法人税とは?基本の仕組みと申告手続

2025年5月10日
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2025年5月10日 管理人

法人税とは?基本の仕組みと申告手続

はじめに|法人税を学ぶ意義とは?

法人税は、会社の「もうけ」に課税される税金です。企業活動を行ううえで、会計処理とともに避けて通れないのが税務処理。正しい知識が必要です。

この記事では、法人税法の構成や法人の分類、納税地、確定申告など、基本的なポイントをまとめていきます。


第1章|法人税の基本構造

1-1. 法人税の計算式と概要

法人税は、原則として「課税所得 × 法人税率」によって計算されます。この「課税所得」は、会計上の利益をベースに税法上のルールで調整された金額です。

たとえば:

  • 会計上の利益:1,000万円

  • 調整後の課税所得:900万円

  • 法人税率:23.2%

  • → 法人税額:208万8,000円

法人税法は、企業会計に準拠しつつも独自のルール(租税調整)を加えて計算される点が特徴です。


1-2. 所得税法との違い

法人税法と所得税法には次のような違いがあります。

区分所得税法法人税法
所得の計算単位法人
所得の種類10分類に分けて課税全体で一括計算
期間暦年(1/1〜12/31)自由に定める事業年度
税率累進税率原則として単一税率(23.2%)

第2章|納税義務者の種類と違い

法人税法における法人は、大きく分けて以下の5種類に分類され、それぞれ課税の範囲が異なります。

区分課税範囲
公共法人地方自治体、NHK課税されない
公益法人等学校法人、社福法人収益事業のみ課税
協同組合等JA、信用金庫原則全所得に課税
普通法人株式会社、医療法人原則全所得に課税
人格のない社団等同窓会、PTA条件付きで課税対象

第3章|課税される所得とは?

法人税の課税対象は以下の2つです。

  • 各事業年度の所得

  • 一部法人における退職年金等積立金

また、清算時も「清算所得」ではなく「各事業年度の所得」が課税対象となります(平成22年度改正以降)。


第4章|事業年度とは?

事業年度とは、法人が決算を行うために定めた期間を指します。これは法人税計算の単位にもなります。

  • 原則:定款に定めた会計期間

  • 特例:1年超の場合は1年ごとに区切る

  • 解散:解散日まで、解散日翌日からの清算期間は「みなし事業年度」として扱う


第5章|納税地の基本と指定

法人の納税地は、原則として「本店または主たる事務所の所在地」です。ただし、以下のようなケースでは納税地の「指定」が行われることもあります。

  • 名目上の本店が実態と異なる場合

  • 所轄税務署による管理が困難な場合

このような場合、国税局長または国税庁長官が納税地を指定します。


第6章|確定申告の基本手続き

確定申告は、法人が自ら法人税額を計算し、税務署に申告・納付する制度です。

6-1. 提出期限と罰則

  • 提出期限:原則として事業年度終了から2ヶ月以内

  • 期限内に提出しない場合、無申告加算税や延滞税の対象になります

6-2. 提出書類

以下の書類を添付します。

  • 確定申告書

  • 決算報告書(貸借対照表・損益計算書など)

  • 法人事業概況説明書

  • 勘定科目内訳明細書


まとめ|まずは制度の全体像をつかもう

法人税は、単なる「税金の計算」ではなく、企業経営と一体化して考えるべき重要なテーマです。今回紹介した内容をもとに、まずは以下の3点を押さえておきましょう。

  • 法人の種類により課税範囲が異なる

  • 事業年度と納税地のルールがある

  • 確定申告には期限と添付書類がある

 

 

 

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飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

 

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