私の事務所のキャッチコピーに「経営助言に強い」というものがあります。
このキャッチコピーを付けるとき、悩みました。
「私は本当に経営助言に強いのだろうか?」と思ったのです。
公認会計士試験の試験科目に経営学という科目があります。代表的な経営学の理論は、網羅的に学習しました。しかし、受験生時代の私には、全く実感のわかない学問でした。実際に経営に携わったことがないからです。
経営助言に自信を持つようになったのは、ここ数年です。事務所を経営しながら、組織や採用や資金やマーケティングに悩みながら、藁をもつかむ気持ちで、私の事務所に関係する経営学の定評がある本をたくさん読みました。基本的にバイブルとする本を数冊決めて、これらについては何回も読み返し、そして、そっくりそのまま実行しました。それでも悩む部分は、別の本をつまみ食いしました。勉強畑出身の私は、このようにして、やっとのこと事務所経営を行っています。
私がバイブルとする本は全て学者が書いた本です。経営者やコンサルタントが責任をもって執筆できるのは、関わったビジネスについてだけです。他方、学者の書いた本は、仮にその学者が経営の経験がない方だったとしても、あらゆるビジネスについて、客観的なデータに基づいて調査した結果を科学的に理論建てたものであるため、普遍性があります。その方の経験でも、個人的な考えでもありません。知らず知らずのうちに、私は、あらゆるビジネスについて経営助言をするためのベースとなる考え方を身に着けていました。
自分で事務所の経営について悩んだ後、別のビジネス(税理士業以外のビジネス)に関しても想像が働くようになりました。
別のビジネスに関する経営書を読んだとき、実感を持って読めるようになっていたのです。
別のビジネスに関する経験的な知識がない分、100%の実感は無理です。50%くらいの実感で、その会社の経営者になりきり、本を読んでいます。