【準確定申告とは?】相続が発生したら4ヶ月以内に必要な手続きとペナルティ
こんにちは。富士市・富士宮市の税理士飯野明宏です。
相続が発生したとき、「準確定申告(じゅんかくていしんこく)」が必要になることがあります。
これは、被相続人が生前に本来行うべきだった確定申告を、相続人が代わりに行うものです。
「四十九日が終わったばかりなのに、もう申告?」「準確定申告って何?」と戸惑う方も少なくありません。
今回は、準確定申告の概要・期限・必要なケース・手続きの流れ・注意点・ペナルティまでを、税理士がわかりやすく解説します。
第1章|準確定申告とは何か?通常の確定申告との違い
準確定申告とは、亡くなった方(被相続人)の死亡年の1月1日から死亡日までの所得を申告する手続きです。
通常の確定申告(1月1日〜12月31日分)とは異なり、「その年の途中まで」の所得を計算します。
申告義務は相続人がこれを引き継いで共同で申告する必要があります。
第2章|準確定申告が必要なケース・不要なケース
✅ 準確定申告が必要な人(主なケース)
次のいずれかに該当する場合、準確定申告が必要になります。
事業所得や不動産所得がある
給与収入が2,000万円超
2ヶ所以上から給与を得ている
年金収入が400万円超
その他所得(利子・配当など)が20万円超
株式や不動産を売却した
毎年確定申告をしていた 等
❌ 準確定申告が不要な人
給与収入のみ(年末調整済)かつ2,000万円以下
年金収入400万円以下かつ他の所得が20万円以下
相続放棄している 等
💡 準確定申告を「した方がよい」ケース(還付がある)
医療費控除・寄附金控除・配偶者控除などが受けられる
源泉徴収や予定納税の過納がある
→ 還付金を受け取るために申告することができます。
第3章|準確定申告の期限は4ヶ月!
準確定申告の期限は、
「相続が開始したことを知った日の翌日から4ヶ月以内」です。
例:4月1日に死亡 ⇒ 8月1日が申告期限(※土日祝の場合は翌営業日)
申告と納付の両方をこの期限内に行う必要があります。
第4章|準確定申告が2回必要になるケースとは?
以下のようなケースでは、準確定申告が2回必要です。
1月1日〜3月15日の間に亡くなり、前年分の確定申告が未了
この場合、
前年分の申告(前年1月1日〜12月31日)
当年分の申告(当年1月1日〜死亡日)
の2年分を、亡くなった日から4ヶ月以内に申告する必要があります。
第5章|準確定申告の手続きの流れと必要書類
✅ 申告の流れ
必要性の確認と相続人間の連絡
必要書類の収集
申告書作成(全相続人の署名)
税務署への提出
納税または還付手続き
還付金がある場合は相続財産として相続税申告へ反映
✅ 主な必要書類
被相続人の源泉徴収票・支払調書
各種控除証明書(医療費、生命保険料など)
収支内訳書または青色申告決算書(事業所得がある場合)
準確定申告用の確定申告書+付表(相続人連署欄あり)
委任状(代表相続人が還付を受け取る場合)
マイナンバーカード、印鑑証明など
第6章|準確定申告に関する注意点
相続人全員で連名署名が必要
還付金は相続財産に含まれる
青色申告や消費税の事業承継届出も期限あり
事業所得者は消費税の準確定申告も要確認
第7章|期限に遅れた場合のペナルティ(税務署からの制裁)
準確定申告に遅れると、通常の確定申告と同様に重いペナルティが発生します。
無申告加算税:納税額の最大20%(悪質な場合は40%)
延滞税:納期限からの日数に応じて年7.3%(上限)