こんにちは。富士市・富士宮市の相続・税務専門の税理士、飯野明宏です。
令和5年10月からスタートしたインボイス制度(適格請求書等保存方式)について、当事務所でも過去に基本的な解説記事を公開してまいりました。
しかしながら、令和7年4月に国税庁が「インボイス制度に関するQ&A(よくある質問)」を改訂したことにより、実務上の取扱いや判断基準が一部見直されています。
今回、あらためて「適格請求書発行事業者になるための手続きと実務のポイント」について、整理・解説することといたしました。
インボイス制度にまだ対応できていない方も、これから登録を検討されている方も、本記事を通じて正確な情報を得ていただければ幸いです。
📑 目次
第1章|適格請求書発行事業者になるためには?〜登録申請の基本〜
適格請求書発行事業者になるには、課税事業者であることが前提です。
その上で、所轄税務署長へ登録申請書を提出する必要があります。
▼提出方法は3つ
e-Tax(パソコン・スマートフォン)
郵送(インボイス登録センター宛)
税務署窓口
個人事業主の場合は、スマートフォンからのe-Tax申請も可能で利便性が向上しています。
第2章|法人・新規開業者の登録特例も押さえよう
■ 新設法人の場合
新設法人が、設立と同時に登録を受けたい場合は、以下の2点が必要です:
設立日の属する課税期間末日までに「課税選択届出書」を提出
同じく「登録申請書」も提出
両方の提出が完了し、登録簿に登載されれば、設立日にさかのぼって登録された扱いになります。
■ 免税事業者でも登録できる「経過措置」
令和5年10月1日〜令和11年9月30日までの間は、課税選択届出書の提出が不要な「経過措置」も用意されています。
この場合、登録希望日を指定することで、その日から登録事業者として扱われます。
第3章|登録申請から通知までの流れと期間
登録申請書の提出後、税務署長が審査し、問題がなければ登録番号と登録年月日が通知されます。
▼通知までの期間は?
一定の期間(数週間〜1か月以上)を要します
国税庁のインボイス制度特設サイトで、最新の処理状況を確認可能です
▼登録の効力が生じるタイミング
登録申請書に記載した「登録希望日」または、税務署長が登録した日から効力が発生します。
第4章|登録通知を待つ間の請求書の扱い
■ 登録番号が通知される前に取引をした場合
インボイス制度では、登録番号のない請求書は原則として「適格請求書」ではない扱いになります。
ただし、以下のような対応が認められています。
① 登録後に再交付する
登録番号や税率区分などを記載した正規の適格請求書を後日再交付。
② 登録番号だけ後日通知
元の請求書との関連性が明確である場合、登録番号をメールや別紙で通知してもOKです。
■ 買手側の対応
売手がインボイス登録申請済であることを事前に確認していた場合、
後日適格請求書や登録番号を受け取れば、仕入税額控除の対象にできます。
このとき、後から受け取った書類の保存が必須です。
第5章|登録日をまたぐ取引の実務対応
インボイス制度の登録日前後で取引が混在する場合(例:9月16日〜10月15日分の請求書)には、以下のような対応が必要です。
登録日以後の取引のみ記載して適格請求書として交付
または、登録日以前・以後を取引ごとに区分記載する方法も可
買手・売手双方で認識を揃えることが重要です。
第6章|登録情報は国税庁の公表サイトで確認できる
登録された事業者の情報は、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で誰でも確認できます。
公表される主な情報
氏名または名称
登録番号(T+13桁)
法人の本店所在地
登録年月日、取消年月日
※個人事業者は、外国人の通称や旧姓を併記して公表することも可能です。
第7章|APIやデータダウンロードで一括確認も可能
取引先が多い事業者は、Web-APIやCSVダウンロード機能を活用することで、登録番号の一括確認が可能です。
API連携によりシステム自動照合が可能
月末時点の全件データを取得できるCSV機能もあり
まとめ|登録申請は早めに!対応漏れにご注意を
インボイス制度下では、適格請求書発行事業者としての登録が取引先からの信頼や消費税の控除対応に直結します。
✅ まだ登録していない方へ
「免税事業者だけど今後取引に影響が出そう…」
「登録申請のやり方がわからない」
という方は、お早めにご相談ください。
私たち税理士事務所では、登録申請のサポートはもちろん、請求書フォーマットの整備、社内対応まで一貫してお手伝いします。