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退職金・功労金が課税対象になるケースと非課税になるポイント

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

今回は、「退職手当金(退職金)」が相続税の課税対象になる場合と、非課税になるポイントについて、実務経験をもとにわかりやすく解説します。

「父の退職金が支払われたのですが、これも相続税に含まれるんですか?」といったご相談も多くいただいています。大切なご家族を亡くされた後の手続きで混乱しないために、正確な知識を身につけておきましょう。


1 退職手当金とは?相続税との関係

退職手当金とは、従業員が会社を退職する際に支給される金銭で、長年の勤務に対する功労の意味を持っています

税務上、以下の2つで取り扱いが大きく異なります。

受け取り時期相続税の取り扱い備考
生前に受け取った退職金相続税の対象外被相続人の財産として計上不要
死亡後に遺族が受け取る退職金相続税の対象「死亡退職金」として課税

つまり、被相続人の死亡後に会社から支給される退職金・功労金は、「死亡退職金」として相続税の課税対象となります。

死亡退職金の範囲

以下のような支給が死亡退職金に該当します:

会社からの退職金・功労金役員退職慰労金厚生年金基金からの一時金企業年金の一時金弔慰金(一定額を超える部分)

リンク 国税庁 弔慰金を受け取ったときの取扱い

退職を祝われる老人


2 死亡退職金は「みなし相続財産」

死亡退職金とは、被相続人が在職中に亡くなったことにより、会社が遺族に支給する退職金や功労金等のことです。

この死亡退職金は、法律上は「相続や遺贈によって取得したもの」ではありませんが、相続税法上では「みなし相続財産」として課税対象になります

みなし相続財産とは、被相続人の死亡によって生じた経済的利益のうち、一定の要件を満たすと相続税が課される財産のことです。死亡保険金や死亡退職金などがこれに該当します。


3 退職金に適用される非課税限度額

退職金にも一定の非課税限度額が設けられています。これにより、すべての退職金に相続税が課されるわけではありません。

非課税限度額は、次の計算式で算出されます。

500万円 × 法定相続人の数

たとえば、相続人が3人であれば、

500万円 × 3人 = 1,500万円

この1,500万円までは非課税扱いとなり、それを超えた部分のみが相続税の課税対象になります。

法定相続人の数え方

相続人の構成法定相続人の数非課税限度額
配偶者 + 子1人2人1,000万円
配偶者 + 子2人3人1,500万円
配偶者 + 子3人4人2,000万円
子2人のみ(配偶者なし)2人1,000万円

重要なポイント

⚠️ 相続放棄をした人も法定相続人の数に含める ⚠️ 養子の数には制限がある(実子がいる場合は1人まで、いない場合は2人まで) ⚠️ 死亡保険金と退職金で別々に非課税枠を使える

事例1

相談者の状況:

  • 富士市在住の奥様
  • ご主人が地元企業に35年勤務後に死亡
  • 勤務先から1,200万円の死亡退職金が支給予定
  • 相続人:奥様と子2人(合計3人)

非課税限度額の計算:

500万円 × 3人 = 1,500万円

結果: 支給される退職金1,200万円 < 非課税限度額1,500万円 → 全額非課税で相続税の課税対象にならない

 

事例2:高額退職金のケース

相談者の状況:

  • 富士宮市在住の役員
  • 会社から3,000万円の役員退職慰労金
  • 相続人:配偶者と子1人(合計2人)

非課税限度額の計算:

500万円 × 2人 = 1,000万円

課税対象額の計算:

3,000万円 - 1,000万円 = 2,000万円

結果: 2,000万円が相続税の課税対象となる

 

事例3:複数の退職金がある場合

相談者の状況:

  • 本業の会社から1,500万円
  • 役員を務めていた子会社から500万円
  • 合計2,000万円の退職金
  • 相続人:配偶者のみ(1人)

非課税限度額の計算:

500万円 × 1人 = 500万円

課税対象額の計算:

2,000万円 - 500万円 = 1,500万円
退職

4 非課税枠を活用した相続税対策【具体例】

相談者:富士市在住の奥様
状況:ご主人が亡くなり、勤務先から1,200万円の死亡退職金が支給される予定
相続人:奥様と子2人(合計3人)

この場合の非課税限度額は以下のとおりです。

500万円 × 3人 = 1,500万円

支給される退職金が1,200万円であるため、全額が非課税となり、相続税の課税対象にはなりません。

相続税申告書には記載が必要ですが、実際の税額計算には含まれず、申告負担や納税額を軽減できます。

 


5 申告時に注意すべきポイント

死亡退職金が相続税の課税対象となるためには、一定の要件を満たす必要があります。その主なポイントは「支給が確定する時期」です。

相続税の対象となるのは、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した退職金に限られます。

もし支給が3年を超えて確定された場合、その退職金は「相続財産」ではなく、相続人個人の「一時所得」として課税されることになります。

会社からの支給時期や通知書の発行日をしっかりと確認することが重要です。

弔慰金との区別

弔慰金にも一定の非課税限度額があります:

死亡の原因非課税限度額
業務上の死亡普通給与の3年分(36ヶ月分)
業務外の死亡普通給与の半年分(6ヶ月分)

超過分は退職金として課税対象になります。

申告書への記載

死亡退職金は、非課税であっても相続税申告書への記載が必要です:

  • 第11表「相続税がかからない財産の明細書」に記載
  • 支給金額と非課税額を明記
  • 支給者の名称と住所を記載

Q1. 退職金の受給者が相続人でない場合は?

A. 相続税の対象になりますが、2割加算の適用があります。

具体例:

  • 被相続人が内縁の妻を退職金受給者に指定
  • 内縁の妻は法定相続人ではないため2割加算
  • ただし、非課税枠は適用される

Q2. 生前に退職金の一部を受け取っていた場合は?

A. 生前受給分は相続税の対象外、死亡後受給分のみが対象となります。

注意点:

  • 就業規則で退職金の分割支給が定められている場合
  • 生前受給分と死亡後受給分を明確に区別する必要

Q3. 中小企業退職金共済(中退共)からの退職金は?

A. 死亡退職金として相続税の対象になります。

特徴:

  • 通常、死亡後1〜2ヶ月で支給
  • 3年以内の支給確定に該当
  • 非課税枠の適用あり

指摘されやすい項目

1. 弔慰金の過大計上

よくあるミス:

  • 弔慰金の非課税限度額を超過した部分の未計上
  • 役員と一般従業員の限度額の混同

対策:

  • 普通給与月額の正確な把握
  • 弔慰金と退職金の区分の明確化

2. 支給時期の誤認

よくあるミス:

  • 3年経過後の支給を相続税で申告
  • 支給確定日の判定誤り

対策:

  • 会社の決議録等の確認
  • 支給通知書の日付確認

3. 複数の退職金の見落とし

よくあるミス:

  • 子会社からの役員退職慰労金の未計上
  • 厚生年金基金等からの一時金の見落とし

対策:

  • 全ての勤務先・役員就任先の確認
  • 年金制度の加入状況調査

 

コラム最下署名


6 まとめ:退職金の取り扱いは相続税対策の要に

死亡退職金の取り扱いは、相続財産の中でも特に見落としやすいポイントです。非課税限度額の活用や支給時期の確認など、正しい知識と適切な対応が求められます。

特に、富士市・富士宮市のように家族経営や自営業、地域企業に勤める方が多い地域では、退職金が相続財産の中で重要な位置を占めることもあります。

退職金が相続税の対象となるか、どこまでが非課税かを事前に理解し、専門家のサポートを受けながら申告準備を進めていきましょう。

相続税の専門院

飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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代償分割とは?どういう場合に登場するのか。

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

今回は、遺産の中に「不動産」が含まれる場合に、特に活用される代償分割(だいしょうぶんかつ)について、実務上のポイントや他の分割方法との違いを含めて解説します。


1 代償分割とは?相続実務での基本的な位置づけ

相続では、現金や不動産、預貯金などの財産をどう分けるかが大きな問題になります。

とくに、遺産の多くが不動産で占められているケースでは、現物での分割が困難なためトラブルの原因になりがちです。こうした状況でよく利用される方法が「代償分割」です。

代償分割の定義

代償分割とは、ある相続人が特定の財産(たとえば不動産)を取得し、他の相続人には代わりに現金などで“代償”を支払う遺産分割方法です。

現物で分けられない財産を、金銭による調整で公平に分け合う点が特徴です。

代償分割 (2)


2 代償分割が選ばれる理由とは?

代償分割は、次のような実務的な理由からよく選ばれています。

1. 不動産の共有を避けたい

富士市・富士宮市を含む地方部では、相続財産の中心が自宅などの不動産であることが多くあります。
不動産を複数人で共有すると、売却やリフォームなどの意思決定が煩雑になり、後々の紛争につながりやすくなります

代償分割を用いることで、不動産は1人が単独で取得し、他の相続人は金銭で補填されるため、スムーズな管理・処分が可能になります

2. 事業や農地を守りたい

事業用資産や農地などは、分割してしまうと経営や運用に支障をきたす場合があります。
このようなケースでは、後継者となる相続人が一括して相続し、他の相続人には代償金を支払うことで、事業承継と公平性の両立が図れます

3. 遺言がない場合の柔軟な解決策になる

遺言書がない場合、すべての財産は遺産分割協議によって決める必要があります。
代償分割を選ぶことで、現物分割や換価分割が難しい場面でも、代償金によりスムーズな合意形成が可能となります。


3 代償分割の具体例:よくある実務パターン

たとえば、以下のようなケースです。

  • 相続財産:自宅(土地・建物)2,000万円、預貯金100万円

  • 相続人:長男・長女の2名

  • 遺言:なし(平等に分けたい)

不動産を半分に物理的に分けることは現実的でないため、共有にする、売却して現金化するなどの方法も考えられます。

ここで代償分割を選択し、長男が不動産をすべて取得し、その代わりに長女へ950万円の代償金を支払うことで、法定相続分(50%)の公平を保つことが可能になります。

妹に代償分割する兄


4 他の遺産分割方法との違い

代償分割は、次のような他の分割方法と比較されることがあります。

遺産分割の主な方法と特徴・問題点
分割方法内容特徴・問題点
現物分割財産を現物で分ける預貯金など分けやすい財産には有効だが、
不動産には不向きな場合が多い
換価分割財産を売却して、代金を分ける売却価格が市場に左右されるため、
金銭的・感情的なトラブルの原因になりやすい
共有分割複数人で共有名義にする将来的な使用や売却で意思統一が難しく、
管理負担や紛争リスクが高くなる
代償分割一人が取得し、他に代償金を支払う公平性を確保できる柔軟な方法だが、
代償金の調達に課題があることも

まとめ|代償分割は「実務と公平」を両立させる相続方法

代償分割は、不動産や事業資産が中心となる相続において、法定相続分の公平性を守りつつ、実務的な運用も考慮した分割方法です。

不動産をめぐる相続争いを避けるためにも、遺産の構成に応じて最適な分割方法を検討することが大切です。

「共有にしたら後々面倒かも」「長男が住み続ける方が自然かも」といった実情をふまえ、代償分割を取り入れることで、円満な相続を実現できます。

 

コラム最下署名

相続税の専門院

飯野明宏税理士
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代表税理士 飯野 明宏

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大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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相続放棄と限定承認の違いと注意点

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

今回は「相続放棄」と「限定承認」という、相続における重要な選択肢について解説します。借金の有無や財産の内容によっては、相続そのものを見直すことが必要です。この記事では、それぞれの制度の仕組みや違い、手続き、注意点についてご説明します。


1 相続とは?まずは基本を押さえよう

相続とは、亡くなった方(被相続人)の財産に関する権利や義務を、その相続人が引き継ぐことです。

財産というと現金や土地・建物といったプラスの資産を想像しがちですが、借金などのマイナスの財産も相続されてしまいます。

特に「借金の方が多い」ケースでは、安易に相続すると大きな負担になります。そのような場合に検討すべき選択肢が、「相続放棄」や「限定承認」です。


2 相続放棄とは?メリット・デメリットと注意点

相続放棄とは?

相続放棄とは、相続人が「相続しない」という意思を家庭裁判所に申し立てることによって、一切の財産(プラスもマイナスも)を放棄する制度です。

似たような言葉で、「遺産分割協議で財産を受け取らない」といったケースがありますが、法的には全く異なります。

相続放棄のメリット

  • 借金などのマイナスの財産を引き継がなくて済む
  • 手続きが比較的簡易(家庭裁判所への申立てで済む)

相続放棄のデメリット

  • プラスの財産も一切相続できない
  • 相続人でなくなるため、その後の協議に参加できない
  • 原則として一度放棄すると撤回できない

手続きの流れ

  1. 被相続人の死亡を知った日から3か月以内に申立て

  2. 家庭裁判所に申立書と必要書類を提出

  3. 裁判所からの照会書に回答

  4. 相続放棄受理通知書を受領

相続放棄限定承認


3 限定承認とは?仕組みと特徴を解説

限定承認とは?

限定承認とは、「相続で得たプラスの財産の範囲内でのみ、マイナスの財産(借金など)を返済する」制度です。つまり、「もらった範囲内で責任を負う」という考え方です。

限定承認のメリット

  • 借金があっても、それ以上の責任は負わずに済む

  • 財産の中に価値のあるものが含まれていれば保全が可能

限定承認のデメリット

  • 相続人全員の同意が必要

  • 手続きが煩雑で時間・労力がかかる

  • 利用者が少なく、周囲の理解を得にくい場合がある

手続きの流れ

  1. 相続発生から3か月以内に相続人全員で家庭裁判所へ申立て

  2. 財産目録などを作成

  3. 限定承認の審査後、家庭裁判所から認定

  4. 清算手続き(債権者への公告、債務返済等)を実施

相続放棄 (2)


4 よくある質問(Q&A)

Q1. 相続放棄と限定承認、どちらを選ぶべき?

A1. 借金が明らかに多い場合は「相続放棄」が適しています。
一方、プラスとマイナスのどちらが大きいかわからない場合や、高額な財産が含まれている場合は「限定承認」を検討しましょう。

※限定承認を行うには、3か月以内に財産目録の作成が必要です。早めに専門家に相談することをおすすめします。

Q2. 相続放棄や限定承認は他の相続人に影響する?

A2. はい、あります。
例えば、相続放棄をすると次順位の相続人に相続権が移ります。限定承認の場合は、相続人全員で同意して行うため、他の相続人との調整が不可欠です。

Q3. 相続放棄・限定承認の3か月期限を過ぎてしまったら?

A3. 原則として適用できません。
「知らなかった」では済まされず、3か月の熟慮期間内に判断する必要があります。状況によっては例外が認められる場合もあるため、すぐに専門家へ相談しましょう。


まとめ 「相続しない」も重要な選択肢

相続というと「財産をもらうこと」が前提になりがちですが、借金やリスクのある財産を無理に受け取る必要はありません。

「相続放棄」「限定承認」という選択肢を正しく理解し、ご家族の将来に不安が残らないよう、専門家とともに早めの対策を行いましょう。

 

コラム最下署名

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遺言とは?相続トラブルを防ぐ「想いのかたち」


1 遺言とは何か?

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

遺言とは、自分が亡くなった後に財産をどのように分けてほしいかを明示する、法的な意思表示です。相続に関する自分の希望や想いを、正式な文書として残しておくことで、家族間のトラブルを防ぐとともに、自身の意志を実現することができます。

遺言には、単なる財産の分け方だけでなく、家族に対するメッセージや感謝の気持ちを込めることも可能です。まさに「想いをかたちにする」ための手段といえるでしょう。

遺言 (2)


2 増加する相続トラブルの現実

「相続トラブルはお金持ちの話」と思われがちですが、実際にはそうではありません。家庭裁判所での遺産分割調停の件数は年間1万件以上あり、その多くが遺産額5,000万円以下の家庭において発生しています。

特に、富士市・富士宮市のように親世代が不動産(持ち家や土地)を所有している地域では、現金以外の資産が中心となるため、相続時の分割方法をめぐって争いが生じやすくなります。


3 税理士が語る「遺言でできること」

1.財産の分配を明確に指定できる

たとえば「長男に不動産、次男に預金を渡す」など、具体的な分配内容を記載することで、誤解や対立を未然に防ぐことができます。

2.法定相続人以外にも財産を渡せる

遺言を用いれば、たとえば介護をしてくれた親族、内縁関係の相手、長年お世話になった知人など、法定相続人ではない方に対しても財産を贈与(遺贈)できます。


4 遺言の種類と特徴:富士市・富士宮での活用法

遺言の種類と特徴・富士市での活用アドバイス
種類特徴地域での活用アドバイス
自筆証書遺言本人が自筆で作成。費用がかからず手軽だが、
法的要件に注意が必要。
富士市の法務局で遺言書保管制度を活用することで、
偽造・紛失のリスクを軽減できる。
公正証書遺言公証人が作成し、公証役場で保管。
法的安全性が高く、後の手続きも円滑。
富士市・富士宮市の公証役場や税理士と連携し、
確実な遺言書を作成するのがおすすめ。
秘密証書遺言本文は秘密だが、遺言の存在を公証人が証明。
作成の自由度は高いが、実務では少数派。
プライバシーを重視したい方に適するが、
法的リスクの説明を受けて慎重に判断を。

おすすめは「公正証書遺言」です。内容の正確性と保管体制が整っており、相続時のトラブル予防にも効果的です。


5 遺言が特に必要なケースとは?

以下のような場合には、遺言の作成を強くおすすめします:

  • 子どもがいない夫婦(配偶者と兄弟姉妹が相続人になる)

  • 再婚家庭(前配偶者との子どもも相続人になる)

  • 内縁関係や同性パートナーに財産を遺したい

  • 特定の子に家業や不動産を継がせたい

  • 自宅や事業用不動産を所有している高齢者

これらのケースでは、遺言がないと法定相続に従ってしまい、意図しない分配や予期せぬトラブルが生じやすくなります。

遺言を書く老人


6 注意点:遺留分への配慮も忘れずに

遺言は自由に作成できるとはいえ、配偶者・子など一定の法定相続人には「遺留分」という最低限の取り分が法律で保障されています。

たとえば「全財産を長男に」と書いても、他の相続人が遺留分侵害額請求をすれば、一部を取り戻される可能性があります。そのため、遺言を作成する際は、遺留分を有する人を把握し、配慮することが大切です。


7 まとめ:遺言は「家族への最後の贈り物」

「うちは仲がいいから大丈夫」「財産もそれほどないから問題ない」と思っていても、相続が発生すれば、感情的な行き違いや法的な争いが生じる可能性はあります。

遺言があることで、そのような事態を防ぐことができ、家族の絆を守ることにもつながります。元気なうちに、「想いをかたちにする」遺言を残すことで、大切な人たちへの安心と感謝を届けましょう。

 

コラム最下署名

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現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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代襲相続とは?孫や甥姪が相続人になるケース

こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。

今回は、「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」について解説します。特に、「孫が相続人になるケース」「甥・姪が相続人になる場合」「相続税における取り扱い」など、実際の相続に関係する具体的な論点もお伝えします。


1.代襲相続とは?よくある誤解と基本の整理

「孫が相続人になることはありますか?」

この問いは、民法に規定された「代襲相続」という制度と深く関係しています。

「代襲相続」とは、本来相続人になるべき人が既に死亡していたり、法律上の理由で相続権を失っていた場合に、その人の子や孫が代わって相続人となる制度です。

この制度があることで、家族のつながりや世代を超えた財産の承継が、ある程度スムーズに行われるよう法律的に整備されています。

孫が相続


2.子が死亡した場合の代襲相続|直系卑属の継承

子が死亡している場合、孫が相続人に?

代襲相続の典型的な例が、「被相続人の子が既に亡くなっている場合」です。この場合、その亡くなった子の子、つまり孫が「代襲相続人」として財産を相続することになります。

代襲相続が発生するケースと発生しないケース

代襲相続の発生ケースと代襲相続人の有無
ケース代襲相続の有無代襲相続人
子が死亡している孫(子の子)
子が相続欠格
子が廃除されている
子が相続放棄している×なし(放棄は代襲の対象外)

ポイントは、「相続放棄」は代襲相続を発生させないということです。放棄した人は最初から相続人でなかったとみなされ、子ども(孫)にも権利は引き継がれません。

また、子の子(孫)でもさらに亡くなっていた場合には、その次の代(ひ孫)へと代襲が続く「再代襲」も直系卑属には認められています。


3.兄弟姉妹の代襲相続|甥や姪が相続人になる場合

被相続人に子や親(直系尊属)がいない場合、兄弟姉妹が相続人となります。そして、その兄弟姉妹が既に死亡している場合、その兄弟姉妹の子(甥・姪)が代襲相続人になります。

ただし、ここで注意が必要です。

兄弟姉妹の代襲相続は「一代限りです。つまり、甥・姪の子ども(被相続人から見れば大甥・大姪)は相続人になれません。

まとめると:

  • 兄弟姉妹が死亡していた場合 → 甥・姪が代襲相続人になる

  • 甥・姪が死亡していた場合 → その子には代襲相続権はない(再代襲なし)

この制限は、直系(子→孫→ひ孫)とは大きく異なる点です。

兄弟の葬式


4.代襲相続人の相続分はどう決まるのか?

代襲相続人が取得する相続分は、基本的に「被代襲者(本来の相続人)」の法定相続分をそのまま引き継ぐ形になります。

具体例でみてみましょう

被相続人に2人の子がいたとします。長男が相続開始前に死亡しており、長男には子(孫)が2人います。

  • 次男 → 相続分1/2

  • 孫2人 → 1/2を等分 → 1/4ずつ

つまり、被代襲者に複数の子(孫)がいる場合、その法定相続分をさらに均等に分ける仕組みです。

この計算方法は、実際の遺産分割協議や相続税の申告において非常に重要になります。


5.代襲相続人と遺留分の関係

「代襲相続人にも遺留分があるのか?」という疑問を持たれる方も少なくありません。

① 直系卑属(孫・ひ孫)の場合

孫やひ孫が代襲相続人となるケースでは、民法上の遺留分権利者とされており、一定の最低限度の相続分が保障されています。

例えば、被相続人が遺言によってすべての財産を第三者に遺贈したとしても、孫が代襲相続人であれば、遺留分侵害額請求を行うことができます。

② 甥・姪の場合

一方で、甥や姪が代襲相続人になった場合には、遺留分の権利は認められていません。つまり、被相続人がすべての財産を他人に遺贈していても、遺留分侵害額請求はできないということです。


6.相続税の2割加算|代襲相続人にも適用される?

相続税法では、相続人のうち特定の者に対して、相続税額に2割を加算する制度があります。

どんな人が2割加算の対象になる?

原則として、相続人が次のどちらにも該当しない場合に、2割加算の対象になります。

  • 被相続人の一親等の血族

  • 被相続人の配偶者

リンク 国税庁 相続税額の2割加算

代襲相続人の取り扱いは?

代襲相続人と相続税の2割加算の有無
代襲相続人相続税の2割加算の有無
孫(子の子)なし
孫養子あり(実子ではないため)
甥・姪あり(親等が離れているため)

たとえば、孫が被相続人の養子となっている場合には、一親等の血族には該当しないとされ、2割加算の対象となってしまいますので要注意です。


7.代襲相続は「つながり」を守る制度

代襲相続は、世代を超えて家族の財産を承継していくための大切な仕組みです。

一方で、制度の理解が不十分なまま相続を進めてしまうと、「本当は相続できたはずの人が漏れてしまった」「想定外の税負担が発生した」といった事態にもなりかねません。

富士市・富士宮市をはじめとする地域の皆さまが、安心して相続を迎えられるよう、正確な知識と丁寧なサポートを提供してまいります。

 

 

 

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令和7年改正 所得税の基礎控除の増額について

基礎控除とは?

見出しライン

基礎控除と合計所得金額

所得税の基礎控除をご存じでしょうか?給与の天引きの税金を含む、所得税について、ほとんどの人に関係する控除です。

基礎控除は、納税者自身の控除額で、令和6年は、通常48万円です。この金額が税金の計算上引かれて計算されています。

合計所得金額(収入金額とは異なります)が2,400万円超の人は基礎控除が減っていきますが、ほとんどの人には関係ないので今回はいったん無視します。

合計所得金額の正確な理解は、非常に複雑となりますので、今回はそういった所得があるという理解で十分だと思います。

 

どう変わる?

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令和7年の税制改正により、基礎控除が、合計所得金額に応じて増える予定です。

重要なポイントは、基礎控除が、合計所得金額に応じて増えることが予定されているということです。

まず、合計所得金額2,350万円以下の人について、基礎控除額に10万円を加算し、48万円から58万円になります。これが基本となります。

これに加えて、さらに次のように基礎控除に加算されます。

1 合計所得金額132万円以下の人について、基礎控除額に37万円加算し、58万円+37万円=95万円となります。

2 合計所得金額132万円超336万円以下の人について、基礎控除額に30万円加算し、58万円+30万円=88万円となります。

3 合計所得金額336万円超489万円以下の人について、基礎控除額に10万円加算し、58万円+10万円=68万円となります。

4 合計所得金額489万円超655万円以下の人について、基礎控除額に5万円加算し、58万円+5万円=63万円となります。

基礎控除の特例

注意するポイント

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恒久措置と時限立法

上述の1については恒久措置、つまり、ずっと続くルールであるのに対し、2~4については令和7年と令和8年の2年間だけ時限立法、つまり、いまのところ2年間だけの限定的なルールとなっている点です。1に該当する人にとってはずっと続くルールとして安心して捉えていただき、2~4に該当する人は、いまのところ2年だけの限定的なルールだということをおさえておきましょう。

 

 

 

 

コラム署名イイノ

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