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【消費税】購入者が受け取るキャッシュバックの税務処理とは?

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

「家電を買ったらメーカーから5,000円キャッシュバック」「クレジットカードで1%還元」など、キャッシュバックは私たちの身近な制度です。しかし、事業者の方にとって重要なのは、このキャッシュバックで消費税の処理をどのようにするか、という点です。

キャッシュバックの提供元によって消費税の取り扱いが大きく異なります。


1 キャッシュバックの判断基準

キャッシュバックの定義

商品・サービスの購入後に、購入者へ代金の一部が返金される制度です。返金方法は現金振込、ポイント付与、次回割引クーポンなど様々です。

よくあるキャッシュバックの例

  • ■スマートフォンメーカーの新機種購入特典
  • ■住宅設備メーカーのリフォーム補助金
  • ■クレジットカードのポイント還元
  • ■ECサイトの購入特典

次に、重要な判断基準をお伝えします。

判断のポイント

キャッシュバックの消費税処理は、提供元との関係性によって決まります。

キャッシュバック提供元消費税の取り扱い理由
商品メーカー・販売店課税対象販売促進目的の「値引き」に相当
クレジットカード会社・決済業者不課税金融取引の一部(債務免除)

2 課税取引となるキャッシュバック

製品メーカー等からの販売促進目的キャッシュバック

メーカーが製品購入者(消費者)に対し直接支払うキャッシュバックは、「売上げに係る対価の返還等」に該当します(消費税法基本通達14-1-2)。簡単に言えば、「後から行われた値引き」という考え方です。

消費税法基本通達14-1-2

事業者が販売促進の目的で販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先(課税資産の販売の直接の相手方としての卸売業者等のほかその販売先である小売業者等の取引関係者を含む。)に対して金銭により支払う販売奨励金等は、売上げに係る対価の返還等に該当する。

例えば、次のようなケースです。

  • ■家電メーカーが新製品を購入した消費者に対し、一定額を後日銀行振込で還元

  • ■ソフトウェア企業が、購入者全員を対象に申請ベースで返金を行う

仕入税額控除の修正が必要

事業者である購入者については、返金されたキャッシュバックは「仕入れに係る対価の返還等」(消費税法基本通達12-1-2)として、課税仕入れの修正対象になります。

消費税法基本通達12-1-2

事業者が販売促進の目的で販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先(課税仕入れの相手方のほか、その課税資産の製造者、卸売業者等の取引関係者を含む。)から金銭により支払を受ける販売奨励金等は、仕入れに係る対価の返還等に該当する。

事業者が事業用資産を購入し、後日キャッシュバックを受けた場合には、次の処理が求められます。

  • ■購入時:課税仕入れとして消費税を仕入税額控除

  • ■キャッシュバック受領時:控除済みの消費税から相当額を減額(返還)

リンク 国税庁 消費者に対するキャッシュバックサービスの課税関係


3 不課税取引となるキャッシュバック

クレジットカード会社等からの返金

クレジットカード利用額に応じて、カード会社が一定額をキャッシュバックする場合、これは消費税の課税対象外です(不課税取引)。その理由は「債務免除」に該当すると解釈されるためです(消費税法基本通達12-1-7)。カード会社は商品の販売に直接関与しておらず、あくまで金融サービスの一環として還元を行っています。

消費税法基本通達12-1-7

事業者が課税仕入れの相手方に対する買掛金その他の債務の全部又は一部について債務免除を受けた場合における当該債務免除は、仕入れに係る対価の返還等に該当しないことに留意する。

  • ■購入者が商品を購入(販売店が売上計上)

  • ■クレジットカード会社が立替払いを行い、後日購入者にキャッシュバック

この場合、カード会社は販売には関与しておらず、購入と返金の間に「対価性」が存在しないと判断されます。

課税仕入れの修正は不要

このような不課税キャッシュバックについては、購入者(事業者)側での仕入税額控除の修正は不要です。キャッシュバックは単なる「債務の減免」として扱われ、消費税の課税対象から外れます。したがって、「雑収入」として所得を構成します。


4 実務での注意点とまとめ

キャッシュバックの消費税処理について、実務で特に注意したいのは次の点です。

  • ■メーカー等からのキャッシュバックは課税対象
    → 仕入税額控除の調整が必要(購入者が事業者である場合)

  • ■クレジットカード会社等からの返金は不課税
    → 債務免除扱い、仕入税額控除の調整不要

  • ■販促目的か、金融取引の一部かの違いが判断基準

キャッシュバックの形態は多様ですが、その税務処理は提供元との関係性により大きく異なります。

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飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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「財産債務調書制度」対象者・提出期限・ペナルティを解説

1 財産債務調書制度の基本理解

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

財産債務調書制度は、内国税の適正な課税の確保を図るための重要な制度の一つです。 確定申告が必要な方や一定の要件に該当する方が、確定申告書とは別に保有する財産や債務に関する調書を税務署に提出することが義務付けられています。

この制度の真の目的は、将来の相続税申告対象財産を税務署が事前に把握することにあると考えられています。つまり、税務当局による「財産の見える化」を通じて、所得税・相続税の申告の適正性を担保する仕組みといえるでしょう。

昭和25年に「財産債務明細書」として導入された当初は罰則がなく実効性に乏しかったものの、平成27年度税制改正により加算税制度を伴う実効性のある制度として生まれ変わりました。そして令和4年度税制改正により、令和5年分から大幅な見直しが実施されています。

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2 令和5年分からの重要な制度変更

令和5年分から実施された主要な改正点は、以下の3つの柱から構成されています。

1. 提出義務者の範囲拡大

改正前の基準:

  • ■退職所得を除く各種所得の合計額が2,000万円超
  • かつ ■12月31日時点で財産合計額が3億円以上または国外財産特例対象財産が1億円以上

改正後の追加基準:

  • 12月31日時点で財産合計額が10億円以上の場合、所得金額に関係なく提出義務が発生

この変更により、従来は所得をコントロールすることで提出義務を回避できていた高額資産保有者も対象となります。特に影響を受けるのは、上場株式を特定口座で約10億円保有する個人投資家や、役員報酬は少ないものの自社株式評価額が10億円を超える中小企業オーナーなどです。

2. 提出期限の大幅延長

改正前: 翌年3月15日(確定申告期限と同日) 改正後: 翌年6月30日

この変更により、確定申告の繁忙期を避けて対応できるようになり、相続税試算のタイミングでの実施も可能となるなど、実務上の対応が格段にしやすくなりました。

3. 記載事項の大幅簡略化

提出義務者の事務負担軽減のため、記載省略可能な範囲が大幅に拡充されました。

主な簡略化内容:

  • ■家庭用財産:取得価額300万円未満は記載省略可(従来100万円未満)
  • ■預貯金:預入高50万円未満の口座は口座番号のみ記載で可
  • ■債務:300万円未満のものは件数・総額のみ記載で可
  • ■減価償却資産:資産別区分せず総額記載が可能

(出典:国税庁)


3 提出義務の判定と対象者の拡大

改正による実務的な影響

今回の改正で最も注目すべきは、財産10億円基準の導入です。これにより、高騰した自社株を保有する会社オーナーや大型株式投資家が新たに対象となる可能性が高まっています。

相続財産の取扱い

相続により財産を取得した場合、相続開始年の財産債務調書の提出義務判定においては、その相続や遺贈により取得した財産・債務を除外して判定することができます。これにより、相続によって一時的に財産額が基準を超えた場合でも、適切な判定が可能です。


4 加重措置と軽減措置の実務的影響

提出しない場合の加重措置(リスク)

財産債務調書の提出義務自体に直接的な罰則はありませんが、以下の場合に過少申告加算税等が5%加重されます:

提出期限内に財産債務調書の提出がない場合

提出された調書に記載すべき財産・債務の記載がない場合

重要な記載が不十分であると認められる場合

提出した場合の軽減措置(メリット)

財産債務調書を提出期限内に提出していた場合、その調書に記載がある財産・債務に関して所得税・相続税の申告漏れが生じたときは、過少申告加算税等が5%軽減されます。

重要なポイント: 加重措置が所得税の申告漏れに限定されるのに対し、軽減措置は所得税だけでなく相続税の申告漏れにも適用されます。これは将来の相続税調査リスクを考慮した際の大きなメリットといえるでしょう。

リンク 国税庁 財産債務調書の提出義務

過少申告加算税について


5 実務対応のポイントと今後の展望

税務調査への影響

財産債務調書に記載された内容と相続税申告書の内容が矛盾していると、税務調査の対象になりやすくなる可能性があります。税務署はKSK(国税総合管理)システムを通じて納税者の情報を一元管理しており、「お尋ね」が届くケースも増加傾向にあります。

富裕層・企業オーナーへの提言

今回の改正により、提出期限の延長と記載事項の簡略化が実現したため、提出義務がある方は確実に提出することを強く推奨します。また、提出義務がない場合でも、将来の相続税調査リスクを考慮した任意提出を検討する価値があります。

富裕層や企業オーナーの皆様には、自社株式の評価額や金融資産の価額を定期的に把握し、適正な申告を継続していくことが求められています。

まとめ

財産債務調書制度は、令和5年分改正により実務対応しやすい制度へと進化しました。しかし同時に、高額資産保有者への監視は確実に強化されています。制度を正しく理解し、適切な対応を心がけることで、将来のリスクを最小化しつつ、軽減措置のメリットを最大限活用していきましょう。

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大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

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【法人成り・消費税】なぜ決算期を7ヶ月にする?

リンク 国税庁PDF 特定期間

リンク 国税庁 特定期間Q&A

1 消費税の課税事業者と免税事業者

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

消費税には、納税義務を負う「課税事業者」と、免税が認められる「免税事業者」があります。以下の条件をすべて満たすと、免税事業者として消費税の納税義務が免除されます。

  • ■資本金1,000万円未満で設立された法人であること

  • ■基準期間(前々事業年度)における課税売上高が1,000万円以下であること

  • ■特定期間(前事業年度の前半6か月)における課税売上高または給与等支払額が1,000万円以下であること

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2 なぜ設立1年目は免税になるのか

消費税の納税義務は、原則として基準期間の課税売上高によって判定されます。

基準期間とは前々事業年度のことで、例えば2024年4月期の法人であれば2022年4月期が基準期間となります。

設立初年度には、この前々事業年度にあたる「基準期間」が存在しないため、基準期間による判定では原則として免税事業者となります。

これにより、1年目については売上規模にかかわらず消費税の納税が免除されるケースが一般的です。

ただし、資本金1,000万円以上で設立した場合など、他の要件で課税事業者となる場合もあります。

3 設立2年目に影響する「特定期間」の考え方

設立2年目の消費税の納税義務は、設立1年目の「特定期間」(最初の6か月間)によって判断されます。

この期間において、

  • ■課税売上高が1,000万円超
  • または■給与等の支払額が1,000万円超となった場合、
  • →設立2年目から課税事業者となる可能性が生じます。

4 短期事業年度の特例とは?「7ヶ月」の意味

設立初年度の事業年度が7ヶ月以下であれば、その年度は特定期間として扱われません(短期事業年度の特例)。

この制度を活用することで、2年目の消費税の納税義務を回避でき、結果として設立から「最長1年7ヶ月間」免税事業者として運営することが可能になります。

5 12ヶ月決算と7ヶ月決算の比較

法人設立1年目・2年目における消費税の免税判定
決算期間設立1年目設立2年目
12ヶ月免税
(基準期間なし)
課税の可能性あり
(特定期間が発生)
7ヶ月免税
(基準期間・特定期間ともに該当なし)
免税
(特定期間が6ヶ月未満で不成立)

12ヶ月で設立した場合、2年目から課税義務が発生するリスクがあります。一方、7ヶ月決算を選択すれば、特定期間の判定自体が行われないため、2年目も免税事業者となります。

6 注意点と実務対応

  • 決算期は登記時に設定する必要があるため、会社設立前に方針を固めておく

  • 設立後に変更する場合、定款変更と税務署への届出が必要となる

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【個人事業主向け】家族への給与は経費にできる?青色事業専従者給与!

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

個人事業を営む中で、ご家族に仕事を手伝ってもらうというケースは珍しくありません。特に配偶者や子ども、親などと生計をともにしている場合、「せっかく働いてもらっているのだから給与を出したい」と考えるのは自然なことです。

しかし、家族に支払う給与については税法上の制限があります。青色申告者であれば「青色事業専従者給与」として、一定の要件を満たすことで家族への給与を必要経費として計上することが可能になります。

この記事では、青色事業専従者給与の制度概要、適用要件、手続き、注意点などを、解説します。

リンク 国税庁 青色事業専従者給与と事業専従者控除


1 青色事業専従者給与とは?

「青色事業専従者給与」とは、青色申告を行っている個人事業主が、生計を一にする配偶者や親族に給与を支払う場合に、一定の条件を満たせばその給与を必要経費にできる制度です。

実際に支払った給与額が経費になる点が特徴です。

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2 青色事業専従者となるための要件

青色事業専従者給与として経費に算入するためには、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。

  • ■青色申告者と生計を一にしている配偶者または親族であること
  • ■その年の12月31日時点で15歳以上であること
  • ■その年を通じて6ヶ月を超える期間、または従事可能期間の半分超、青色申告者の事業に“専ら”従事していること

「専ら従事」の具体的な基準

「専ら従事しているかどうか」は、非常に重要なポイントです。以下のような場合は、専ら従事しているとはみなされません

  • ■学生や生徒である(夜間通学で昼間勤務する場合を除く)

  • ■他に職業がある(パートや副業も含むが、時間が極めて短ければ例外あり)

  • ■老衰や障害等で十分な労務提供が難しい

税務調査では、「勤務時間」や「収入の割合」などの客観的な証拠をもとに判断されます。たとえ副業があっても、主として青色事業に従事していれば、専従性が認められる場合もあります。

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3 必要経費にできる金額の上限とは?

専従者に支払った給与のうち、労務の対価として相当と認められる範囲内であれば、全額が必要経費として認められます

逆に、明らかに業務内容に見合わない高額な給与を支払っている場合には、その超過部分は経費として認められません。給与の金額は、職務の内容や従事時間、市場相場を参考に適正に設定することが重要です。


4 適用には事前手続きが必要!

青色事業専従者給与を経費に算入するには、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必須です。

【提出のタイミング】

  • ■原則:その年の3月15日まで

  • ■1月16日以降に事業開始 or 専従者が新たに加わった場合:開始から2ヶ月以内

【届出書の内容】

  • ■専従者の氏名

  • ■職務の内容

  • ■給与の金額と支給時期


5 制度適用にあたっての注意点

1. 控除対象配偶者・扶養親族にはなれない

青色事業専従者に給与を支払うと、その人は控除対象配偶者・扶養親族の対象外となるため、配偶者控除や扶養控除は受けられません。

2. 不動産所得では「事業的規模」が必要

青色事業専従者給与は、不動産所得にも適用されますが、貸付が事業的規模(5棟10室基準等)である必要があります

3. 休業中の支払いはNG

事業が休業している期間に支払われた給与は、労務の対価とはみなされず、経費にできません

4. 従事期間が短い場合の例外

年の途中から事業に従事した場合でも、その年の従事可能期間の2分の1超であれば専従者と認められます。この場合、従事開始から2ヶ月以内に届出を行う必要があります。

5. ひとり親控除との関係

専従者として給与をもらっている子がいても、納税者がひとり親控除の要件を満たしていれば併用は可能ですが、実際の適用には最新の注意が必要です。

リンク 国税庁 ひとり親控除


6 まとめ

青色事業専従者給与は、事業に貢献してくれている家族への給与を正当に経費計上できる強力な制度です。

制度の活用には、

  • ■専従者要件の確認

  • ■事前の届出

  • ■適正な給与額

  • ■実態の記録(業務日報など)

といった点が欠かせません。

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家族が亡くなった時の生命保険がわからない?「生命保険契約照会制度」

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

「父が亡くなったけど、どんな生命保険に入っていたか全く知らない…」「保険証券が見当たらない…」

こんな状況でお困りの方はいませんか?このような状況は決して珍しくありません。しかも、保険金請求権は被相続人の死亡日の翌日から3年で時効消滅する可能性があります

そんな時に役立つのが「生命保険契約照会制度」です。今回は、この便利な制度について、概要から利用方法、注意点まで詳しく解説していきます。

リンク 生命保険協会 生命保険契約照会制度のご案内

生命保険を受け取る女性

1 生命保険契約照会制度とは?画期的なセーフティネット

生命保険契約照会制度は、亡くなったご家族が加入していた生命保険契約の有無を、一般社団法人生命保険協会を通して各保険会社に確認できる制度です。

制度の歴史と目的

以前は災害時のみ利用可能でしたが、2021年7月1日からは平時においても利用できるようになりました。この制度は、ご遺族が保険金の請求漏れを防ぎ、大切な保険金を確実に受け取るためのセーフティネットとして創設されました。

2 どんな時に利用できるの?

この制度は、主に以下の3つのケースで利用できます。

利用できる場面

  • ■保険契約者または被保険者が死亡した場合
  • ■保険契約者または被保険者の認知判断能力が低下し、医師による診断を受けた場合
  • ■災害時の死亡もしくは行方不明の場合

今回は、特に相続の際に利用する方法に焦点を当ててご説明します。

3 制度の利用方法を詳しく解説

相続を理由に生命保険契約照会制度を利用する際の具体的な流れを見ていきましょう。

誰が申請できるの?

照会者(申請できる人)は以下の通りです:

亡くなった方の法定相続人

  • ■亡くなった方の遺言執行者
  • ■上記法定相続人の法定代理人(成年後見人、親権者など)
  • ■上記法定相続人または遺言執行者の任意代理人(弁護士、司法書士、行政書士に限定)

ご家族の中から「照会代表者」を1名決め、その方が申請します。他のご家族は、照会代表者に申請を委任する形になります。

夫を亡くした親子

申請方法と費用

申請方法: 生命保険協会に対して、オンラインまたは郵送で申請

必要書類:

  • ■照会代表者の本人確認資料(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • ■亡くなった方の法定相続情報一覧図

利用料: 照会者1名につき3,000円(税込) 受付完了後にクレジットカードまたはコンビニエンスストア払いで支払います。

調査期間と結果

調査期間: 生命保険協会への申請から照会結果の回答まで、約2週間程度

照会結果でわかること:

  • ■契約の有無
  • ■保険金等の請求が可能な契約かどうか

注意: 具体的な保険の種類や保険金額などの詳細な内容はわかりません。

保険会社判明後の手続き

保険会社が判明したら、速やかに該当の保険会社に直接連絡し、保険金の請求手続きを行いましょう。

連絡時に必要な情報:

  • ■亡くなった方の氏名
  • ■住所
  • ■生年月日
  • ■死亡日など

4 利用上の重要な注意点

この制度を利用するにあたって、知っておきたいポイントがあります。

調査対象となる契約の制限

照会の対象は、申請日現在有効に継続している個人保険契約に限られます

対象外となるもの:

  • ■すでに保険金が支払われたもの
  • ■解約済みのもの
  • ■失効しているもの
  • ■財形保険など

その他の制限事項

照会できる人数: 1回の手続きで、最大10名まで(代理人申請の場合は9名まで)の照会が可能

相続税申告との関係: 生命保険金は「みなし相続財産」として相続税の対象となる場合があります。相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月以内)に間に合うよう、余裕を持って照会申請を行いましょう。

5 まとめ:大切な保険金を見逃さないために

生命保険契約照会制度は、亡くなった方がどのような生命保険に加入していたか不明な場合に、その存在を確認できる非常に便利な制度です。

この制度を活用するメリット:

  • ■故人が遺した大切な保険金の請求漏れを防げる
  • ■相続財産全体を正確に把握できる
  • ■相続税の申告において重要な生命保険金の調査ができる

覚えておきたいポイント:

  • ■費用は1名につき3,000円と手頃
  • ■調査期間は約2週間
  • ■申請は法定相続人が可能
  • ■相続税申告期限を考慮して早めの申請を

相続は突然やってくるものです。いざという時に慌てないよう、この制度の存在を覚えておいていただければと思います。

 

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【従業員への食事代】税金がかからない方法とは?

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

中小企業経営者の中には、従業員の福利厚生として「食事代の支給」を検討されている方も多いのではないでしょうか。実際、従業員のモチベーション向上や人材定着において「食事の提供」は非常に有効な手段です。

ただし、食事代の支給方法によっては「給与」とみなされて課税対象になる可能性があります。この記事では、課税されないためのルール正しい経理処理の方法を、解説します。


1 従業員に支給する食事代、原則は「給与課税」

前提として、従業員の昼食や食事代は本来、各自の生活費に該当します。そのため、会社が全額または一部を負担すると、現物給与として所得税の課税対象になる可能性があります。

さらに、この金額は社会保険の報酬額の算定基礎にも含まれるため、保険料負担も増加してしまいます。

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2 非課税とされる「食事の支給」要件とは?

2-1. 基本的な非課税要件

以下の要件をすべて満たす場合は、課税されず、福利厚生費として非課税処理が認められます。

非課税の要件(通常勤務時の食事提供)

  • ■従業員が食事代の半額以上を負担していること
  • ■会社の負担額が1ヶ月あたり3,500円(税抜)以下であること

具体的な計算例

たとえば:

  • 食事代が月10,000円 → 従業員が5,000円以上負担、会社負担5,000円 → ✕(3,500円を超えて課税対象)
  • 食事代が月8,000円 → 従業員が4,500円、会社負担3,500円 → 〇(要件を満たし非課税)

重要なポイント

■全額課税の注意点 3,500円の上限を1円でも超えると、超過分だけでなく会社負担分の全額が課税対象となります。上記の1つ目の例では、500円の超過分だけでなく、会社負担の5,000円全額が給与として課税されます。

■従業員負担の徴収方法 会社が費用を一旦立て替え、給与天引き等で従業員から自己負担分を確実に徴収することが必要です。口約束や後日精算では、税務調査で否認される可能性があります。

■適用対象者 この非課税規定は、正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイトを含む全従業員が対象となります。特定の従業員のみを対象とした場合、福利厚生費として認められない可能性があります。


情報元:国税庁 食事を支給したときの非課税限度額の判定

情報元: 国税庁 食事を支給したとき

2-2. 支給方法による税務上の違い

食事代の支給方法によって、税務上の取り扱いが大きく異なります。以下、それぞれの方法について解説します。

現物支給(推奨)

■弁当の購入・配布 会社が弁当を購入して従業員に配布し、従業員から自己負担分を徴収する方法です。最も確実に非課税要件を満たせる方法として推奨されます。

■社員食堂での提供 社内に食堂を設置し、直接食事を提供する方法です。大企業でよく採用されており、従業員の利便性も高い方法です。

電子マネー・食事券(条件付きで可能)

食事専用のサービスを適切に運用すれば非課税での支給が可能ですが、選択するサービスによってはリスクがあります。詳細は2-3で解説します。

現金支給(原則課税対象)

食事代として現金を支給する場合、原則として給与所得として課税対象となります。ただし、深夜勤務時の夜食代については例外規定があります(後述)。


2-3. 電子マネー・食事券での支給の注意点

近年、電子マネーや食事券を活用した食事補助が注目されていますが、税務上のリスクを避けるためには慎重な検討が必要です。

推奨される専用サービス

■チケットレストラン

例えばエデンレッドジャパンが挙げられます。

  • 全国25万店舗以上で利用可能
  • 食事・飲料に用途限定
  • システムによる適切な非課税管理
  • 税務調査での指摘リスクが低い

運用例: 月7,000円分の電子カードを配布し、従業員から3,500円を給与天引きすることで、非課税要件(半額負担・3,500円以下)を満たします。

避けるべき支給方法

■汎用電子マネー・プリペイドカード

  • QUOカード:書籍・雑貨等にも使用可能
  • 交通系電子マネー:食事以外の用途が広範囲
  • 一般商品券:換金性が高い

これらは「食事に限定されない」「換金が容易」という理由で、税務調査において給与認定される可能性が非常に高くなります。

税務調査での指摘事例

■よくある否認理由

  • 使用目的が食事に限定されていない
  • 換金性がある(チケットショップで売買可能)
  • 管理・証明が不十分

■対策のポイント

  • 食事専用システムの選択
  • 利用記録の適切な管理
  • 従業員負担分の確実な徴収

2-4. 深夜勤務時の夜食代

深夜勤務等で食事提供が物理的に困難な場合、特例として現金支給が認められています。

非課税の条件

  • 対象時間:22時から29時までの深夜勤務
  • 支給限度額:1回300円以下(税抜)
  • 支給理由:夜食の現物支給が困難な場合

注意点

この規定は「勤務時間内の深夜勤務」が対象です。通常の勤務時間(例:9時〜17時)の従業員が残業で22時を超えた場合は、原則として現物支給が必要となります。

適用例:

  • 深夜勤務のセキュリティスタッフへの夜食代
  • 24時間稼働工場の夜勤者への食事代
  • 病院の夜勤看護師への夜食支給

ただし、可能な限り弁当等の現物支給を検討し、物理的に困難な場合のみ現金支給を選択することが税務上安全です。

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3 福利厚生費以外で経費計上できる食事代とは?

非課税要件を満たさなくても、次のような場合には会社の経費として認められる可能性があります。

会議費

  • ランチミーティングでの軽食や弁当代など。

  • 社外との打ち合わせでも可。議事録や会議記録を残しておくことが重要。

社内飲食費(交際費)

  • 従業員の慰労会や懇親会など。

  • 頻度が高すぎると「給与」とみなされる可能性があるため注意。

出張手当(日当)

  • 出張時の食費を含む日当は、合理的な金額であれば非課税。

  • 会社規程を整備しておくことで、税務調査でも安心です。


4 まとめ|正しい手当支給で、福利厚生と節税を両立!

従業員の食事代を会社が負担する場合には、「非課税とされるための要件」や「経費処理方法」に十分注意が必要です。

食事・飲食補助等の支給方法と税務上の扱い
支給方法税務上の扱い
支給方法税務上の扱い
給与に上乗せして現金支給原則として課税対象(給与所得)
弁当を提供+自己負担あり非課税(※要件を満たす場合)
食事専用電子マネー
(チケットレストランなど)
非課税(※適切に運用する場合)
汎用電子マネー・商品券
(QUOカード、Suicaなど)
原則として課税対象(給与とみなされる)
会議に伴う食事非課税(会議費として損金算入可)
出張時の日当常識的な範囲で非課税
深夜勤務時の現金支給非課税(300円以下・条件あり)

 

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飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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