こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。
今回は、「遺言とは何か」「なぜ今、必要とされているのか」「どんな種類があるのか」について、富士市・富士宮市の皆様に向けて、わかりやすくご説明いたします。
目次
第1章|遺言とは何か?
遺言とは、自分が亡くなった後に財産をどのように分けてほしいかを明示する、法的な意思表示です。相続に関する自分の希望や想いを、正式な文書として残しておくことで、家族間のトラブルを防ぐとともに、自身の意志を実現することができます。
遺言には、単なる財産の分け方だけでなく、家族に対するメッセージや感謝の気持ちを込めることも可能です。まさに「想いをかたちにする」ための手段といえるでしょう。
第2章|増加する相続トラブルの現実
「相続トラブルはお金持ちの話」と思われがちですが、実際にはそうではありません。家庭裁判所での遺産分割調停の件数は年間1万件以上あり、その多くが遺産額5,000万円以下の家庭において発生しています。
特に、富士市・富士宮市のように親世代が不動産(持ち家や土地)を所有している地域では、現金以外の資産が中心となるため、相続時の分割方法をめぐって争いが生じやすくなります。
第3章|税理士が語る「遺言でできること」
1.財産の分配を明確に指定できる
たとえば「長男に不動産、次男に預金を渡す」など、具体的な分配内容を記載することで、誤解や対立を未然に防ぐことができます。
2.法定相続人以外にも財産を渡せる
遺言を用いれば、たとえば介護をしてくれた親族、内縁関係の相手、長年お世話になった知人など、法定相続人ではない方に対しても財産を贈与(遺贈)できます。
第4章|遺言の種類と特徴:富士市・富士宮での活用法
種類 | 特徴 | 地域での活用アドバイス |
---|---|---|
自筆証書遺言 | 本人が自筆で作成。費用がかからず手軽だが、 法的要件に注意が必要。 | 富士市の法務局で遺言書保管制度を活用することで、 偽造・紛失のリスクを軽減できる。 |
公正証書遺言 | 公証人が作成し、公証役場で保管。 法的安全性が高く、後の手続きも円滑。 | 富士市・富士宮市の公証役場や税理士と連携し、 確実な遺言書を作成するのがおすすめ。 |
秘密証書遺言 | 本文は秘密だが、遺言の存在を公証人が証明。 作成の自由度は高いが、実務では少数派。 | プライバシーを重視したい方に適するが、 法的リスクの説明を受けて慎重に判断を。 |
※おすすめは「公正証書遺言」です。内容の正確性と保管体制が整っており、相続時のトラブル予防にも効果的です。
第5章|遺言が特に必要なケースとは?
以下のような場合には、遺言の作成を強くおすすめします:
子どもがいない夫婦(配偶者と兄弟姉妹が相続人になる)
再婚家庭(前配偶者との子どもも相続人になる)
内縁関係や同性パートナーに財産を遺したい
特定の子に家業や不動産を継がせたい
自宅や事業用不動産を所有している高齢者
これらのケースでは、遺言がないと法定相続に従ってしまい、意図しない分配や予期せぬトラブルが生じやすくなります。
第6章|注意点:遺留分への配慮も忘れずに
遺言は自由に作成できるとはいえ、配偶者・子など一定の法定相続人には「遺留分」という最低限の取り分が法律で保障されています。
たとえば「全財産を長男に」と書いても、他の相続人が遺留分侵害額請求をすれば、一部を取り戻される可能性があります。そのため、遺言を作成する際は、遺留分を有する人を把握し、配慮することが大切です。
第7章|まとめ:遺言は「家族への最後の贈り物」
「うちは仲がいいから大丈夫」「財産もそれほどないから問題ない」と思っていても、相続が発生すれば、感情的な行き違いや法的な争いが生じる可能性はあります。
遺言があることで、そのような事態を防ぐことができ、家族の絆を守ることにもつながります。元気なうちに、「想いをかたちにする」遺言を残すことで、大切な人たちへの安心と感謝を届けましょう。