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あなたの登録番号、合ってる?インボイス発行事業者公表サイトの活用法

こんにちは。富士市・富士宮市の税理士、飯野明宏です。

インボイス制度(適格請求書等保存方式)が令和5年10月から始まり、多くの個人事業主や法人が「適格請求書発行事業者」として登録を済ませました。

この制度の下では、「登録番号」が非常に重要な役割を果たします。
特に、適格請求書を発行する際には、登録番号の正確な記載が仕入税額控除の適用要件
になるため、記載ミスは取引先にも迷惑がかかるおそれがあります。

そこで今回は、ご自身や取引先の登録番号・登録状況を確認できる「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」について、実務での活用ポイントを解説します。


1 登録番号ってそんなに重要なの?

インボイス制度における「適格請求書」には、一定の記載事項が義務付けられています。
その中でも特に重要なのが、次の2点:

  • 氏名または名称

  • 登録番号(13桁/T+数字)

この登録番号がない、または間違っている請求書は、形式上インボイス(適格請求書)とは認められません

つまり、取引相手(課税事業者)が仕入税額控除を行うためには、正しい登録番号が記載された請求書が必要不可欠なのです。

インボイス番号をみせる人


2 国税庁適格請求書発行事業者公表サイトとは?

公式で登録事業者を検索・確認できる公的サイト

「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」とは、
インボイス制度に基づき登録された事業者の情報を誰でも検索・閲覧できる国税庁の公式データベースです。

【アクセス方法】
国税庁インボイス制度特設サイト
「適格請求書発行事業者公表サイト」へ


公表される主な情報(法定公表事項)

  • ■氏名または名称(個人の場合は通称・旧姓の併記も可能)

  • ■登録番号(T+13桁のコード)

  • ■法人の場合:本店または主たる事務所の所在地

  • ■登録年月日

  • ■登録取消年月日・登録失効年月日(該当がある場合)


3 公表サイトの使い方と活用シーン

自分の登録番号を確認したいとき

登録申請後、登録通知書が郵送で届きますが、

  • ■通知がまだ届いていない…

  • ■紛失してしまった…

  • ■請求書に登録番号を記載する前に確認したい…

そんなとき、この公表サイトで自分の「氏名または屋号」で検索すれば、登録番号や登録日などを即座に確認できます。

取引先の登録状況を確認したいとき

仕入税額控除を適用するには、取引相手が適格請求書発行事業者である必要があります。

請求書に登録番号が記載されていても、

  • ■登録番号が本当に有効か?

  • ■登録が失効していないか?

などの確認が必要な場合があります。
このとき、取引先の会社名や個人名から公表サイトで検索することで、その相手がインボイス事業者かどうかがはっきりします。

国税庁の資料でも「必要に応じて、公表サイトで確認するように」とされています。

インボイスを見せる人


4 注意点:個人事業者の氏名の公表について

個人事業者の登録名は、原則として「住民票に記載されている氏名」が公表されます。

ただし、

  • ■外国人の通称名

  • ■旧姓(旧氏)

などを使用したい場合は、「公表(変更)申出書」の提出が必要です。
住民票への併記に制限がある場合の対応方法も、国税庁資料に詳しく説明されています。


5 登録通知が届く前の取引はどうする?

登録申請後、登録番号が公表されるまでにタイムラグがあります。
この間に取引先から請求書の発行を求められた場合、以下の対応が認められています:

  • ■後日、登録番号を記載した適格請求書を再交付する

  • ■後日、番号だけを別途通知し、元の請求書と関連付ける(メール添付など)

この対応でも問題ありませんが、登録日以前の取引に関しては適格請求書として認められないため、日付には注意が必要です。


まとめ 公表サイトを賢く使って、正しいインボイス運用を

インボイス制度の適用にあたっては、登録番号の記載ミスや確認不足が思わぬトラブルにつながります。

公表サイトを活用すれば:

  • ■ご自身の登録番号・登録日がすぐにわかる

  • ■取引先の登録状況の確認ができる

  • ■インボイス制度への正確な対応につながる

インボイス制度に対応するには、正確な情報管理が欠かせません。
ぜひ「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」を日常業務に活用して、スムーズな取引と正しい申告につなげていきましょう。

コラム最下署名

飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

免税事業者がインボイス発行事業者になるには?手続きと2割特例の注意点

こんにちは。富士市・富士宮市の税理士、飯野明宏です。

令和5年10月に導入された「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」は、すべての事業者に大きな影響を及ぼしています。特に、これまで消費税の申告・納税義務がなかった免税事業者の皆さまにとっては、「インボイス発行事業者になるかどうか」は重要な判断事項です。

当事務所でも制度導入時にインボイス制度の基礎を解説してきましたが、
令和7年4月に国税庁が「インボイス制度に関するQ&A」を改訂したことを受け、今回はあらためて免税事業者がインボイス発行事業者になる手続きと注意点をまとめ直しました。


1 免税事業者がインボイス発行事業者になるには?

原則的な手続き

免税事業者がインボイス発行事業者になるには、次の2つの書類の提出が必要です:

  • ■「消費税課税事業者選択届出書」(課税事業者になるため)

  • ■「適格請求書発行事業者の登録申請書」(インボイス発行事業者としての登録)

ただし、これには特別な経過措置が存在します。

インボイスをPCでみる女性


2 特別な経過措置とは?

インボイス制度の導入に伴い、免税事業者向けに以下の特例措置が設けられています:

令和5年10月1日〜令和11年9月30日までの登録申請で、

  • ■「登録申請書」に登録希望日(申請日から15日以降)を記載すると

  • ■その日から課税事業者として登録されたものとみなされる

この場合、「課税事業者選択届出書」の提出は不要です。

※登録希望日以降に通知が届いたとしても、希望日から有効とされます。


3 課税事業者となるタイミングと消費税申告

登録日=課税事業者となる日

通常は「登録日」、経過措置を利用すれば「登録希望日」から課税事業者扱いとなります。

この日以降の取引については、たとえ売上が少なくても消費税の申告・納税が必要です。

2年間は免税に戻れない

経過措置を使って登録した場合、登録日の属する課税期間の翌課税期間から2年間は免税事業者に戻れないというルールもあるため注意が必要です。

インボイスのイメージ


4 小規模事業者向け「2割特例」とは?

2割特例の概要

消費税の事務負担軽減のため、**2割特例(小規模事業者に対する税額控除特例)**が設けられています。

  • ■売上にかかる消費税の 2割のみ納税

  • ■残りの8割は仕入税額控除として自動で差し引かれる扱い

令和5年10月1日~令和11年9月30日の課税期間中に適用可能です。

適用できないケース

以下の課税期間には2割特例は適用不可

  • ■基準期間の課税売上高が1,000万円超

  • ■新設法人や特定新規設立法人に該当する場合

  • ■1,000万円以上の高額特定資産を仕入れた場合


5 「少額特例」との違いも知っておこう

少額特例の概要

基準期間の課税売上高が1億円以下、かつ特定期間で5千万円以下の事業者は、
1万円未満の仕入れであれば、帳簿保存のみで仕入税額控除OK(インボイス不要)。

この「少額特例」は請求書保存要件の緩和であり、2割特例の納税額軽減とは別制度です。


6 課税選択届出書の提出には注意!

うっかり提出で特例が使えなくなることも…

免税事業者が、経過措置を利用すれば本来「課税事業者選択届出書」は不要ですが、
これを誤って一緒に出してしまうと、課税事業者としての取り扱いが早まってしまい、2割特例が使えなくなることがあります。


7 間違えた場合の対処法:「不適用届出書」の活用

たとえば、

  • ■令和5年9月29日に登録申請と選択届出書を同時提出

  • ■令和5年10月1日登録となったが、2割特例が使えない!

という場合でも、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を令和5年12月31日までに提出すれば、
課税事業者扱いが10月1日からとなり、2割特例の適用が可能となります。


まとめ 免税事業者のインボイス登録は慎重に

  • ■経過措置により「登録希望日」から課税事業者になれる

  • ■消費税の申告は必須に

  • ■2割特例少額特例の活用で納税負担を軽減できる

  • ■書類提出の順序や組み合わせによっては、特例の適用が受けられなくなるリスク

コラム最下署名

飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

適格請求書発行事業者になるには?登録方法と通知までの流れ

こんにちは。富士市・富士宮市の相続・税務専門の税理士、飯野明宏です。

令和5年10月からスタートしたインボイス制度(適格請求書等保存方式)について、当事務所でも過去に基本的な解説記事を公開してまいりました。

しかしながら、令和7年4月に国税庁が「インボイス制度に関するQ&A(よくある質問)」を改訂したことにより、実務上の取扱いや判断基準が一部見直されています。

今回、あらためて「適格請求書発行事業者になるための手続きと実務のポイント」について、整理・解説することといたしました。

インボイス制度にまだ対応できていない方も、これから登録を検討されている方も、本記事を通じて正確な情報を得ていただければ幸いです。

1 適格請求書発行事業者になるためには?〜登録申請の基本〜

適格請求書発行事業者になるには、課税事業者であることが前提です。
その上で、所轄税務署長へ登録申請書を提出する必要があります。

提出方法は3つ

  • ■e-Tax(パソコン・スマートフォン)

  • ■郵送(インボイス登録センター宛)

  • ■税務署窓口

個人事業主の場合は、スマートフォンからのe-Tax申請も可能で利便性が向上しています。

インボイスを見る社長 (2)


2 法人・新規開業者の登録特例も押さえよう

新設法人の場合

新設法人が、設立と同時に登録を受けたい場合は、以下の2点が必要です:

  • ■設立日の属する課税期間末日までに「課税選択届出書」を提出

  • ■同じく「登録申請書」も提出

両方の提出が完了し、登録簿に登載されれば、設立日にさかのぼって登録された扱いになります。

免税事業者でも登録できる「経過措置」

令和5年10月1日〜令和11年9月30日までの間は、課税選択届出書の提出が不要な「経過措置」も用意されています。
この場合、登録希望日を指定することで、その日から登録事業者として扱われます。

2割特例について >


3 登録申請から通知までの流れと期間

登録申請書の提出後、税務署長が審査し、問題がなければ登録番号と登録年月日が通知されます。

通知までの期間は?

  • ■一定の期間(数週間〜1か月以上)を要します

  • ■国税庁のインボイス制度特設サイトで、最新の処理状況を確認可能です

登録の効力が生じるタイミング

登録申請書に記載した「登録希望日」または、税務署長が登録した日から効力が発生します。


4 登録通知を待つ間の請求書の扱い

登録番号が通知される前に取引をした場合

インボイス制度では、登録番号のない請求書は原則として「適格請求書」ではない扱いになります。
ただし、以下のような対応が認められています。

① 登録後に再交付する

登録番号や税率区分などを記載した正規の適格請求書を後日再交付

② 登録番号だけ後日通知

元の請求書との関連性が明確である場合、登録番号をメールや別紙で通知してもOKです。

買手側の対応

売手がインボイス登録申請済であることを事前に確認していた場合、
後日適格請求書や登録番号を受け取れば、仕入税額控除の対象にできます。
このとき、後から受け取った書類の保存が必須です。

インボイスをPCでみる女性


5 登録日をまたぐ取引の実務対応

インボイス制度の登録日前後で取引が混在する場合(例:9月16日〜10月15日分の請求書)には、以下のような対応が必要です。

  • ■登録日以後の取引のみ記載して適格請求書として交付

  • ■または、登録日以前・以後を取引ごとに区分記載する方法も可

買手・売手双方で認識を揃えることが重要です。


6 登録情報は国税庁の公表サイトで確認できる

登録された事業者の情報は、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で誰でも確認できます。

公表される主な情報

  • ■氏名または名称

  • ■登録番号(T+13桁)

  • ■法人の本店所在地

  • ■登録年月日、取消年月日

※個人事業者は、外国人の通称や旧姓を併記して公表することも可能です。


7 APIやデータダウンロードで一括確認も可能

取引先が多い事業者は、Web-APIやCSVダウンロード機能を活用することで、登録番号の一括確認が可能です。

  • ■API連携によりシステム自動照合が可能

  • ■月末時点の全件データを取得できるCSV機能もあり


まとめ 登録申請は早めに!対応漏れにご注意を

インボイス制度下では、適格請求書発行事業者としての登録が取引先からの信頼消費税の控除対応に直結します。

まだ登録していない方へ

  • ■「免税事業者だけど今後取引に影響が出そう…」

  • ■「登録申請のやり方がわからない」
    という方は、お早めにご相談ください。

私たち税理士事務所では、登録申請のサポートはもちろん、請求書フォーマットの整備、社内対応まで一貫してお手伝いします。

コラム最下署名

飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

インボイス制度とは?令和5年10月スタートの「適格請求書等保存方式」

こんにちは。富士市・富士宮市の税理士、飯野明宏です。

令和5年10月1日よりスタートした「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」は、消費税の仕入税額控除の実務に大きな影響を与える制度です。

当事務所でも、制度開始時にインボイス制度の基本的な解説をリリースいたしましたが、
令和7年4月に国税庁がインボイス制度に関する「Q&A(よくある質問)」を改訂したことを受け、改めて制度の基本概要を整理し直すことにいたしました。

本記事では、最新の国税庁Q&Aの内容も踏まえたインボイス制度の基本解説を、改めて分かりやすくお届けいたします。

1 インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは?

正式名称と導入の背景

インボイス制度の正式名称は「適格請求書等保存方式」。
複数税率(8%・10%)への対応と、消費税の仕入税額控除の適正化を目的に導入されました。

これにより、買手が消費税の控除を受けるには、従来の請求書ではなく「適格請求書」の保存が必須となったのです。

インボイスを見る社長


2 仕入税額控除の要件がこう変わった!

インボイス制度導入により、仕入税額控除を受けるための要件が以下のように変わりました。

必要な書類等の保存

  • ■適格請求書(インボイス)

  • ■適格簡易請求書

  • 上記の記載事項を含む電子データ

  • 相手先の確認を受けた仕入明細書や仕入計算書

  • 媒介・取次に関する特定書類

適格請求書に必要な記載項目

必須記載事項内容
登録番号発行者の登録番号(T+13桁)
税率区分税率ごとの消費税額等を区分して記載
書類発行者氏名または名称、取引年月日など

従来の請求書に比べて、より詳細な記載が求められるようになった点にご注意ください。


3 制度はいつから始まっているの?

インボイス制度は、令和5年10月1日から施行されました。

以下のように、制度の対象となるのはこの日以降の取引です。

  • 売手における課税資産の譲渡日が10月1日以後の取引から

  • 買手が控除を受けるには、その取引に関する「適格請求書」の保存が必要


4 適格請求書の交付が必要なケース・不要なケース

請求書の交付が【必要】となる場合

  • 売手が「適格請求書発行事業者」であり

  • 相手が課税事業者で、請求書の交付を求めた場合

このとき、発行義務があるため、適格請求書を交付しなければなりません。

【免除】されるケース(例)

以下のような取引では、適格請求書の交付義務がありません。

  • 3万円未満の公共交通機関(電車・バスなど)の利用

  • ■卸売市場での生鮮食料品販売

  • ■農協・漁協等による農林水産物の販売

  • 3万円未満の自動販売機での商品購入

  • ■郵便ポスト差出しの郵便サービス

  • ■1万円未満の返品・値引きなどの返還等

また、非課税取引・免税取引・不課税取引のみを行う事業者についても、インボイスの交付義務はありません。

仕入税額控除の例外について >


5 インボイス対応のチェックポイント

インボイス制度の導入に伴い、事業者が確認すべきことは次の通りです。

適格請求書発行事業者への登録は済んでいるか?

未登録のままでは、取引先が仕入税額控除を受けられず、ビジネス上の支障になる可能性があります。

請求書に必要事項を記載しているか?

従来の書式に比べて記載項目が増えているため、請求書フォーマットの見直しが必要です。

電子保存への対応はできているか?

電子インボイス(PDFやクラウド等)にも対応する体制が求められています。


まとめ インボイス制度は“実務対応”がカギ!

インボイス制度は、仕入税額控除の実務を根本から変える制度です。特に、記載内容のチェック・登録手続・社内対応体制の整備が必要です。

富士市・富士宮市の事業者の皆さま、制度開始から半年以上が経ちましたが、まだ不安を感じている方も多いかと思います。

私たち税理士事務所では、
インボイス登録手続き
請求書の記載内容の確認
会計ソフト対応のアドバイス

などを含めた総合サポートを行っております。お気軽にご相談ください。

コラム最下署名

飯野明宏税理士
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飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

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公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

家庭用財産(家財一式)の相続税評価

こんにちは。富士市・富士宮市の相続専門税理士、飯野明宏です。
相続税申告というと、不動産や預金、有価証券といった“目立つ財産”に目が向きがちですが、ご自宅にある家具や家電などの家財道具=「家庭用財産」も立派な課税対象です。

「使わないから」「価値がなさそうだから」といって申告しなかった場合、税務署から「財産隠し」とみなされるリスクもあります。
本記事では、相続税の対象となる家庭用財産の評価方法について、実務ベースで丁寧に解説していきます。


1 家庭用財産も相続税の課税対象です

相続税の課税対象には、現金・不動産・株式・保険金といった明らかな資産だけでなく、自宅にある生活用品も含まれます。具体的には、以下のようなものが該当します。

  • 家具(ソファ・タンス・机など)

  • 家電(テレビ・冷蔵庫・洗濯機など)

  • 衣類・装飾品(着物・バッグ・腕時計など)

  • 自動車

  • 貴金属(指輪・ネックレス・金地金)

  • 書画骨董(掛け軸・壺など)

  • 電話加入権

これらはすべて「一般動産」として分類され、原則として評価額に応じて相続税が課されることになります。

ソファとタンス


2 家庭用財産の評価単位と評価基準

評価単位は「1個または1組」が原則

相続税の評価では、家具や家電などは1個または1組ごとに評価するのが基本です(財産評価基本通達128)。

ただし、価額が1個あたり5万円以下の動産については、「家財一式」として一括評価することが認められています。

評価方法は次の2段階方式

  1. 原則評価:売買実例価額または精通者意見価格(中古売却価格・専門家の査定)

  2. 例外評価:新品の価格から減価償却費を控除して計算

 

 

3 財産の種類ごとの評価ポイント

家具類(タンス・ベッド・机 など)

  • 減価償却により価値が大きく下がるため、多くは「家財一式」にまとめて申告可能。

  • ただし、アンティークや高額家具は個別評価が必要です。

家電製品(テレビ・パソコン・冷蔵庫 など)

  • 購入価格が10万円超または中古市場で5万円超のものは個別計上

  • 高性能テレビやカメラ、パソコンは査定要。

主な耐用年数:

  • テレビ・カメラ:5年

  • エアコン:6年

  • 冷蔵庫:4年

衣類・装飾品(着物・バッグ・時計 など)

  • ブランド物や宝石付きの高級品は中古市場での価格を調査し、個別に評価

  • プレタポルテやユニクロ製品などは家財一式へ。

自動車

  • 中古市場の査定額を基に評価。

  • インターネットの無料査定を活用可能。

  • 耐用年数:普通車6年/軽自動車4年

貴金属・宝石

  • 専門業者の査定価格、またはネット買取価格などを参照。

  • 複数ある場合は「貴金属一式」としてまとめて計上も可能。

書画・骨董

  • 美術商や鑑定士の意見を反映した評価が基本。

  • 特にコレクターだった被相続人の場合は、専門家査定が推奨

電話加入権

  • 令和3年以降は「家財一式」に含めて申告。

  • かつては1,500円で評価されていましたが、現在は個別評価不要。

※仏壇や位牌などは非課税財産として相続税申告の対象外です。

 


4 申告書への記載方法

家財一式としてまとめて申告する場合

記載項目内容例
種類家庭用財産
細目家財一式
所在地自宅の住所
評価額例:30万円(状況に応じて10〜50万円程度が多い)

個別評価が必要な場合

  • 種類:その他の財産

  • 細目:家具(ソファ〇〇、テレビ〇〇 等)

  • 評価額:査定価格 or 減価償却後の残額


まとめ 家庭用財産も立派な「相続財産」です

家庭用財産は「価値がなさそう」と思われがちですが、相続税の対象であり、申告漏れがあると税務署から指摘される可能性もあります。

  • ■5万円以下の家財はまとめて申告可能

  • ■5万円超の動産は個別に評価

  • ■家財の評価は精通者意見・減価償却・査定額で判断

万が一、価値あるものをうっかり見落としてしまうと、加算税や延滞税が発生する可能性もあるため、慎重な対応が必要です。

 

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中小企業必見!賃上げ促進税制が大きく変わっています

こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。

今回は、令和6年度(2024年度)税制改正で大きく見直された「賃上げ促進税制」について解説します。
この制度は、従業員への給与引き上げや人材投資を行う企業を税制面で支援するもので、特に中小企業向けに注目すべき変更点がいくつかあります。


1 賃上げ促進税制とは?

賃上げ促進税制とは、企業が前年度より従業員の給与を増やした場合に、その増加分の一定割合を法人税や所得税から控除できる制度です。

これまで「中小企業向け」と「大企業向け」の2分類でしたが、今回の改正により「中堅企業向け」が新たに加わり、3パターンに細分化されました。

賃上げで喜ぶ女性


2 中小企業向けの改正ポイント

1. 税額控除の繰越が可能に!

これまで赤字などで税額控除を活用できない場合、その年で打ち切りとなっていましたが、
今後は使いきれなかった控除額を最大5年間繰越できるようになります。

適用要件

  • ■繰越対象となる年の申告時に「特別控除に関する明細書」の提出が必要

  • ■繰越適用年でも給与支給額が前年度比で1円以上増加していること

※繰越控除は「中小企業向け制度」のみで利用可能。中堅企業向け制度を選択した場合は使えません。


2. 教育訓練費での上乗せ要件が緩和!

従来、前年比10%以上の教育訓練費の増加が要件でしたが、以下の通り緩和されました:

  • ■前年比5%以上増加

  • ■教育訓練費の額が給与総額の0.05%以上

この要件を満たすと、控除率が10%上乗せされます。

研修を受ける女性


3. くるみん・えるぼし認定による追加優遇措置

厚労省が認定する「くるみん」や「えるぼし(女性活躍推進)」を取得した企業に対し、控除率の5%上乗せが新設されました。

要件は2パターン:

  • ■適用年度中に「くるみん・くるみんプラス」「えるぼし(二段階以上)」のいずれかを取得

  • ■適用年度末時点で「プラチナくるみん・プラチナえるぼし」のいずれかを取得

※これらの認定には申請から2年程度かかる場合もあります。早めの準備が重要です。


3 制度適用の注意点と具体的数値

控除率(通常の場合)

給与増加率(前年比)控除率
1.5%以上15%
2.5%以上30%

※上乗せがあれば、最大+15%(教育訓練+認定)で最大45%の控除も可能。

控除上限

税額控除は、法人税額等の20%が限度となります(繰越控除の場合も同様)。


4 中小企業者等の定義

この制度の「中小企業者等」とは、以下の法人を指します:

  • ■資本金または出資金が1億円以下(大企業の子会社等は除く)

  • ■出資がない法人で従業員1,000人以下

  • ■協同組合など一定の法人

※ただし、直前3期の所得金額平均が15億円を超える法人は対象外です。


5 適用開始時期と実務への影響

この改正は、令和6年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
たとえば3月決算法人なら、令和7年3月期決算分から対象です。


6 まとめ|早めの準備で活用を

今回の改正は、中小企業にとって活用しやすくなった一方、「事前準備」や「認定取得」など、実務的な対応が求められる制度となっています。

特に、

  • ■教育訓練費の増加

  • ■認定(くるみん・えるぼし)の取得

  • ■年度内の給与戦略
    などは、早期の社内整備がカギになります。

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飯野明宏税理士
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飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。