財産評価

17 5月 2025

【相続評価】外貨建て財産・債務の邦貨換算は?

目次 1 邦貨換算とは?〜外貨を日本円に直す手続き 2 邦貨換算の基本ルール【一覧表】 3 TTBとTTSの違いとは? 4 どの金融機関の為替レートを使うか? 5 死亡日に相場がないときはどうする? こんにちは。富士市・富士宮市の相続・税務専門、飯野明宏税理士事務所です。 相続が発生した際、財産の中に「外貨建て資産」や「外貨建て債務」が含まれていることがあります。たとえば、米ドル建ての預金、海外ETF、外国不動産、さらには外貨建てローンなどです。 これらの財産や債務は、日本円に換算して相続税申告を行う必要があります。この換算手続きは「邦貨換算(ほうかかんさん)」と呼ばれ、適切に処理しなければ申告漏れや過大納税の原因となりかねません。 本記事では、「邦貨換算」の基本と実務上の注意点を、専門家の視点からわかりやすく解説します。 1 邦貨換算とは?〜外貨を日本円に直す手続き 邦貨換算とは、外貨建ての資産・債務を日本円に換算することをいいます。 相続税法では、財産の評価は被相続人が亡くなった日(死亡日)時点の価額で行うこととされており、外貨建ての場合も同様に「死亡日の為替相場」を用いて日本円に換算する必要があります。 なお、外貨建て資産には、預金・株式・債券・投資信託・不動産のほか、近年増加している仮想通貨(暗号資産)なども含まれます。また、外貨建ての借入金や未払金などの債務についても同様に邦貨換算が必要となるため、相続財産の調査時には外貨建て取引の有無を十分に確認することが重要です。…

15 5月 2025

家庭用財産(家財一式)の相続税評価

目次 1 家庭用財産も相続税の課税対象です 2 家庭用財産の評価単位と評価基準 3 財産の種類ごとの評価ポイント 4 申告書への記載方法 まとめ 家庭用財産も立派な「相続財産」です こんにちは。富士市・富士宮市の相続専門税理士、飯野明宏です。相続税申告というと、不動産や預金、有価証券といった“目立つ財産”に目が向きがちですが、ご自宅にある家具や家電などの家財道具=「家庭用財産」も立派な課税対象です。 「使わないから」「価値がなさそうだから」といって申告しなかった場合、税務署から「財産隠し」とみなされるリスクもあります。本記事では、相続税の対象となる家庭用財産の評価方法について、実務ベースで丁寧に解説していきます。 1 家庭用財産も相続税の課税対象です 相続税の課税対象には、現金・不動産・株式・保険金といった明らかな資産だけでなく、自宅にある生活用品も含まれます。具体的には、以下のようなものが該当します。 ■家具(ソファ・タンス・机など) ■家電(テレビ・冷蔵庫・洗濯機など) ■衣類・装飾品(着物・バッグ・腕時計など) ■自動車…

09 5月 2025

賃貸用不動産を相続したときの相続税評価

目次 1 賃貸物件の相続税はなぜ評価が下がるのか? 2 建物の相続税評価額はどう決まる? 3 土地(貸家建付地)の評価方法 4 賃貸割合と床面積の確認方法 5 ローンがある場合の控除 6 小規模宅地等の特例でさらなる節税 7 まとめ 1 賃貸物件の相続税はなぜ評価が下がるのか? こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 賃貸物件は自宅などの「自用不動産」とは異なり、相続税評価額が低くなるケースが多くあります。理由は、「貸している=自由に使えない」ため、経済的価値が制限されていると判断されるからです。 賃貸物件の相続税評価には、次の3つの要素が影響します:…

09 5月 2025

相続税評価額の基本と計算方法|土地・建物・預金・株式などの評価

目次 1 「相続税評価額」とは? 2 土地の評価方法は2種類|路線価方式と倍率方式 3 土地の評価を下げるための減額要素とは? 4 建物の評価方法は「固定資産税評価額」でOK 5 金融資産の評価方法まとめ 6 時価との違いに注意!相続税評価額は低めに設定されている 1 「相続税評価額」とは? こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 相続税評価額とは、相続税を計算するために国が定めた“評価のルール”に基づいて算出される金額です。 現金や預金であれば「相続開始時(被相続人が亡くなった時等)の残高」で評価できますが、不動産や株式などは「市場価格」と「評価額」に、原則としてズレが生じるため、一定の計算ルールが用意されています。 たとえば1億円の土地でも、評価額は8,000万円以下になることもあります。 なぜ相続税評価額を正確に把握する必要があるのでしょうか?…

08 5月 2025

相続税における「みなし相続財産」とは?

目次 1. 相続税における「みなし相続財産」とは? 2. みなし相続財産とは? 3. みなし相続財産の共通する特徴 4. 主なみなし相続財産の種類と注意点 5. まとめ:みなし相続財産を正しく理解し、適切な申告を 1. 相続税における「みなし相続財産」概要 こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 「相続税の対象になる財産は何か」といった疑問を持つ方は多いかと思います。その中で、特に注意が必要なのが「みなし相続財産」です。これは民法上の遺産ではないものの、相続税法上では遺産とみなされ、課税対象になる財産を指します。この記事では、税理士の視点から「みなし相続財産」の基本的な考え方と、代表的なケースについてわかりやすく解説していきます。 リンク 国税庁 相続税がかかる財産 2. みなし相続財産とは? 相続税法では、亡くなった方(被相続人)の財産のうち、実際にはその人の名義になっていないものでも、一定の条件を満たすと「相続財産」として課税の対象になります。これが「みなし相続財産」と呼ばれるものです。 代表的な例として、以下のようなものが該当します:…

18 4月 2025

退職金・功労金が課税対象になるケースと非課税になるポイント

目次 1 退職手当金とは?相続税との関係 2 死亡退職金は「みなし相続財産」 3 退職金に適用される非課税限度額 4 非課税枠を活用した相続税対策【具体例】 5 申告時に注意すべきポイント 6 まとめ:退職金の取り扱いは相続税対策の要に こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 今回は、「退職手当金(退職金)」が相続税の課税対象になる場合と、非課税になるポイントについて、実務経験をもとにわかりやすく解説します。 「父の退職金が支払われたのですが、これも相続税に含まれるんですか?」といったご相談も多くいただいています。大切なご家族を亡くされた後の手続きで混乱しないために、正確な知識を身につけておきましょう。 1 退職手当金とは?相続税との関係 退職手当金とは、従業員が会社を退職する際に支給される金銭で、長年の勤務に対する功労の意味を持っています。 税務上、以下の2つで取り扱いが大きく異なります。…