🏡代償分割とは?どういう場合に登場するのか。
相続の場面でしばしば登場する「代償分割」について解説します。
相続では、現金や不動産、預貯金等を、どのように分けるのかが、大きな問題になります。
財産のうち、ほとんどの金額を1つの不動産(自宅等)が占めている場合もめずらしくありません。このような場合には、財産を分けるのが難しくなります。そのようなときに、よく使われる遺産分割の方法に「代償分割」があります。
❓「代償分割」とは?
「代償分割(だいしょうぶんかつ)」とは、遺産分割の方法の一つです。
遺産をそのまま分けるのではなく、ある相続人が特定の財産を相続する代わりに、他の相続人に現金などの代償金を支払う方法です。
📌 具体例:
遺産に不動産(例えば実家)が含まれており、それを長男が相続したいとします。この家族は、相続人間で遺産を平等に分けたいと考えています。
その不動産が他の相続人の法定相続分より高い価値がある場合、長男がその差額分を現金で支払うことで、平等性を確保できます。
✅なぜ代償分割を選択するのか?
相続の実務では、代償分割が選択される理由がいくつかあります。
🏘️ 1. 不動産の共有を避けたい
富士市や富士宮市では、相続財産の中心が不動産というケースも多くあります。
不動産を複数人で共有すると、売却や修繕などの決定に、共有で持っている全員の許可が必要であり、時間がかかり、後々のトラブルにもつながります。
➡ 代償分割を使えば、不動産の共有を避けつつ、他の相続人への公平な分配が可能になります。
🏠 具体的なケース
例えば、相続財産が下記のような構成だったとします:
自宅(土地建物):2,000万円
預貯金:100万円
相続人:長男と長女の2人
- 平等に分けたい
不動産を単純に半分に分けることは困難であり、共有にするか、売却して分けるか等、いくつかの選択肢があります。
そこで、長男が不動産を全て取得し、長男から長女に対し、法定相続分に見合う950万円の代償金を支払うことで、分割を成立させるのが代償分割の典型例です。
🌾 2. 事業や農地を守るため
事業や農地に関する資産は、分割せずに特定の、その事業や農業に従事する相続人に集約させたいと考えるのが一般的です。
➡ 代償分割なら、財産の一括承継と公平な相続の両立が実現できます。
📜 3. 遺言がない場合の柔軟な対応策
遺言がなく、遺産分割協議が必要な場合、代償分割は柔軟な対応が可能です。
現物分割が難しいときでも、代償金で調整することでスムーズな協議が行えます。
🔄他の遺産分割方法との違いは?
分割方法 | 内容 | 特徴・問題点 |
---|---|---|
現物分割 | 各相続人が財産をそのまま分け合う | 分けやすい財産(預貯金など)に適する |
換価分割 | 財産を売却し、代金を分ける | 売却市場の影響を受ける |
共有分割 | 相続人で共有名義にする | 将来的な売却や使用でトラブルが起きやすい |
代償分割 | 一人が取得し、他に代償金を支払う | 分けにくい財産がある場合 公平性も確保しやすい |