これで安心!遺産分割協議書の作成と注意点
こんにちは。富士市・富士宮市の税理士飯野明宏です。
相続が発生した際、「誰がどの財産を相続するか」を話し合って決めることを遺産分割協議といいます。そして、その結果を文書にしたものが遺産分割協議書です。
この協議書は、預金の解約や不動産の相続登記、相続税申告などに必要不可欠な書類です。この記事では、遺産分割協議書の基礎から作成手順、注意点、やり直しのリスクまでを詳しく解説します。
📚 目次
第1章|遺産分割協議とは?
遺産分割協議とは、被相続人が遺した財産を相続人間でどのように分けるかを決める手続きです。
被相続人に遺言書がない場合や、遺言に書かれていない遺産がある場合には、法定相続人全員の合意によって協議を行う必要があります。
協議が必要となる主なケース
- 遺言がない
- 遺言書が無効、または内容を変更したい
- 遺言に記載されていない遺産が見つかった
- 法定相続分とは異なる分け方をしたい 等
第2章|遺産分割協議書とは?
遺産分割協議書は、協議の結果を文書化した「法的証拠」として機能します。これを作成することで、相続人全員の合意内容が明確になり、後々のトラブル防止に役立ちます。
第3章|遺産分割協議書の記載方法と構成
法定様式はありませんが、正確性と客観性が重要です。
記載すべき主な項目
被相続人と相続人の情報(氏名、続柄、住所、生年月日)
分割対象の遺産の内容と承継先
不動産:登記事項証明書の内容を正確に記載
預貯金:金融機関名、支店、口座番号など
有価証券:銘柄名、保有口数、証券会社など
負債:債権者名、契約内容、残高など
※複数ページになる場合は契印(割印)を押しましょう。
第4章|署名・実印・印鑑証明書の重要性
協議書の信頼性を高めるため、法定相続人全員の署名と実印の押印が必要です。
あわせて、印鑑証明書の添付も求められます。
実印:本人確認力が高く、不動産登記や預貯金解約に必須
印鑑証明書:協議書の正当性を証明する書類
第5章|遺産分割協議書の3つの効力
証拠力
→ 相続人全員の合意を証明し、将来の紛争を予防財産の承継手続きに使用
→ 銀行、不動産登記、自動車名義変更などに必要相続税申告に活用
→ 税務署に提出し、遺産の分割内容を明示する
第6章|遺産分割協議のやり直しはできる?
原則として、一度成立した遺産分割協議はやり直せません。ただし、以下のケースでは可能です。
相続人全員の同意が再び得られる場合
協議の無効・取消(詐欺・錯誤・一部除外など)が認められる場合
後から新たな遺産が発見された場合
やり直しの注意点
贈与税や譲渡所得税が発生する可能性あり
不動産の再登記で費用と手間がかかる
税務上の評価や申告内容も変更になる可能性がある
第7章|まとめ:遺産分割協議書で相続をスムーズに
遺産分割協議書は、相続手続きにおける「要」の書類です。
相続人全員の合意を文書で証明
財産承継や税務申告、登記手続きに必須
書き方・内容・形式に不備があると手続きが進まない