目次 1 横領損失と損害賠償請求権は同時に計上されるのが原則 2 損害賠償を途中で免除した場合のリスク 3 過年度にわたる使い込みが発覚した場合の対応 まとめ|税務上も刑事上も重大なリスク。未然防止と早期対応を こんにちは。富士市・富士宮市の税理士、飯野明宏です。会社の資金が、役員によって私的に使い込まれる(横領・不正経費使用など)という事態は、経営に重大な損害を及ぼすだけでなく、税務上の処理にも複雑な対応を求められます。 今回は、法人税における所得計算への影響を中心に、役員の使い込みが発覚した場合の税務上の取り扱いについて解説します。 リンク 税大ジャーナル 横領等の不法行為と帰属を巡る一考察 1 横領損失と損害賠償請求権は同時に計上されるのが原則 役員による資金の不正使用が判明した場合、会社にとっては「横領損失」が発生したとされます。税務上は、原則として横領が発覚した時点で損失を損金計上します。 同時に、会社は加害者である役員に対して損害賠償請求権を取得し、損害賠償相当額を益金に計上します。これを「同時両建説」と呼び、会計処理の例は以下のとおりです。 (借方)横領損失 10,000千円 / (貸方)売掛金 10,000千円 (借方)未収入金 10,000千円 / (貸方)損害賠償金収入 10,000千円 この処理により、損金と益金が同額となるため、所得金額には影響しません。 従業員の横領について >…