📚 目次
はじめに|本要領の目的と学び方
「中小企業の会計に関する基本要領」(本要領)は、中小企業が計算書類等を作成する際に参照するための会計処理や注記等を示すものです。本要領を利用するにあたっては、単に個別の処理方法を知るだけでなく、その根底にある基本的な考え方を理解することが重要です。
今回は、本要領の「総論」で示されている、会計の基本的な考え方や利用上の留意事項をご紹介します。
第1章|適切な記帳の重要性
本要領を利用するにあたっては、適切な記帳が前提とされています。経営者が自社の経営状況を適切に把握するためにも、記帳は非常に重要です。
記帳はすべての取引について、次の原則に従って行う必要があります。
正規の簿記の原則に則ること。
適時に、整然かつ明瞭に、正確かつ網羅的に会計帳簿を作成すること。
第2章|企業会計原則との関係と留意点
本要領は、企業会計原則で示されている一般的な会計の考え方にも留意する必要があるとして、次の6つの原則を挙げています。
真実性の原則:企業会計は、企業の財政状態および経営成績について真実な報告を提供するものでなければなりません。
資本取引と損益取引の区分の原則:両者を明瞭に区別しなければなりません。
明瞭性の原則:財務諸表を通じて必要な会計事実を明確に示し、利害関係者に誤解を与えないようにする必要があります。
保守主義の原則:財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合は、健全な会計処理で備えることが求められます。
単一性の原則:たとえ異なる目的で複数の財務諸表を作成する場合でも、信頼できる会計記録に基づいて一貫性を保つことが必要です。
重要性の原則:重要性が乏しいものについては、簡便な方法で処理することも許容されます。
これらの原則は、会計情報の信頼性と有用性を支える基本的な考え方であり、すべての処理の根底にあるべきものです。
第3章|継続性の原則:処理方法は一貫して
本要領では、複数の会計処理方法が認められている場合、企業の実態に応じて適切な方法を選択して適用することが求められています。
選択した会計処理方法は、毎期継続して同じ方法を適用する必要があり、これを変更する際には合理的な理由が必要です。さらに、変更した旨とその理由、影響内容を注記する義務があります。
この一連の対応は、「継続性の原則」として特に重視されています。
第4章|本要領で扱われていない処理への対応
本要領で明示されていない会計処理が必要となる場合は、次のような基準から適切な処理方法を選択して適用します。
企業会計基準
中小指針
法人税法で定める処理のうち会計上適当と認められる処理
その他一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行
企業の実態を踏まえたうえで、最も信頼性が高く、妥当性のある会計処理方法を選択することが求められます。
まとめ|本要領を活用するための基本姿勢
中小会計要領は、簡便な会計処理を提供するガイドラインですが、その利用にあたっては、適切な記帳が前提であり、また真実性の原則をはじめとする基本的な会計原則を遵守する姿勢が求められます。
さらに、選択した会計処理方法を継続して適用することも重要です。
これらの基本的な考え方を理解することで、本要領に基づいた会計処理をより正確かつ適切に実施することができるでしょう。