中小会計要領のポイント解説:具体的な会計処理の特徴 📚 目次 はじめに|中小企業向けの「各論」とは? 第1章|収益と費用の基本的な処理 第2章|資産と負債の基本的な処理 第3章|具体的な処理例とそのポイント まとめ|会計処理における中小企業への実務的配慮 はじめに|中小企業向けの「各論」とは? 「中小企業の会計に関する基本要領」(本要領)は、中小企業の実態に配慮した簡便な会計処理方法を「各論」として具体的に示しています。 今回は、その中でも中小企業にとって特に知っておくと役立つ会計処理のポイントをいくつかご紹介します。 第1章|収益と費用の基本的な処理 まず、収益の計上については、原則として製品・商品の販売やサービスの提供を行い、現金等を取得した時(または売掛金の発生時)に計上します。これは一般に「実現主義」と呼ばれます。実務上は、出荷時点で収益を計上する方法が多く見られますが、取引の実態に応じて決定することになります。 次に、費用の計上は、原則として費用の原因となる取引が発生した時点やサービスの提供を受けた時点で計上するというもので、これは「発生主義」といいます。 また、収益と関連費用を対応させて計上する「期間損益計算」の考え方も重要です。たとえば、販売した製品の売上原価を売上高に対応させて費用計上するような形がこれにあたります。 さらに、損益計算書では収益と費用は総額で表示する「総額表示」が原則です。たとえば、賃借した建物を転貸している場合には、受取家賃と支払家賃の両方を計上する必要があります。 第2章|資産と負債の基本的な処理 資産の計上については、原則として取得価額で計上する(取得原価主義)とされています。取得価額とは、資産の取得または製造に要した費用の合計であり、購入金額に付随費用を加えた金額です。 一方、負債の計上は、債務額で行うのが原則です。これは、将来支払うべき金額として認識する必要があります。 第3章|具体的な処理例とそのポイント…