インボイス制度とは?令和5年10月スタートの「適格請求書等保存方式」

2025年5月15日
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2025年5月15日 管理人

こんにちは。富士市・富士宮市の税理士、飯野明宏です。

令和5年10月1日よりスタートした「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」は、消費税の仕入税額控除の実務に大きな影響を与える制度です。

当事務所でも、制度開始時にインボイス制度の基本的な解説をリリースいたしましたが、
令和7年4月に国税庁がインボイス制度に関する「Q&A(よくある質問)」を改訂したことを受け、改めて制度の基本概要を整理し直すことにいたしました。

本記事では、最新の国税庁Q&Aの内容も踏まえたインボイス制度の基本解説を、改めて分かりやすくお届けいたします。

1 インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは?

正式名称と導入の背景

インボイス制度の正式名称は「適格請求書等保存方式」。
複数税率(8%・10%)への対応と、消費税の仕入税額控除の適正化を目的に導入されました。

これにより、買手が消費税の控除を受けるには、従来の請求書ではなく「適格請求書」の保存が必須となったのです。

インボイスを見る社長


2 仕入税額控除の要件がこう変わった!

インボイス制度導入により、仕入税額控除を受けるための要件が以下のように変わりました。

必要な書類等の保存

  • ■適格請求書(インボイス)

  • ■適格簡易請求書

  • 上記の記載事項を含む電子データ

  • 相手先の確認を受けた仕入明細書や仕入計算書

  • 媒介・取次に関する特定書類

適格請求書に必要な記載項目

必須記載事項内容
登録番号発行者の登録番号(T+13桁)
税率区分税率ごとの消費税額等を区分して記載
書類発行者氏名または名称、取引年月日など

従来の請求書に比べて、より詳細な記載が求められるようになった点にご注意ください。


3 制度はいつから始まっているの?

インボイス制度は、令和5年10月1日から施行されました。

以下のように、制度の対象となるのはこの日以降の取引です。

  • 売手における課税資産の譲渡日が10月1日以後の取引から

  • 買手が控除を受けるには、その取引に関する「適格請求書」の保存が必要


4 適格請求書の交付が必要なケース・不要なケース

請求書の交付が【必要】となる場合

  • 売手が「適格請求書発行事業者」であり

  • 相手が課税事業者で、請求書の交付を求めた場合

このとき、発行義務があるため、適格請求書を交付しなければなりません。

【免除】されるケース(例)

以下のような取引では、適格請求書の交付義務がありません。

  • 3万円未満の公共交通機関(電車・バスなど)の利用

  • ■卸売市場での生鮮食料品販売

  • ■農協・漁協等による農林水産物の販売

  • 3万円未満の自動販売機での商品購入

  • ■郵便ポスト差出しの郵便サービス

  • ■1万円未満の返品・値引きなどの返還等

また、非課税取引・免税取引・不課税取引のみを行う事業者についても、インボイスの交付義務はありません。

仕入税額控除の例外について >


5 インボイス対応のチェックポイント

インボイス制度の導入に伴い、事業者が確認すべきことは次の通りです。

適格請求書発行事業者への登録は済んでいるか?

未登録のままでは、取引先が仕入税額控除を受けられず、ビジネス上の支障になる可能性があります。

請求書に必要事項を記載しているか?

従来の書式に比べて記載項目が増えているため、請求書フォーマットの見直しが必要です。

電子保存への対応はできているか?

電子インボイス(PDFやクラウド等)にも対応する体制が求められています。


まとめ インボイス制度は“実務対応”がカギ!

インボイス制度は、仕入税額控除の実務を根本から変える制度です。特に、記載内容のチェック・登録手続・社内対応体制の整備が必要です。

富士市・富士宮市の事業者の皆さま、制度開始から半年以上が経ちましたが、まだ不安を感じている方も多いかと思います。

私たち税理士事務所では、
インボイス登録手続き
請求書の記載内容の確認
会計ソフト対応のアドバイス

などを含めた総合サポートを行っております。お気軽にご相談ください。

コラム最下署名

飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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