こんにちは。富士市・富士宮市の税理士、飯野明宏です。
インボイス制度(適格請求書等保存方式)が令和5年10月から始まり、多くの個人事業主や法人が「適格請求書発行事業者」として登録を済ませました。
この制度の下では、「登録番号」が非常に重要な役割を果たします。
特に、適格請求書を発行する際には、登録番号の正確な記載が仕入税額控除の適用要件になるため、記載ミスは取引先にも迷惑がかかるおそれがあります。
そこで今回は、ご自身や取引先の登録番号・登録状況を確認できる「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」について、実務での活用ポイントを解説します。
📚 目次
第1章|登録番号ってそんなに重要なの?
インボイス制度における「適格請求書」には、一定の記載事項が義務付けられています。
その中でも特に重要なのが、次の2点:
① 氏名または名称
② 登録番号(13桁/T+数字)
この登録番号がない、または間違っている請求書は、形式上インボイス(適格請求書)とは認められません。
つまり、取引相手(課税事業者)が仕入税額控除を行うためには、正しい登録番号が記載された請求書が必要不可欠なのです。
第2章|国税庁適格請求書発行事業者公表サイトとは?
📌 公式で登録事業者を検索・確認できる公的サイト
「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」とは、
インボイス制度に基づき登録された事業者の情報を誰でも検索・閲覧できる国税庁の公式データベースです。
【アクセス方法】
→ 国税庁インボイス制度特設サイト
→ 「適格請求書発行事業者公表サイト」へ
公表される主な情報(法定公表事項)
氏名または名称(個人の場合は通称・旧姓の併記も可能)
登録番号(T+13桁のコード)
法人の場合:本店または主たる事務所の所在地
登録年月日
登録取消年月日・登録失効年月日(該当がある場合)
第3章|公表サイトの使い方と活用シーン
1|自分の登録番号を確認したいとき
登録申請後、登録通知書が郵送で届きますが、
通知がまだ届いていない…
紛失してしまった…
請求書に登録番号を記載する前に確認したい…
そんなとき、この公表サイトで自分の「氏名または屋号」で検索すれば、登録番号や登録日などを即座に確認できます。
2|取引先の登録状況を確認したいとき
仕入税額控除を適用するには、取引相手が適格請求書発行事業者である必要があります。
請求書に登録番号が記載されていても、
登録番号が本当に有効か?
登録が失効していないか?
などの確認が必要な場合があります。
このとき、取引先の会社名や個人名から公表サイトで検索することで、その相手がインボイス事業者かどうかがはっきりします。
国税庁の資料でも「必要に応じて、公表サイトで確認するように」とされています。
第4章|注意点:個人事業者の氏名の公表について
個人事業者の登録名は、原則として「住民票に記載されている氏名」が公表されます。
ただし、
外国人の通称名
旧姓(旧氏)
などを使用したい場合は、「公表(変更)申出書」の提出が必要です。
住民票への併記に制限がある場合の対応方法も、国税庁資料に詳しく説明されています。
第5章|登録通知が届く前の取引はどうする?
登録申請後、登録番号が公表されるまでにタイムラグがあります。
この間に取引先から請求書の発行を求められた場合、以下の対応が認められています:
後日、登録番号を記載した適格請求書を再交付する
後日、番号だけを別途通知し、元の請求書と関連付ける(メール添付など)
この対応でも問題ありませんが、登録日以前の取引に関しては適格請求書として認められないため、日付には注意が必要です。
まとめ|公表サイトを賢く使って、正しいインボイス運用を
インボイス制度の適用にあたっては、登録番号の記載ミスや確認不足が思わぬトラブルにつながります。
✅ 公表サイトを活用すれば:
ご自身の登録番号・登録日がすぐにわかる
取引先の登録状況の確認ができる
インボイス制度への正確な対応につながる
インボイス制度に対応するには、正確な情報管理が欠かせません。
ぜひ「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」を日常業務に活用して、スムーズな取引と正しい申告につなげていきましょう。