法人税における青色申告制度とは?|承認手続・特典・注意点
第1章|青色申告制度とは何か?
法人税における「青色申告制度」は、帳簿組織を整え、正確に取引を記録している法人に対して、税務上の優遇措置を認める制度です。これは、適正な申告と納税を促進するために設けられた制度であり、法人が自主的に税務申告を行う仕組み(申告納税制度)を支える重要な制度の一つです。
この制度を利用すると、欠損金の繰越控除や、特別償却など、多くのメリットがあります。
第2章|青色申告の承認を受けるには?【提出要件と期限】
法人が青色申告書を提出するには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
2-1.帳簿書類の整備
総勘定元帳、仕訳帳などを整然と明瞭に作成・保存
決算書(貸借対照表・損益計算書)、棚卸表、取引書類(契約書・請求書など)の保存(原則7年間、欠損金関係は10年間)
2-2.所轄税務署への「承認申請書」の提出
申請書は、青色申告をしたい事業年度開始の日の前日までに提出
新設法人の場合は、設立の日以後3か月以内か、最初の事業年度終了の日の前日、いずれか早い日までに提出
第3章|みなし承認・却下・取消の仕組み
3-1.みなし承認
申請後、税務署から承認も却下もされなかった場合、事業年度終了日(または開始後6か月を経過した日)に承認があったものとみなされます。
3-2.却下される場合
税務署長は以下のような場合、青色申告の承認を却下することができます。
帳簿書類が整備されていない
虚偽の記帳・隠蔽がある
取消や取止めから1年以内に再申請された
3-3.承認の取消し
一度承認された法人であっても、以下のような場合には承認が取り消され、遡って青色申告が「なかったもの」とされます。
帳簿書類の保存不備
税務署長の指導に従わない
明白な仮装や隠蔽行為が認められる
第4章|青色申告法人だけの特典とは?
青色申告をしている法人には、税務上のさまざまなメリット(特典)が用意されています。
特典内容 | 根拠条文 | 説明 |
---|---|---|
欠損金の10年間繰越控除 | 法法57 | 過年度の赤字を翌期以降の黒字と相殺できる |
欠損金の繰戻し還付 | 法法80 | 前期に納めた法人税の還付を受けられる |
更生通知書への理由付記 | 法法130 | 税務署が更生をするハードルが上がる |
推計課税の禁止 | 法法131 | 推計による更正が制限される |
特別償却や割増償却 | 措法42条等 | 一定の資産について償却額を増やせるなど |
○中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入(措法67の5)
まとめ|正確な帳簿と早めの手続きが青色申告のカギ
青色申告は、適正な帳簿記帳と正確な申告が前提となる制度です。制度を活用するためには:
早めに承認申請書を提出する
帳簿を日々整然と記録・保存する
虚偽記載や記帳漏れを起こさない
特に中小企業にとっては、赤字の繰越等は経営の下支えにもなり得る制度です。