【法人成り・会社設立1年目】なぜ決算期を7ヶ月にする?

2025年5月23日
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2025年5月23日 管理人

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第1章|消費税の課税事業者と免税事業者

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。

消費税には、納税義務を負う「課税事業者」と、免税が認められる「免税事業者」があります。以下の条件をすべて満たすと、免税事業者として消費税の納税義務が免除されます。

  • 資本金1,000万円未満で設立された法人であること

  • 基準期間(前々事業年度)における課税売上高が1,000万円以下であること

  • 特定期間(前事業年度の前半6か月)における課税売上高または給与等支払額が1,000万円以下であること

第2章|なぜ設立1年目は免税になるのか

設立初年度には、前々事業年度にあたる「基準期間」が存在しないため、この点を理由に原則として免税事業者となります。

これにより、1年目については売上規模にかかわらず消費税の納税が免除されるケースが一般的です。

第3章|設立2年目に影響する「特定期間」の考え方

設立2年目の消費税の納税義務は、設立1年目の「特定期間」(最初の6か月間)によって判断されます。

この期間において、

  • 課税売上高が1,000万円超
  • または給与等の支払額が1,000万円超
    となった場合、設立2年目から課税事業者となる可能性が生じます。

第4章|短期事業年度の特例とは?「7ヶ月」の意味

設立初年度の事業年度が7ヶ月以下であれば、その年度は特定期間として扱われません(短期事業年度の特例)。

この制度を活用することで、2年目の消費税の納税義務を回避でき、結果として設立から「最長1年7ヶ月間」免税事業者として運営することが可能になります。

第5章|12ヶ月決算と7ヶ月決算の比較

法人設立1年目・2年目における消費税の免税判定
決算期間設立1年目設立2年目
12ヶ月免税
(基準期間なし)
課税の可能性あり
(特定期間が発生)
7ヶ月免税
(基準期間・特定期間ともに該当なし)
免税
(特定期間が6ヶ月未満で不成立)

12ヶ月で設立した場合、2年目から課税義務が発生するリスクがあります。一方、7ヶ月決算を選択すれば、特定期間の判定自体が行われないため、2年目も免税事業者となります。

第6章|注意点と実務対応

  • 決算期は登記時に設定する必要があるため、会社設立前に方針を固めておく

  • 設立後に変更する場合、定款変更と税務署への届出が必要となる

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飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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