社長や家族の結婚式費用を会社経費にできる?取引先を招待した場合

2025年5月27日
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2025年5月27日 管理人

こんにちは。富士市・富士宮市の税理士、飯野明宏です。
今回は、「社長やその家族の結婚式に取引先を招いた場合、その費用の一部を会社の交際費などとして処理できるのか?」というテーマについて、税務上の取扱いを解説します。


1 社長の結婚式に取引先が出席。費用は会社持ちにできる?

たとえば、社長の息子の結婚式を開催する際に、出席者の多くが取引先関係者だったとします。
このような場合に、結婚式や披露宴の費用を「個人的な支出」と「法人関係者への対応」とに按分して、一部を会社の費用(交際費など)として処理できないかと考える方もいるかもしれません。

結論から言うと、この費用を法人経費として処理することはできません。

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2 税務上の基本的な考え方:結婚は個人行為、費用も全額私費

結婚はあくまでも個人の私的行為であり、そのために要する費用(式場費用、披露宴の飲食、引き出物など)は、原則として全額が個人負担すべきものです。

たとえ出席者の大半が取引先であっても、それは「会社としての儀礼」ではなく、結婚する本人やその家族が主催する私的行事と位置付けられます。

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3 按分処理もNG。取引先対応であっても会社の支出は不可

中には、「会社関係者を多数招待しているから、法人負担分として按分できるのでは?」というご質問も想定されますが、これも認められません。

なぜなら、

  • ■式の主催者はあくまでも社長やその家族であり

  • ■出席者が取引先であるか否かは、法人の支出根拠とはならず

  • ■仮に法人が費用を負担すると、その分は社長への役員報酬(経済的利益の供与)として課税対象になる

ためです。


4 祝儀の取り扱い:全額個人の収入に

では、取引先などの出席者が持参する「祝儀」はどうなるかというと、これも全額が個人の収入とされます。
法人が招待主でない以上、祝儀を法人収入とすることはなく、またこれを理由に法人支出の正当性を補うこともできません。


5 まとめ:家族の慶事費用はすべて私費。法人支出は原則NG

社長やその家族の結婚に関する費用は、

  • ■どれほど多くの取引先が出席していても

  • ■どれほど会社と関係が深くても

会社の支出として処理することは認められず、すべて個人負担となります

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飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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