報酬・料金にかかる源泉徴収の基礎と実務ポイント

2025年5月22日
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2025年5月22日 管理人

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。
報酬や謝礼を支払う際、「源泉徴収って必要?」「計算方法は?」といった疑問を抱える経理担当者の方も多いのではないでしょうか?

本記事では、報酬・料金に関する源泉徴収の対象・計算方法・納付手続きまで解説します。


1 源泉所得税とは?

源泉所得税とは、特定の支払(報酬、給与など)から所得税等をあらかじめ差し引いて、支払者が国に納める制度です。税収の安定確保と、納税者の税負担の平準化が目的とされています。

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2 源泉徴収が必要な報酬・料金とは?

源泉徴収が必要かどうかは、支払を受ける側が個人か法人かで異なります。

今回は個人の場合について解説します。

リンク 国税庁 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは

 個人への支払で源泉徴収が必要な主なケース

源泉徴収の対象となる報酬・料金の区分一覧
区分主な対象備考
専門家報酬弁護士、公認会計士、税理士など業務委託契約も含む
講演・執筆講演料、原稿料など50,000円以下の賞金は対象外の場合あり
芸能・スポーツモデル、タレント、プロ選手など一時金や契約金も含む
接客業務コンパニオン、ホステス等への報酬宴会等の派遣も対象

重要な例外事項

■法人への支払い:株式会社等の法人に対する報酬は源泉徴収不要

■個人でも源泉徴収義務がない場合:

  • □常時2人以下の家事従事者にのみ給与を支払う個人
  • □給与の支払いがなく、報酬・料金のみを支払う個人

 


3 実際の源泉徴収税額の計算方法

 原則の税率:

10.21%(所得税10%+復興特別所得税0.21%)

  • 例)報酬100,000円 × 10.21% = 10,210円(源泉徴収税額)

 報酬が100万円を超える場合(高額報酬者):

(支払金額 − 100万円)× 20.42% + 102,100円

  • 例)150万円の報酬 ⇒ (1,500,000 – 1,000,000)×20.42%+102,100円=204,200円

 特例計算

特定報酬における控除額と源泉徴収税額の計算方法
対象者控除額計算方法
外交員12万円(報酬額 - 12万円) × 10.21%
司法書士・土地家屋調査士1万円(報酬額 - 1万円) × 10.21%

リンク 国税庁 外交員等に支払う報酬・料金


4 消費税の取り扱い

原則:税込金額を基に源泉徴収します。

ただし、

  • ■請求書等で消費税等と報酬が明確に区分されている場合は「税抜金額」で可

  • ■インボイス制度施行後(令和5年10月~)もこの扱いに変更はありません。


5 納付手続きと期限

報酬・料金に係る源泉所得税の納付概要
内容詳細
納付期限支払月の翌月10日までに納付(※土日祝日の場合は翌営業日)
納期特例原則なし
給与等とは異なり、報酬・料金は「源泉徴収義務者が10人未満」でも
納期の特例は適用されないただし、税理士、弁護士、司法書士等の特定資格者への報酬のみ納期特例の適用あり。
納付方法
  • ■税務署窓口での納付書提出
  • ■e-Tax(電子申告)
  • ■ダイレクト納付(インターネットバンキング)
  • ■金融機関の窓口(納付書持参)

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飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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