株式会社と合同会社、どっちを選ぶ?

2025年6月2日
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2025年6月2日 管理人

こんにちは。富士市・富士宮の税理士、飯野明宏です。

会社設立を考えているあなた、「株式会社」と「合同会社」のどちらにするか迷っていませんか?

多くの人が株式会社を選びがちですが、実は合同会社の方が設立・運営が簡単で、コストも安く済む場合があります。でも、どちらが良いかはあなたの目的次第なんです。

今回は、2つの会社形態の違いを徹底比較し、あなたにピッタリの選択ができるよう、解説します。

1. そもそも株式会社って何?

株式会社は、株式を発行してお金を集め、事業で利益を上げて株主に配当する組織です。

株式会社の基本構造

  • ■株主: お金を出資して株式を持つ人(所有者)
  • ■取締役: 株主に選ばれて会社を経営する人(経営者)
  • ■基本原則: 所有と経営が分離している

つまり、「お金を出す人」と「経営する人」が基本的に別々ということです。ただし、1人で株主と取締役を兼任することも可能です。

株式会社の特徴

  • 日本で最も一般的な会社形態
  • 株式発行で資金調達しやすい
  • 将来の事業拡大に有利
  • 出資額の範囲内でのみ責任を負う(間接有限責任)

2. 合同会社って何?

合同会社は2006年に登場した新しい会社形態で、アメリカのLLCをモデルにしています。Amazon Japan も合同会社です。

合同会社の基本構造

  • 社員: お金を出資する人(※従業員ではありません)
  • 基本原則: 出資した社員全員が経営に参加
  • 特徴: 所有と経営が一致している

「お金を出す人」が「経営する人」でもあるということですね。

合同会社の特徴

  • 設立コストが安い
  • 自由度の高い経営が可能
  • 株主総会や取締役会が不要
  • 出資額の範囲内でのみ責任を負う(間接有限責任)

こちらのコラムもご参考にしてください。
合同会社について >

3. 株式会社 vs 合同会社 徹底比較

設立費用の違い

項目株式会社合同会社
登録免許税15万円6万円
定款認証手数料5万円不要
その他費用約0.3万円約0万円
合計約20万円約6万円

合同会社の方が14万円も安い!

その他の主な違い

意思決定のスピード

  • 株式会社: 株主総会での決議が必要(時間がかかる)
  • 合同会社: 社員同士で迅速に決定可能

代表者の呼び方

  • 株式会社: 代表取締役
  • 合同会社: 代表社員

利益配分の自由度

  • 株式会社: 出資比率に応じた配分
  • 合同会社: 自由に設定可能(貢献度重視なども可能)

社会的な知名度・信用

  • 株式会社: 高い(契約・融資・採用に有利)
  • 合同会社: やや低い(徐々に認知度は上昇中)

4. あなたはどちらを選ぶべき?

株式会社がおすすめな人

こんな目標がある方は株式会社を選びましょう

事業を大きく成長させたい
将来的に株式上場を考えている
投資家から資金調達したい
社会的信用を重視したい
採用活動で有利に働かせたい
取引先との契約で信用力が必要

株式会社を選ぶべき業種例

  • 製造業で大規模展開を目指す
  • IT企業で将来IPOを検討
  • 小売業でフランチャイズ展開予定

合同会社がおすすめな人

こんな方針の方は合同会社を選びましょう

設立・運営コストを抑えたい
少人数で柔軟に事業を進めたい
社内ルールを自由に決めたい
スモールビジネスで十分
節税メリットを重視したい
迅速な意思決定を重視したい

合同会社を選ぶべき業種例

  • コンサルティング業
  • デザイン・クリエイティブ業
  • 小規模な飲食店
  • 家族経営の事業

会社

5. 迷った時の判断基準

まだ迷っている方は、以下の質問に答えてみてください:

チェックリスト

A: 株式会社向け

  •  5年以内に従業員10名以上にしたい
  • 投資家からの資金調達を検討している
  • 上場も視野に入れている
  • 取引先が大企業中心
  • 社会的信用が事業に直結する

B: 合同会社向け

  • 設立費用は安く抑えたい
  • 少人数での事業運営で十分
  • 柔軟で自由な経営をしたい
  • ランニングコストを削減したい
  • ■ 節税効果を重視したい

Aが多い → 株式会社
Bが多い → 合同会社

まとめ:目的に合わせて選択しよう

株式会社と合同会社の特徴まとめ

特徴株式会社合同会社
設立費用高い(約20万円)安い(約6万円)
運営費用高い(年約13万円)安い(年約7万円)
資金調達しやすい限定的
社会的信用高いやや低い
経営の自由度制約あり高い
意思決定時間がかかる迅速

最終判断のポイント

  • 将来性重視 + 成長志向 → 株式会社
  • コスト重視 + 小規模経営 → 合同会社

どちらを選ぶかは、あなたのビジネスプランと将来のビジョン次第です。今回の比較を参考に、最適な選択をしてください。

迷った場合は、私たちにご相談ください。

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飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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