預貯金口座付番制度が拡充!相続時などに口座照会が可能に
こんにちは。富士市・富士宮市を中心に相続税申告をサポートしている税理士の飯野明宏です。
2024年〜2025年にかけて、「預貯金口座付番制度」が拡充され、相続や災害時の手続きがよりスムーズになる仕組みが始まりました。
特に、被相続人の口座がどこにあるか分からない場合、この制度は富士市・富士宮市の皆様にとっても大きなメリットがあります。
本記事では、制度の概要と拡充内容、そして実務上の影響について、税理士が解説いたします。
目次
第1章|預貯金口座付番制度とは?
「預貯金口座付番制度」とは、金融機関の預貯金口座にマイナンバー(個人番号)をひもづける制度です。預貯金者が希望すれば、自らのマイナンバーを各金融機関の口座に登録することができます。
この制度により、行政機関は預貯金情報を正確かつ迅速に把握できるようになります。特に、相続時や災害発生時に、速やかな対応が可能となる仕組みとして注目されています。
※ 登録は義務ではなく、預貯金者本人の意思によって任意で行われます。
第2章|2024年以降の制度拡充ポイント
令和6年(2024年)4月、「口座管理法(正式名称:預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律)」が施行され、制度が大幅に拡充されました。主な変更点は以下のとおりです。
1.マイナポータルによる一括届出が可能に
従来、マイナンバーの届け出は各金融機関ごとに個別の手続きが必要でしたが、制度拡充により、マイナポータルを利用すれば一度の手続きで複数の金融機関に届け出が可能となりました。
これにより、複数の口座をお持ちの方の手間が大幅に軽減されます。
2.相続・災害時の「口座照会制度」の新設(2025年4月〜)
令和7年(2025年)4月1日から、「相続時口座照会制度」が正式にスタートしました。以下がその概要です。
相続時口座照会制度(有料)
内容:相続人や代理人(税理士など)が申請することで、被相続人のマイナンバーをもとに預貯金口座の有無を全国的に検索できる制度
照会機関:預金保険機構
手数料:5,060円(税込)
対象者:相続人またはその代理人
第3章|富士市・富士宮市での実務的メリット
富士市や富士宮市でも、高齢化に伴い相続のご相談は年々増加しています。その中で、よくあるご相談が以下のようなものです。
「親がどの銀行に口座を持っていたか分からない」
「通帳もカードも見当たらないので手続きが進まない」
これまでは、
- 全ての金融機関に個別に照会
- 残高証明書の取得や確認に手間と費用がかかる
- 家庭裁判所や税務署への申告にも遅れが生じがち
というのが実態でした。
しかし、相続時口座照会制度を使えば、
- 一括で全国の付番済み口座を調査可能
- 5,060円の手数料でスピーディに情報を入手可能
と、相続人の負担を大きく軽減できるようになります。
第4章|制度利用時の留意点とアドバイス
この制度は非常に便利ではありますが、以下の点には注意が必要です。
マイナンバー登録がされていない口座は対象外
被相続人のマイナンバーが分かっていないと請求できない
制度の理解が進んでいない金融機関もあるため、事前確認が望ましい
まとめ|制度の活用で「困らない相続手続き」を
今回の制度拡充により、相続における口座情報の把握がより簡単かつ迅速に行えるようになりました。
富士市・富士宮市でも、今後ますます活用が広がることが期待されます。
「親の預金が分からず、手続きが止まってしまった…」といったトラブルを未然に防ぐためにも、制度の内容を正しく理解し、必要に応じてマイナンバーの登録や相続時口座照会制度の利用をご検討ください。