法人税における青色申告制度とは?|承認手続・特典・注意点

2025年5月10日
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2025年5月10日 管理人

法人税における青色申告制度とは?|承認手続・特典・注意点


第1章|青色申告制度とは何か?

法人税における「青色申告制度」は、帳簿組織を整え、正確に取引を記録している法人に対して、税務上の優遇措置を認める制度です。これは、適正な申告と納税を促進するために設けられた制度であり、法人が自主的に税務申告を行う仕組み(申告納税制度)を支える重要な制度の一つです。

この制度を利用すると、欠損金の繰越控除や、特別償却など、多くのメリットがあります。


第2章|青色申告の承認を受けるには?【提出要件と期限】

法人が青色申告書を提出するには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

2-1.帳簿書類の整備

  • 総勘定元帳、仕訳帳などを整然と明瞭に作成・保存

  • 決算書(貸借対照表・損益計算書)、棚卸表、取引書類(契約書・請求書など)の保存(原則7年間、欠損金関係は10年間)

2-2.所轄税務署への「承認申請書」の提出

  • 申請書は、青色申告をしたい事業年度開始の日の前日までに提出

  • 新設法人の場合は、設立の日以後3か月以内か、最初の事業年度終了の日の前日、いずれか早い日までに提出


第3章|みなし承認・却下・取消の仕組み

3-1.みなし承認

申請後、税務署から承認も却下もされなかった場合、事業年度終了日(または開始後6か月を経過した日)に承認があったものとみなされます

3-2.却下される場合

税務署長は以下のような場合、青色申告の承認を却下することができます。

  • 帳簿書類が整備されていない

  • 虚偽の記帳・隠蔽がある

  • 取消や取止めから1年以内に再申請された

3-3.承認の取消し

一度承認された法人であっても、以下のような場合には承認が取り消され、遡って青色申告が「なかったもの」とされます。

  • 帳簿書類の保存不備

  • 税務署長の指導に従わない

  • 明白な仮装や隠蔽行為が認められる


第4章|青色申告法人だけの特典とは?

青色申告をしている法人には、税務上のさまざまなメリット(特典)が用意されています。

特典内容根拠条文説明
欠損金の10年間繰越控除法法57過年度の赤字を翌期以降の黒字と相殺できる
欠損金の繰戻し還付法法80前期に納めた法人税の還付を受けられる
更生通知書への理由付記法法130税務署が更生をするハードルが上がる
推計課税の禁止法法131推計による更正が制限される
特別償却や割増償却措法42条等一定の資産について償却額を増やせるなど

○中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入(措法67の5)


まとめ|正確な帳簿と早めの手続きが青色申告のカギ

青色申告は、適正な帳簿記帳と正確な申告が前提となる制度です。制度を活用するためには:

  • 早めに承認申請書を提出する

  • 帳簿を日々整然と記録・保存する

  • 虚偽記載や記帳漏れを起こさない

特に中小企業にとっては、赤字の繰越等は経営の下支えにもなり得る制度です。

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飯野明宏税理士
この記事を書いた税理士

飯野明宏税理士公認会計士事務所
代表税理士 飯野 明宏

東海税理士会富士支部所属 登録番号:127320号

公認会計士協会東海会 登録番号:31555号

静岡県富士市横割出身。静岡県立富士高校を卒業後、慶應義塾大学理工学部を経て、早稲田大学大学院会計研究科でMBAを取得。

大学院修了後は、あらた監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)や、都内の税理士法人にて勤務。

現在は、地元・富士市・富士宮にて「飯野明宏税理士公認会計士事務所」を運営し、法人税・相続税の両面に強みを活かした専門的なサポートを提供しています。

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