法人税

法人税に関するコラム(blog)です。

22 5月 2025

報酬・料金にかかる源泉徴収の基礎と実務ポイント

目次 1. 源泉所得税とは? 2. 源泉徴収が必要な報酬・料金とは? 3. 実際の源泉徴収税額の計算方法 4. 消費税の取り扱い 5. 納付手続きと期限 こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。報酬や謝礼を支払う際、「源泉徴収って必要?」「計算方法は?」といった疑問を抱える経理担当者の方も多いのではないでしょうか? 本記事では、報酬・料金に関する源泉徴収の対象・計算方法・納付手続きまで解説します。 1 源泉所得税とは? 源泉所得税とは、特定の支払(報酬、給与など)から所得税等をあらかじめ差し引いて、支払者が国に納める制度です。税収の安定確保と、納税者の税負担の平準化が目的とされています。 2 源泉徴収が必要な報酬・料金とは? 源泉徴収が必要かどうかは、支払を受ける側が個人か法人かで異なります。 今回は個人の場合について解説します。…

22 5月 2025

赤字でも諦めない!拡充された賃上げ促進税制で最大45%控除&5年繰越

目次 1. 賃上げ促進税制とは?基本制度のしくみ 2. 最大45%の税額控除を実現する3つの上乗せ措置 3. 赤字でも安心!5年間繰越できる控除制度が新設 4. 申告時の実務ポイントと注意点 5. 戦略的に制度を活用するポイント こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 物価高や人手不足が続く中、優秀な人材の確保や社員の定着は多くの中小企業にとって切実な課題です。そんな中、国は賃上げに取り組む企業を後押しするため、令和6年度税制改正により「中小企業向け賃上げ促進税制」を大幅に拡充しました。 今回は、税制の全体像や活用方法、そして赤字企業でも利用できる「繰越控除制度」について、実務に即した形でわかりやすく解説します。 リンク 経済産業省 中小企業向け 賃上げ促進税制 ご利用ガイドブック 1 賃上げ促進税制とは?基本制度のしくみ この制度は、前年度より給与等の支給額を増やした中小企業に対して、増加額の一部を法人税(または所得税)から直接控除できる仕組みです。 対象となる主な企業 資本金1億円以下の青色申告法人…

22 5月 2025

【中小企業向け】代表取締役等の住所が登記事項証明書で非表示に

目次 1.2024年10月1日から新制度がスタートしています 2.制度の対象者と概要について 3.導入の背景と制度の目的 4.代表取締役住所非表示制度のメリット 5.考慮すべきデメリットと影響 6.制度を利用するための申出手続きの流れ 7.申出に必要な添付書類 8.留意点と制度の持続に関する注意 9.制度終了となる場合について 10.よくある質問と回答 1 2024年10月1日から新制度がスタートしています こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 2024年10月1日より、「代表取締役等の住所非表示制度」が新たに施行されています。これにより、株式会社の登記事項証明書に記載される代表取締役等の住所について、一定の手続きを行うことで、都道府県名や市区町村名までの表示にとどめ、それ以降の番地等の詳細を非表示にすることが可能になります。 リンク 法務省 代表取締役等住所非表示措置について 2 制度の対象者と概要について この制度の対象となるのは、株式会社における次の役職者です: ■代表取締役…

21 5月 2025

【中小企業向け】令和6年、中小企業倒産防止共済はどう変わった?

目次 1.中小企業倒産防止共済とは?制度の目的と基本概要 2.制度の主な特徴とメリット 3.「課税の繰り延べ」としての活用と出口戦略 4.令和6年10月1日からの制度改正とは? 5.2年間の損金不算入ルールが与える影響 1 中小企業倒産防止共済とは?制度の目的と基本概要 こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 中小企業倒産防止共済(通称:経営セーフティ共済)は、取引先事業者の倒産によって自社が連鎖倒産したり、深刻な経営難に陥ったりすることを防ぐ目的で設けられた、政府系の共済制度です。 この制度は中小企業者同士の相互扶助を基本理念としており、経営の安定を支援することを目的に、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。すでに多くの法人・個人事業主が活用しており、倒産リスクに備えた有効な手段として広く認知されています。 2 制度の主な特徴とメリット 経営セーフティ共済には以下のようなメリットがあります。 無担保・無保証人での借入が可能 取引先の倒産によって売掛金等が回収不能になった際、納付した掛金の最大10倍(最高8,000万円)までの貸付が受けられます。 掛金を損金(法人)または必要経費(個人事業)に算入できる 月額5,000円から20万円の範囲で自由に設定でき、掛金総額は800万円まで。全額を損金・経費算入できることから、節税効果があります。 解約手当金の支給がある 自己都合で解約しても、12ヶ月以上の納付で8割以上、40ヶ月以上で全額が戻る仕組みです。…

21 5月 2025

電子帳簿保存法、今、何をするべき?

目次 1.電子帳簿保存法とは?その目的と基本構造 2.3つの保存形態とその適用範囲 3.電子取引データ保存の要件とは? 4.中小企業向けの緩和措置と猶予措置 5.今やるべきこと:まずは取引書類の棚卸し 1 電子帳簿保存法とは?その目的と基本構造 こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 電子帳簿保存法は、法人税法や所得税法に基づき保存が義務付けられている帳簿書類を、電子的に保存できるようにすることを認めた法律です。法令に準拠した電子保存を行うことで、税務調査時の確認も電子的に対応でき、業務効率化・ペーパーレス化の推進を目的としています。 なお、「すべての帳簿や書類を電子化しなければならない」という誤解がありますが、電子化が義務化されたのは一部(電子取引データ)に限られます。郵送で受け取った紙の請求書・領収書は、これまで通り紙での保存が可能です。 2 3つの保存形態とその適用範囲 電子帳簿保存法の保存形態は次の3つに分かれます。 1. 電子帳簿等保存(任意) 会計ソフトなどで作成した帳簿や決算関係書類を、データ形式のまま保存する方法。導入は任意で、事前承認は不要です。 2. スキャナ保存(任意) 紙で授受した請求書・領収書などをスキャンし、データで保存する方法です。スキャナ保存を行えば原本の紙は破棄できますが、改ざん防止措置(タイムスタンプや社内規程)などの要件が課されます。…

15 5月 2025

中小会計要領のポイント解説:具体的な会計処理の特徴

目次 はじめに|中小企業向けの「各論」とは? 1 収益と費用の基本的な処理 2 資産と負債の基本的な処理 3 具体的な処理例とそのポイント まとめ|会計処理における中小企業への実務的配慮 はじめに|中小企業向けの「各論」とは? 「中小企業の会計に関する基本要領」(本要領)は、中小企業の実態に配慮した簡便な会計処理方法を「各論」として具体的に示しています。 今回は、その中でも中小企業にとって特に知っておくと役立つ会計処理のポイントをいくつかご紹介します。 1 収益と費用の基本的な処理 まず、収益の計上については、原則として製品・商品の販売やサービスの提供を行い、現金等を取得した時(または売掛金の発生時)に計上します。これは一般に「実現主義」と呼ばれます。実務上は、出荷時点で収益を計上する方法が多く見られますが、取引の実態に応じて決定することになります。 次に、費用の計上は、原則として費用の原因となる取引が発生した時点やサービスの提供を受けた時点で計上するというもので、これは「発生主義」といいます。 また、収益と関連費用を対応させて計上する「期間損益計算」の考え方も重要です。たとえば、販売した製品の売上原価を売上高に対応させて費用計上するような形がこれにあたります。 さらに、損益計算書では収益と費用は総額で表示する「総額表示」が原則です。たとえば、賃借した建物を転貸している場合には、受取家賃と支払家賃の両方を計上する必要があります。 2 資産と負債の基本的な処理…