こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。
ふるさと納税は、寄付によって地域を応援しながら特産品も受け取れ、税金も控除される制度として広く知られています。テレビCMやインターネット広告でも頻繁に紹介され、その人気は年々高まっています。
しかし、制度を利用するうえで知っておくべき“デメリット”や注意点も存在します。
本記事では、税理士の立場からふるさと納税の注意点をわかりやすく整理し、制度活用前の判断材料としてご紹介します。
第1章|ふるさと納税の仕組みをおさらい
ふるさと納税とは、居住地以外の地方自治体に「寄付」することで、寄付額の一部が税金から控除される制度です。寄付した自治体からは、お礼として地域の特産品などの返礼品がもらえることも魅力の一つです。
第2章|ふるさと納税のデメリット・注意点
① 出費が先に発生する
ふるさと納税は税金が控除され、メリットを感じるのは翌年以降です。つまり、寄付をしたその時点では実費で支払いが発生します。所得税の控除は寄付した年の3月に確定申告を通じて、住民税の控除は翌年度6月以降に反映されます。
🔍 キャッシュフローに余裕がない時期は注意が必要です。
② 手続きに手間がかかることがある
「ワンストップ特例制度」は年間5自治体までが対象。
医療費控除や株式売却がある人は、確定申告が必要となります。
寄付ごとの「受領証明書」の保管・整理も必要。
🔧 特に複数の自治体に寄付した場合は、自己管理が重要です。
③ 必ず2,000円の自己負担が発生する
税金控除の対象となるのは、寄付額-2,000円です。たとえ上限内の寄付であっても、2,000円分は必ず自己負担になります。
✅ お得な制度ですが、完全に“無料”で返礼品がもらえるわけではありません。
④ 所得が低いと控除効果が得られない
ふるさと納税は「納める税金の中で控除される」仕組みです。所得が少ない人や、もともと税金をほとんど納めていない人は、控除の恩恵が受けられない場合があります。
💡 専業主婦や学生など、納税額が少ない方は注意が必要です。
⑤ 減税ではなく、あくまで“控除”
ふるさと納税は「税金が返ってくる」「得する」といった印象があるかもしれませんが、税金そのものが軽くなるわけではありません。実際には、支払うべき税金の一部が寄付に充てられるという仕組みです。
⑥ 控除額に上限がある
寄付額のすべてが税額控除されるわけではありません。年収や家族構成などにより控除上限額が決まっており、超えた分は自己負担となります。
📊 寄付前に【控除額シミュレーター】を使って、上限額を事前に確認することが重要です。
⑦ 返礼品が一時所得として課税対象になることも
返礼品は原則として「一時所得」に分類されます。ただし、年間50万円までは特別控除があり、通常は課税されることはありません。
ただし、保険金の満期受取や解約返戻金など、他の一時所得と合算して50万円を超える場合は注意が必要です。
⑧ 寄付先選びに迷いやすい
現在、ふるさと納税の対象自治体は1,700以上。返礼品の種類も非常に多く、どこに寄付するか迷うケースが多くなります。
地域性や返礼品の質・生産者の声など、寄付の目的や応援したい自治体を明確にすることが大切です。
第3章|制度の特性を理解し、上手に使いこなそう
ふるさと納税は、制度の仕組みと注意点を正しく理解したうえで利用すれば、非常にお得な制度です。
ただし、上限額の把握、控除対象者の確認、書類管理など、利用者の責任で行うべき管理項目が多いのも事実です。