金(ゴールド)を売却・相続する際の税金とは?
こんにちは。富士市・富士宮市の税理士飯野明宏です。
世界情勢の不安定化やインフレ対策として「金(ゴールド)」への投資が注目されている昨今、金を資産として保有される方も増えています。そんな中、「金を売ったら税金は?」「相続で金を受け継いだ場合はどうなるの?」といった疑問の声も聞かれるようになりました。
金に関する税金は、「売却」か「相続」か、「現物」か「積立」かなど、状況に応じて取り扱いが大きく異なります。本記事では、金の税務について次の観点から詳しく解説します。
第1章|金を売却したときの税金(譲渡所得)
● 基本は「譲渡所得」として課税される
金地金や金貨を売却して得た利益は、原則として「譲渡所得」として総合課税の対象になります。売却益は、以下の計算式で算出します。
譲渡所得 = 譲渡価格 -(取得費+譲渡費用)
さらに所有期間によって、以下のように課税計算が変わります。
・所有期間5年以内:短期譲渡所得
所得金額から最大50万円の特別控除を差し引いた金額が課税対象。
・所有期間5年超:長期譲渡所得
上記の控除後、さらに1/2に圧縮された金額が課税対象に。
● 取得費に注意!
取得費が不明な場合、譲渡価格の5%を概算取得費とすることになります。取得費を正しく証明するためにも、「購入時の領収書や明細書」は大切に保管しておきましょう。
第2章|金を相続したときの税金(相続税)
金は現金や不動産と同様に、相続財産として相続税の対象になります。
● 種類ごとの評価方法
金地金(インゴット):死亡日時点の1gあたりの業者買取価格 × 重量
金貨:額面評価または、時価評価(骨とう価値がある場合)
ジュエリー等:買取業者による評価
純金積立:積立口座の残高
祭具等:原則非課税だが、資産性があると課税対象に
第3章|相続した金を売却したときの税金(再び譲渡所得)
相続した金を売却した場合も、「譲渡所得」として課税されます。
このときの取得日・取得価額は被相続人の購入日・購入価格を引き継ぎます。つまり、被相続人が長く保有していれば「長期譲渡所得」として有利になります。
さらに、相続税を支払った場合には、一定の条件を満たすことで、相続税の一部を取得費に加算できる「取得費加算の特例」も活用可能です。
第4章|金投資口座(純金積立等)の税金
現物の金地金ではなく、金投資口座や金貯蓄口座での運用利益は、金融類似商品の収益として
一律20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の源泉分離課税
となります。確定申告は不要で、扶養控除判定にも含まれません。