相続税の延滞税・加算税はいくら? ペナルティと回避策

2025年5月17日 管理人

こんにちは。富士市・富士宮市の飯野明宏税理士事務所です。

相続税には、申告や納税が遅れたり不備があると「延滞税」や「加算税」といったペナルティ(附帯税)が課されることがあります。こうしたペナルティは本税に上乗せして支払う必要があり、無視すると負担が大きくなってしまいます。

本記事では、延滞税・加算税の具体的な税率や計算方法、さらにペナルティを回避する方法について詳しく解説します。


1 延滞税とは?納税遅れのペナルティ

リンク 国税庁「延滞税の計算方法」

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課税されるケース

  • ■申告は間に合ったが納税が遅れた
  • ■期限後申告・修正申告
  • ■税務調査による更正処分

税率(令和5〜6年)

  • ■納期限翌日〜2か月:年2.4%
  • ■2か月超:年8.7%

延滞税の計算方法

延滞税 = ①+②
①:税額×2.4%×2か月以内の日数÷365
②:税額×8.7%×2か月超の日数÷365
※100円未満切捨て

【計算例】

納税額:1,000万円、延滞期間90日(61日+29日)

  • ■①10,000,000 × 2.4% × 61 ÷ 365 = 約40,109円
  • ■②10,000,000 × 8.7% × 29 ÷ 365 = 約69,123円
  • ■合計:109,200円(切り捨て後)

延滞税の免除期間

  • ■自主的修正申告:1年超の期間が免除される
  • ■税務署更正決定:1年超の期間が免除される
  • ■重加算税課税時:免除適用なし

延滞税がかからない場合

  • ■税額が1万円未満の場合
  • ■期限内申告書の提出があり、納付すべき税額が期限内に完納された場合
  • ■ 災害その他やむを得ない理由がある場合(税務署長の承認が必要)

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2 加算税とは?申告の不備に対するペナルティ

種類と概要

加算税の種類と税率の目安
種類内容税率目安
無申告加算税期限内に申告していない場合に課される加算税5~30%
過少申告加算税実際より少ない金額で申告した場合に課される加算税5~15%
重加算税仮装・隠ぺいなど悪質な不正行為がある場合に課される重い加算税35~40%(加算あり)

無申告加算税の税率(抜粋)

税額・申告タイミングごとの過少申告加算税の加算割合
税額の範囲自主申告調査通知後調査後
~50万円5%10%15%
~300万円5%15%20%
300万円超5%25%30%

※ 過去に課税歴があると10%加算される場合あり

過少申告加算税の税率(抜粋)

無申告加算税の加算割合(税額増加分と修正のタイミングによる違い)
税額増加分自主修正調査通知後調査後
~50万円0%5%10%
50万円超10%15%15%

 


3 税務調査での発覚と重加算税

税務調査のきっかけ

  • ■名義預金・生前贈与の申告漏れ
  • ■評価額の不自然な低さ
  • ■保険金・預金の未申告

調査は原則として事前通知がありますが、悪質な場合は無予告で行われることも。

調査の流れと対応のポイント

  • ■事前通知:原則として調査開始日の1週間前までに通知
  • ■準備期間:関係書類の整理と税理士への相談
  • ■調査当日:立会いと適切な説明が重要
  • ■調査結果:修正事項があれば修正申告書の提出

調査時の注意点

  • ■質問に対しては正直に回答する
  • ■不明な点は「確認します」と答える
  • ■推測での回答は避ける
  • ■税理士の立会いを依頼することが重要

重加算税の詳細

重加算税は最も重いペナルティで、以下の行為が認定された場合に課されます:

  • ■帳簿書類の破棄・隠匿
  • ■ 虚偽の記載や二重帳簿の作成
  • ■ 財産の名義変更や隠匿
  • ■税理士等への虚偽説明

重加算税の税率

  • ■期限内申告済みの場合:35%
  • ■無申告の場合:40%
  • ■過去5年以内に重加算税の課税歴がある場合:上記に10%加算

4 ペナルティを回避・軽減する方法

  • ■早めに申告・納税(税額未確定でも仮納付)
  • ■相続税対策として現金準備・生命保険活用
  • ■特例適用(配偶者・宅地等)でも申告は必須
  • ■自主的に期限後申告・修正申告
  • ■相続専門税理士に相談・依頼

申告期限の延長制度

相続人が海外にいる場合や、遺産分割協議が長期化する場合は、申告期限の延長が可能です:

  • ■申請期限:相続開始を知った日の翌日から10か月以内
  • ■延長期間:最大2か月
  • ■必要書類:相続税の申告書の提出期限の延長申請書

●更正の請求

申告後に税額を減額できる事実が判明した場合:

  • ■請求期限:申告期限から5年以内
  • ■対象事例:財産評価の誤り、特例適用漏れなど
  • ■効果:納め過ぎた税額の還付

5 納税困難な場合の対応策

相続税納付に関する主な対応制度
制度内容備考
延納分割払い利子税あり
物納財産による納付対象資産に要件あり
猶予制度災害や病気による延長等要件・申請必要
一時借入金融機関からの資金調達滞納処分の回避に有効

まとめ

延滞税・加算税は「申告の遅れ」や「納税忘れ」に対する罰則です。

  • ■早めの対応と自主的な申告・納税が重要
  • ■税務調査前に修正すれば、加算税は軽減可能
  • ■専門家のサポートで、適正な申告と節税が可能になります

富士市・富士宮市で相続税のご不安がある方は、飯野明宏税理士事務所までお気軽にご相談ください。

 

相続税の専門院

飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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