📚 目次
第1章|消費税の課税事業者と免税事業者
こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。
消費税には、納税義務を負う「課税事業者」と、免税が認められる「免税事業者」があります。以下の条件をすべて満たすと、免税事業者として消費税の納税義務が免除されます。
資本金1,000万円未満で設立された法人であること
基準期間(前々事業年度)における課税売上高が1,000万円以下であること
特定期間(前事業年度の前半6か月)における課税売上高または給与等支払額が1,000万円以下であること
第2章|なぜ設立1年目は免税になるのか
設立初年度には、前々事業年度にあたる「基準期間」が存在しないため、この点を理由に原則として免税事業者となります。
これにより、1年目については売上規模にかかわらず消費税の納税が免除されるケースが一般的です。
第3章|設立2年目に影響する「特定期間」の考え方
設立2年目の消費税の納税義務は、設立1年目の「特定期間」(最初の6か月間)によって判断されます。
この期間において、
- 課税売上高が1,000万円超
- または給与等の支払額が1,000万円超
となった場合、設立2年目から課税事業者となる可能性が生じます。
第4章|短期事業年度の特例とは?「7ヶ月」の意味
設立初年度の事業年度が7ヶ月以下であれば、その年度は特定期間として扱われません(短期事業年度の特例)。
この制度を活用することで、2年目の消費税の納税義務を回避でき、結果として設立から「最長1年7ヶ月間」免税事業者として運営することが可能になります。
第5章|12ヶ月決算と7ヶ月決算の比較
決算期間 | 設立1年目 | 設立2年目 |
---|---|---|
12ヶ月 | 免税 (基準期間なし) | 課税の可能性あり (特定期間が発生) |
7ヶ月 | 免税 (基準期間・特定期間ともに該当なし) | 免税 (特定期間が6ヶ月未満で不成立) |
12ヶ月で設立した場合、2年目から課税義務が発生するリスクがあります。一方、7ヶ月決算を選択すれば、特定期間の判定自体が行われないため、2年目も免税事業者となります。
第6章|注意点と実務対応
決算期は登記時に設定する必要があるため、会社設立前に方針を固めておく
設立後に変更する場合、定款変更と税務署への届出が必要となる