相続税申告

22 5月 2025

【相続税における家庭用財産の評価】電話加入権の取扱いも含めて

目次 1 家庭用財産とは?相続税の対象になる? 2 家庭用財産の評価単位と方法 3 種類別に見る家庭用財産の評価ポイント 4 電話加入権の取扱いはどう変わった? 5 申告時の注意点とリスク 1 家庭用財産とは?相続税の対象になる? こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 家庭用財産とは、家具や家電、衣類、自動車、貴金属、書画骨董、そして電話加入権などの「動産全般」を指します。これらは被相続人の所有する財産として、相続税の対象に含まれます。 2 家庭用財産の評価単位と方法 家庭用財産は原則として「一般動産」として個別に評価されますが、実務上の負担を考慮して、1点あたり5万円以下の動産については「家財一式」として一括評価することが認められています。 評価方法の原則は、売買実例価額、精通者意見価格、類似財産の実例価額などを参考にします。評価が困難な場合は、未償却残高による評価も可能です。 家財一式の評価額の相場…

21 5月 2025

小規模宅地等の特例とは?土地を最大80%減額できる制度

目次 1 小規模宅地等の特例とは? 2 特例の対象となる4種類の宅地 3 各種類の詳細な要件と注意点 4 宅地が複数ある場合の取扱い 5 手続きと必要書類 6 まとめ 相続が発生し、土地を相続することになった場合、相続税の負担が大きな課題となることがあります。「住む家を失ってしまう」「事業を継続できなくなる」といった事態を防ぐため、「小規模宅地等の特例」という制度が設けられています。この特例を適用することで、相続した宅地等の相続税評価額を大幅に減額できる可能性があります。 今回は、この節税制度である「小規模宅地等の特例」について解説します。 1 小規模宅地等の特例とは? こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 小規模宅地等の特例とは、個人が相続や遺贈によって取得した財産のうち、被相続人や生計を共にしていた被相続人の親族(「被相続人等」といいます)の事業用または居住用に使われていた宅地等(土地または土地の上に存する権利)について、一定の面積まで相続税の課税価格に算入すべき価額から減額できるという制度です。 この制度の目的は、相続人が住み慣れた自宅や、先祖代々引き継いだ事業に利用している土地を、相続税を支払うために売却せざるを得なくなるという事態を防ぐこと、つまり、相続人の生活や事業の基盤を守ることにあります。…

21 5月 2025

相続発生時の固定資産税はどうなる?納税義務や手続き

目次 1 固定資産税とは?基本的な仕組み 2 相続発生前後の納税義務者 3 相続発生時期と納税額への影響 4 未払い固定資産税の取り扱いと債務控除 5 必要な相続手続きと届出一覧 まとめ 1 固定資産税とは?基本的な仕組み こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 固定資産税とは、土地・家屋・償却資産といった固定資産に対して課される地方税です。税額は、毎年1月1日時点の所有者(賦課期日現在)に対して、市町村が評価した課税標準額に税率(標準税率1.4%)を乗じて計算されます。評価額は3年ごとに見直され、納税通知書は原則として毎年4月〜6月に送付されます。 2 相続発生前後の納税義務者 1月1日時点で被相続人が固定資産を所有していた場合、その年度の固定資産税は被相続人に課されます。ただし、被相続人がその後亡くなった場合、その税金は相続人に引き継がれます。 相続人がまだ確定していない場合…

21 5月 2025

故人の預金の使い込みに注意!「不当利得返還請求」と税金

目次 1 相続発生後に発覚する「預金の使い込み」 2 不当利得返還請求とは? 3 どのような行為が対象となるのか 4 証拠の重要性と集め方 5 不当利得返還請求の時効に注意 6 請求の方法は?裁判だけではない 7 税務上の取り扱い 1 相続発生後に発覚する「預金の使い込み」 こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 相続が発生した後、被相続人(亡くなった方)の預貯金が一部の相続人によって勝手に引き出されていたというケース。これは、他の相続人にとって法定相続分を侵害する重大な問題です。 2…

21 5月 2025

【相続税】「損害保険」の取扱いと税金の注意点

目次 1 損害保険は相続財産になるのか? 2 名義変更 or 解約?相続手続きの流れ 3 損害保険金に税金はかかる? 4 名義変更して継続した場合のリスク 1 損害保険は相続財産になるのか? こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 損害保険が相続財産として計上されるかどうかは、契約の内容と保険の種類によって異なります。 ■積立型の損害保険(例:JA共済の建物更生共済など)は、解約返戻金相当額をもって相続財産に計上されます。 ■掛け捨て型の損害保険は原則として相続財産に含まれませんが、前払保険料や戻し金がある場合は、その金額を相続財産として計上する必要があります。 相続財産に該当するかどうかは、「相続開始時点で保険契約者に返還されるべき経済的価値があるか」が基準となります。 2 名義変更…

21 5月 2025

小規模企業共済制度を活用した相続対策のポイント

目次 1 小規模企業共済制度とは? 2 共済金と相続税の関係 3 制度活用時の注意点 4 制度の活用にあたって まとめ 1 小規模企業共済制度とは? こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 小規模企業共済制度は、中小企業の経営者や役員、個人事業主の方が、将来の退職や廃業に備えて資金を積み立てる制度です。掛金は全額が所得控除の対象となり、毎年の所得税・住民税の節税効果が期待できます。 本制度は、老後資金の確保という本来の目的だけでなく、加入者が亡くなった場合には相続税対策としても活用することが可能です。 2 共済金と相続税の関係 小規模企業共済の共済金が死亡退職金として扱われ、非課税枠の適用を受けるためには、以下の事業継続要件と3年以内支給確定要件を満たす必要があります。 死亡退職金として認められる要件 事業継続要件:共済契約者が死亡する直前まで、個人事業主または会社等の役員として事業に従事していること…