法人税とは?基本の仕組みと申告手続
目次
はじめに|法人税を学ぶ意義とは?
法人税は、会社の「もうけ」に課税される税金です。企業活動を行ううえで、会計処理とともに避けて通れないのが税務処理。正しい知識が必要です。
この記事では、法人税法の構成や法人の分類、納税地、確定申告など、基本的なポイントをまとめていきます。
第1章|法人税の基本構造
1-1. 法人税の計算式と概要
法人税は、原則として「課税所得 × 法人税率」によって計算されます。この「課税所得」は、会計上の利益をベースに税法上のルールで調整された金額です。
たとえば:
会計上の利益:1,000万円
調整後の課税所得:900万円
法人税率:23.2%
→ 法人税額:208万8,000円
法人税法は、企業会計に準拠しつつも独自のルール(租税調整)を加えて計算される点が特徴です。
1-2. 所得税法との違い
法人税法と所得税法には次のような違いがあります。
区分 | 所得税法 | 法人税法 |
---|---|---|
所得の計算単位 | 人 | 法人 |
所得の種類 | 10分類に分けて課税 | 全体で一括計算 |
期間 | 暦年(1/1〜12/31) | 自由に定める事業年度 |
税率 | 累進税率 | 原則として単一税率(23.2%) |
第2章|納税義務者の種類と違い
法人税法における法人は、大きく分けて以下の5種類に分類され、それぞれ課税の範囲が異なります。
区分 | 例 | 課税範囲 |
---|---|---|
公共法人 | 地方自治体、NHK | 課税されない |
公益法人等 | 学校法人、社福法人 | 収益事業のみ課税 |
協同組合等 | JA、信用金庫 | 原則全所得に課税 |
普通法人 | 株式会社、医療法人 | 原則全所得に課税 |
人格のない社団等 | 同窓会、PTA | 条件付きで課税対象 |
第3章|課税される所得とは?
法人税の課税対象は以下の2つです。
各事業年度の所得
一部法人における退職年金等積立金
また、清算時も「清算所得」ではなく「各事業年度の所得」が課税対象となります(平成22年度改正以降)。
第4章|事業年度とは?
事業年度とは、法人が決算を行うために定めた期間を指します。これは法人税計算の単位にもなります。
原則:定款に定めた会計期間
特例:1年超の場合は1年ごとに区切る
解散:解散日まで、解散日翌日からの清算期間は「みなし事業年度」として扱う
第5章|納税地の基本と指定
法人の納税地は、原則として「本店または主たる事務所の所在地」です。ただし、以下のようなケースでは納税地の「指定」が行われることもあります。
名目上の本店が実態と異なる場合
所轄税務署による管理が困難な場合
このような場合、国税局長または国税庁長官が納税地を指定します。
第6章|確定申告の基本手続き
確定申告は、法人が自ら法人税額を計算し、税務署に申告・納付する制度です。
6-1. 提出期限と罰則
提出期限:原則として事業年度終了から2ヶ月以内
期限内に提出しない場合、無申告加算税や延滞税の対象になります
6-2. 提出書類
以下の書類を添付します。
確定申告書
決算報告書(貸借対照表・損益計算書など)
法人事業概況説明書
勘定科目内訳明細書
まとめ|まずは制度の全体像をつかもう
法人税は、単なる「税金の計算」ではなく、企業経営と一体化して考えるべき重要なテーマです。今回紹介した内容をもとに、まずは以下の3点を押さえておきましょう。
法人の種類により課税範囲が異なる
事業年度と納税地のルールがある
確定申告には期限と添付書類がある