1 損害保険は相続財産になるのか?
こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。
損害保険が相続財産として計上されるかどうかは、契約の内容と保険の種類によって異なります。
■積立型の損害保険(例:JA共済の建物更生共済など)は、解約返戻金相当額をもって相続財産に計上されます。
■掛け捨て型の損害保険は原則として相続財産に含まれませんが、前払保険料や戻し金がある場合は、その金額を相続財産として計上する必要があります。
相続財産に該当するかどうかは、「相続開始時点で保険契約者に返還されるべき経済的価値があるか」が基準となります。
2 名義変更 or 解約?相続手続きの流れ
故人が加入していた損害保険は、相続時に名義変更するか解約する必要があります。
担当代理店や保険会社に連絡することで、具体的な手続きの指示を受けることができます。名義変更後も契約が継続される場合には、評価漏れに注意が必要です。
3 損害保険金に税金はかかる?
所得税が非課税となる損害保険金の根拠
「心身又は資産に加えられた損害について支払を受ける損害賠償金、見舞金等」は非課税とする。
これにより、以下の保険金・共済金は原則として非課税所得になります:
■事故による治療費、慰謝料、休業補償
■火災・盗難・地震・自動車事故等による物損補填
■社会通念上相当な見舞金
相続税が課税される損害保険金の根拠
「相続又は遺贈によって取得した財産は相続税の課税対象とする。」
損害保険契約の解約返戻金相当額や死亡共済金は、以下の理由で「相続財産」や「みなし相続財産」として相続税の課税対象となることがあります:
■被相続人が契約者であり、返戻金がある(積立型の火災保険など)
■共済契約の死亡給付金(例:建物更生共済の死亡共済金)
4 名義変更して継続した場合のリスク
損害保険を解約せずに相続人名義で継続するケースもあります。この場合でも、相続税評価の対象です。
■評価額は「相続発生時点での解約返戻金相当額」
■現金の移動がないために申告漏れしやすい
たとえば火災保険を継続して使い続ける場合、実際には保険金を受け取っていなくても、経済的価値の移転があったと見なされ、相続財産に含める必要があります。