている
  • ■共有登記:建物全体を共有持分で所有している

この違いが、相続税に大きな影響を与えるのです。

5. あなたの家の登記を確認する方法

ご自宅の登記がどうなっているか確認するには、固定資産税の納税通知書を見るのが簡単な方法です。

区分所有登記の場合

  • ■建物ごとに所有者が異なる場合、それぞれに別々の納税通知書が届く
  • ■同じ所有者でも、家屋番号が複数記載されている場合がある

共有登記の場合

  • ■代表者一人に1通の納税通知書が届く
  • ■「納税者 ○○様(他1名)」のような記載がある

より確実な確認方法

不安な場合は、以下の方法で確認できます:

  • ■登記簿謄本を法務局で取得する
  • ■税理士や土地家屋調査士などの専門家に相談する

早めの確認が、将来の相続税対策につながります。

6. 区分所有登記だった場合の対策方法

もし現在の二世帯住宅が区分所有登記されていても、諦める必要はありません。「区分建物合併登記」という手続きで対策できる可能性があります。

区分建物合併登記とは?

複数に分かれている区分所有建物を、一つの建物として合併し、共有登記に変更する手続きです。これにより、小規模宅地等の特例の適用を目指せます。

合併登記の要件

ただし、この手続きにはいくつかの条件があります:

所有者が同じであること

  • ■合併する各部分(1階・2階など)の所有者が同一である必要があります
  • ■所有者が異なる場合は、事前に贈与や売買で所有権を調整する必要があります

抵当権が同じであること

  • ■各建物部分に設定されている抵当権の内容も統一する必要があります
  • ■住宅ローンが残っている場合は、銀行との調整や一括返済が必要になることもあります

手続きの流れと注意点

合併登記は土地家屋調査士に依頼して行います。ただし、相続税への影響も考慮して、税理士とも連携して進めることが重要です。

手続きには以下の費用がかかる可能性があります:

  • ■登記費用
  • ■所有権移転に伴う税金(贈与税、不動産取得税など)
  • ■ローンの借り換え・一括返済費用

相続税の軽減メリットと比較して、費用対効果を十分に検討する必要があります。

7. まとめ:早めの確認と対策が重要

二世帯住宅の相続税対策で最も重要なのは、建物の構造ではなく「登記の種類」です。

重要なポイント

  • ■区分所有登記では小規模宅地等の特例が使えない
  • ■共有登記なら特例が適用できる
  • ■区分所有登記でも合併登記で対策可能
  • ■ただし要件や費用の検討が必要

今すぐできること

  • ■固定資産税の納税通知書で登記状況を確認
  • ■必要に応じて早めの対策を検討

二世帯住宅は素晴らしい住まい方ですが、相続税の面で思わぬ落とし穴があります。将来の相続に備えて、今のうちに自宅の登記状況を確認し、必要に応じて対策を検討することをお勧めします。

是非、ご相談ください。

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飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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【相続税】配偶者控除のメリット・デメリット 二次相続に注意

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

「配偶者には相続税がかからないって本当?」「1億6千万円までは非課税って聞いたけど、うちは大丈夫?」このような疑問があるかと思います。

一定の条件を満たすと、配偶者は相続税を最大1億6,000万円まで、または法定相続分まで非課税にできる制度があります。「配偶者控除」と呼ばれる制度です。

この制度をうまく活用すれば相続税の負担を大幅に軽減できる一方で、使い方を間違えると、かえって家族全体の税負担が重くなってしまうこともあります。今回は、この配偶者控除について、基本的な仕組みから注意点までを解説します。


情報元:国税庁 配偶者の税額の軽減

1. 配偶者の相続税は最大1億6,000万円まで非課税

相続税の配偶者控除は、配偶者が相続した財産に対する相続税を大幅に軽減してくれる制度です。これは、残された配偶者の生活を守るために設けられている優遇制度です。

よく混同されがちですが、これは所得税の配偶者控除とは全く別の制度です。所得税の配偶者控除は毎年の所得に関するものですが、相続税の配偶者控除は相続時の一回限りの制度となります。

配偶者が受け取る財産のうち、次のいずれか多い金額までは相続税がかかりません

  • ■1億6,000万円
  • ■配偶者の法定相続分

つまり、配偶者は「最低でも1億6,000万円まで」は相続税がかからないということです。

法定相続分について >

具体例で見てみましょう

例1:夫の財産3億円、妻と子供2人の場合

  • ■妻の法定相続分:1億5,000万円(3億円の2分の1)
  • ■1億6,000万円 > 1億5,000万円なので、妻の相続分1億5,000万円は全額非課税

例2:夫の財産5億円、妻と子供1人の場合

  • ■妻の法定相続分:2億5,000万円(5億円の2分の1)
  • ■法定相続分の方が大きいので、2億5,000万円まで非課税

例3:遺産が6億円あって相続人が配偶者1人だけの場合

  • ■法定相続分は100%ですので、6億円すべてに相続税がかかりません

例4:夫の財産3億円で、妻が2億円を相続する場合

  • ■妻の法定相続分:1億5,000万円
  • ■実際の相続分:2億円
  • ■1億6,000万円まで非課税、残り4,000万円が課税対象

2. 配偶者控除を受けるための3つの条件

配偶者控除を適用するには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。

2-1. 法律上の配偶者であること

対象となるのは法律上の婚姻関係にある配偶者のみです。いわゆる「内縁の妻(夫)」や、事実婚の相手は対象になりません。

逆に、婚姻届を出してから日が浅くても、法律上の配偶者であれば対象になります。婚姻期間の長さは問われません。

2-2. 遺産分割が完了していること

税額軽減を適用するには、相続税申告の時点で遺産分割が完了していることが求められます。原則として、相続税の申告期限(相続開始を知った日から10か月以内)までに、遺産分割が確定している必要があります。

万が一間に合わない場合は、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出すれば、一時的に申告期限の延長が認められますが、配偶者控除は当初申告では適用せずに、いったん税金は納付しなければなりません。後から遺産分割が完了した際に更正の請求を行うことで、配偶者控除を適用して納めすぎた相続税の還付を受けることができます。

2-3. 相続税申告書の提出が必要

これが最も重要なポイントです相続税の申告自体は必要です申告書を提出しないと、この制度は適用できません

配偶者控除は自動的に適用されるものではありません。たとえ相続税額が0円になる場合でも、必ず申告書を提出する必要があります。期限を過ぎると原則として配偶者控除が使えなくなり、延滞税などのペナルティも発生する可能性があります。

申告書には、戸籍謄本や遺産分割協議書、遺言書のコピーなどの必要書類を添付する必要があります。また、税務調査で意図的に隠されていた財産については、配偶者控除の対象外となります。

3. 二次相続を見据えた相続税対策が重要

配偶者控除制度を活用すれば、一次相続(最初の相続)において配偶者が財産を多く相続しても、相続税がほぼかからないことがあります。

しかし、ここで注意すべきなのが、二次相続の発生です。

二次相続とは?

  • ■一次相続:夫婦の一方が亡くなったときの相続
  • ■二次相続:残された配偶者が亡くなったときの相続

一次相続で配偶者が財産をすべて引き継いだ場合、その配偶者が亡くなったとき、今度は子どもたちがすべての財産を相続することになります

このとき、一次相続時には適用できた配偶者の控除がもう使えないため、結果的に高額な相続税を支払うことになるケースもあるのです。

つまり、「配偶者が全部もらえば安心」と思っても、長期的に見れば損をすることもあるということです。

配偶者控除

4. まとめ:配偶者控除は”バランス”がカギ

このように、配偶者控除制度は、相続税対策として強力ですが、諸刃の剣でもあります。配偶者の生活保障と、将来の相続(いわゆる二次相続)まで見越したバランスが重要です。

特に、富士市や富士宮市のように不動産資産を多く持つご家庭では、資産の分け方次第で大きく税額が変わることがあります。

大切なのは以下の3点です:

  • ■配偶者の生活に必要な金額を確保する
  • ■一次相続と二次相続を合わせた家族全体の税負担を考える
  • ■専門家のアドバイスを受けながら最適な遺産分割を検討する

一次相続と二次相続の相続税の合計額が最小になるようにシミュレーションをしましょう。ふたつの相続間に相当の時間の経過がある場合がありますが、その場合は、別に相続対策ができますので、まずは、今二次相続が生じたと仮定して相続税を最小化するように考えてみましょう。

相続の状況は家庭によって様々で、最適な判断には専門的な知識が必要です。相続が発生した際や生前対策を検討される場合は、相続税に詳しい税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

配偶者控除を上手に活用して、家族全体にとって最良の相続対策を立てていきましょう。

コラム最下署名

相続税の専門院

飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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