目次
第1章|「相次相続控除」とは?
こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。
相次相続控除(そうじそうぞくこうじょ)とは、ある相続が起きたあと、10年以内に再度相続が発生した場合、2回目の相続税の負担を軽減できる制度です。
たとえば、父が亡くなり母がその遺産を相続し、数年後に母も亡くなって子が相続した場合、父の相続税を母が支払っていたとしても、母の死亡により同じ財産に再度課税されてしまいます。これを「二重課税」としないために、相次相続控除が設けられているのです。
第2章|控除を適用するための3つの要件
相次相続控除を受けるには、以下の3つすべてを満たす必要があります:
- 法定相続人であること
- 過去10年以内に、被相続人が別の相続で財産を取得していること
- その相続で被相続人に相続税が課税されていたこと
ポイント解説
- 遺言で財産を受け取っただけの友人や知人には適用不可
- 代襲相続人(たとえば孫)が法定相続人であれば対象になる
- 配偶者控除などにより1次相続で相続税が0円だった場合は適用できない
第3章|控除額の計算方法
控除額の算定はやや複雑ですが、概ね以下のポイントを押さえれば理解できます。
控除率は「経過年数」で決まる
経過年数 | 控除率 |
---|---|
1年未満 | 100% |
2年未満 | 90% |
3年未満 | 80% |
4年未満 | 70% |
5年未満 | 60% |
6年未満 | 50% |
7年未満 | 40% |
8年未満 | 30% |
9年未満 | 20% |
10年未満 | 10% |
10年以上 | 適用不可 |
計算式の概要(実務向け)
(出典:国税庁)リンク 国税庁 相次相続控除
第4章|具体的に活用できるケースとは?
以下のような状況では、相次相続控除の適用を検討しましょう。
配偶者の死亡後、数年以内に子が相続する場合
兄弟姉妹間で短期間に続けて相続が発生した場合
遺産分割が未了だが法定相続分で仮申告する場合
第5章|控除を受けるための手続きと必要書類
申告期限は相続開始から10ヶ月以内です。その際、以下の書類を揃える必要があります。
相続税申告書第7表(控除額の計算書)
一次相続の相続税申告書控え(第1表、第11表、第15表など)
過去に申告を忘れていた場合
5年以内であれば「更正の請求」が可能です
第6章|控除を適用する際の注意点
控除額は「法定相続人の取得割合」で自動的に按分され、任意での分配は不可
遺言による遺贈者や友人は適用対象外
控除額は経過年数に応じて確実に減少する
まとめ|10年以内の連続した相続には専門家の確認を
相次相続控除は、短期間に続いた相続における“過重な課税”を軽減するための制度です。しかし、適用には複雑な条件や計算が伴います。相続が重なっているご家庭では、必ず専門家にご相談ください。
「うちも相次相続控除が使えるかも?」と思ったら、富士市・富士宮市で相続税を専門に扱う税理士に、ぜひ一度ご相談ください。