相続税の税務調査とは?調査の流れ・確率・準備ポイント

2025年5月10日 管理人

相続税の税務調査とは?調査の流れ・確率・準備ポイント


第1章|税務調査とは何か?その本質と種類を知る

税務調査とは、税務署が申告された税額の適正性を確認するために実施する調査のことです。税目は法人税、所得税、消費税、そして相続税など多岐にわたります。

通常は任意調査であり、きちんと申告していても対象になることがあります。


第2章|相続税における税務調査の特徴

相続税の申告は、複雑で金額が大きくなることが多いため、他の税目に比べて調査が入りやすい傾向にあります。

2-1. 調査の発端は「死亡届」

被相続人の死亡届は、市区町村から法務局を通じて国税庁に通知されます。その後、国税庁が運用するKSK(国税総合管理)システムにより、死亡日、資産状況、過去の申告履歴、固定資産税評価情報などが連携され、税務署は相続税の申告対象者を効率的に把握・分析しています。

2-2. 調査の確率は?

国税庁が公表した「平成30事務年度における相続税の調査の状況」によると、相続税の申告件数は136,891件、そのうち実地調査が行われたのは12,463件でした。これは、申告件数のうち約9.1%(およそ11件に1件)が調査対象となったことを意味します。

実地調査とは、税務署の調査官が実際に自宅や事務所を訪問し、帳簿や証憑書類をもとに相続税申告の内容を詳しく確認するものです。郵送や電話での簡易な問い合わせ調査とは異なり、現地調査には税理士の立ち会いが推奨されます。

このように、適正に申告していても、一定の確率で実地調査の対象となる可能性があるため、事前の準備と記録の保存が重要です。


第3章|税務調査が来る前にできる事前準備

税務調査は突然やってくるようで、実は準備できるタイミングがあります

3-1. 調査対象になりやすいパターン

  • 高額な財産(不動産、預貯金、有価証券など)を保有している
  • 現金取引が多い業種
  • 申告内容と第三者資料(不動産評価、銀行データなど)の齟齬

第4章|税務調査を受けたときの対応のコツ

4-1. 税理士の立会いは必須

調査官とのやりとりは税理士を通じて行うことがトラブル防止の鉄則です。

4-2. 素直な対応+証拠書類の整理

質問に対しては事実を簡潔に答えることが重要です。書類は調査官がスムーズに確認できるように分類しておきましょう。

4-3. 指摘内容に納得がいかない場合

税務署から更正処分を受けた場合、不服申立(異議申立・審査請求)も可能です。税理士とよく相談し、方針を決定しましょう。


第5章|まとめ|相続税の税務調査は事前対策が鍵

税務調査は「罰するため」のものではなく、「正しい納税を促す」ための制度です。調査をきっかけに、記帳や管理体制を見直すことができれば、資産管理の健全性を高めるきっかけになります。

相続税申告では、「普段の備え」と「専門家との連携」が最大の防御策です。

相続税の専門院

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飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

 

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