財産評価

21 5月 2025

小規模宅地等の特例とは?土地を最大80%減額できる制度

目次 1 小規模宅地等の特例とは? 2 特例の対象となる4種類の宅地 3 各種類の詳細な要件と注意点 4 宅地が複数ある場合の取扱い 5 手続きと必要書類 6 まとめ 相続が発生し、土地を相続することになった場合、相続税の負担が大きな課題となることがあります。「住む家を失ってしまう」「事業を継続できなくなる」といった事態を防ぐため、「小規模宅地等の特例」という制度が設けられています。この特例を適用することで、相続した宅地等の相続税評価額を大幅に減額できる可能性があります。 今回は、この節税制度である「小規模宅地等の特例」について解説します。 1 小規模宅地等の特例とは? こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 小規模宅地等の特例とは、個人が相続や遺贈によって取得した財産のうち、被相続人や生計を共にしていた被相続人の親族(「被相続人等」といいます)の事業用または居住用に使われていた宅地等(土地または土地の上に存する権利)について、一定の面積まで相続税の課税価格に算入すべき価額から減額できるという制度です。 この制度の目的は、相続人が住み慣れた自宅や、先祖代々引き継いだ事業に利用している土地を、相続税を支払うために売却せざるを得なくなるという事態を防ぐこと、つまり、相続人の生活や事業の基盤を守ることにあります。…

21 5月 2025

相続税の土地・家屋評価の第一歩!「評価単位」とは?

目次 1 評価単位とは? 2 土地の評価単位の考え方 3 家屋の評価単位の考え方 はじめに こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 相続税申告において、不動産の評価は非常に重要でありながら、もっとも複雑な手続きの一つです。なかでも「評価単位の判定」は、その後の土地評価・家屋評価の出発点となります。   1 評価単位とは? 相続税評価における「評価単位」とは、課税対象となる財産をどのようなまとまりで評価するかを定める単位のことです。土地や家屋などの財産は、それぞれ評価単位ごとに分けて評価する必要があります。 ■宅地 → 利用の単位ごと(1区画) ■田及び畑→耕作の単位となっている区画の農地(1枚) ■山林→1筆 ■原野→山林と同じ…

21 5月 2025

【相続税】「損害保険」の取扱いと税金の注意点

目次 1 損害保険は相続財産になるのか? 2 名義変更 or 解約?相続手続きの流れ 3 損害保険金に税金はかかる? 4 名義変更して継続した場合のリスク 1 損害保険は相続財産になるのか? こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 損害保険が相続財産として計上されるかどうかは、契約の内容と保険の種類によって異なります。 ■積立型の損害保険(例:JA共済の建物更生共済など)は、解約返戻金相当額をもって相続財産に計上されます。 ■掛け捨て型の損害保険は原則として相続財産に含まれませんが、前払保険料や戻し金がある場合は、その金額を相続財産として計上する必要があります。 相続財産に該当するかどうかは、「相続開始時点で保険契約者に返還されるべき経済的価値があるか」が基準となります。 2 名義変更…

21 5月 2025

交通事故の損害賠償金に税金はかかる?相続税・所得税の課税関係

目次 1 交通事故の損害賠償金に相続税はかかる? 2 所得税の課税関係~多くは非課税に 3 例外的に課税されるケースもある 4 損害賠償請求権が相続された場合の評価方法 5 まとめと実務上の注意点 こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 事故は身体的・精神的な負担に加え、損害賠償金の受け取りに伴う税金の取扱いについても、不安や疑問が生じる場面です。 本記事では、交通事故により損害賠償金を受け取った場合に、相続税や所得税がかかるのかどうか、その考え方を解説します。 1 交通事故の損害賠償金に相続税はかかる? 交通事故によって被害者が亡くなり、遺族が加害者から損害賠償金を受け取る場合、原則としてその損害賠償金は相続税の課税対象とはなりません。 その理由は、損害賠償金(慰謝料など)が「亡くなった方の財産」ではなく、「遺族自身の権利」として支払われるものであると考えられているためです。したがって、遺族が受け取る慰謝料等は、相続によって取得したものではなく、固有の権利による受領と位置付けられます。 情報元:国税庁 課税される所得と非課税所得 2…

21 5月 2025

相続時の注意点 老人ホームの入居一時金、返還金は遺産?

目次 1 老人ホームの入居一時金とは? 2 入居時の課税関係にも注意 3 返還金は誰のもの?トラブルになりやすい相続上の注意点 4 その他の関連論点 5 まとめ|返還金の税務判断は専門家に相談を こんにちは。富士市・富士宮市の飯野明宏税理士事務所です。 高齢の方が老人ホームに入居する際、多くの場合「入居一時金」というまとまった費用を支払います。この入居一時金、被相続人が亡くなった後に一部返還されることがありますが、この返還金は相続税の対象になるのでしょうか? 今回は、老人ホームの入居一時金の返還金が「相続財産」にあたるのか、また課税関係や注意点について詳しく解説いたします。 1 老人ホームの入居一時金とは? 老人ホームに入居する際に支払う「入居一時金」は、居住費やサービス提供に対する前払い金として扱われ、入居者が退去または死亡した際に、一定期間分の未償却分が返還される仕組みです。 返還金は契約内容により異なり、償却期間の途中で亡くなった場合、その未償却分が一定の計算式に基づいて戻ってくることがあります。 返還金の相続税上の取扱い 入居一時金の返還金は、原則として相続税の課税対象となる相続財産です。被相続人の死亡時点で、契約に基づき返還される権利(債権)として相続財産を構成します。…

20 5月 2025

被相続人の準確定申告の還付金 相続税の取り扱いと注意点

目次 1 準確定申告とは?まずは基本を確認 2 還付金と還付加算金の違いとは? 3 還付金は相続財産になる! 4 還付加算金は相続税の対象外!でも所得税がかかる こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 相続が発生すると、被相続人が亡くなった年の所得について「準確定申告」を行う必要があります。準確定申告の結果、すでに支払っていた税金の一部が還付金として戻ってくることがありますが、そのとき気になるのが相続税との関係です。 今回は、準確定申告によって戻ってきた還付金や還付加算金(利息部分)が、相続税の対象になるのかどうかを分かりやすく解説いたします。 1 準確定申告とは?まずは基本を確認 被相続人が死亡した年の1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わりに申告する手続きが「準確定申告」です。 申告期限:相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内 提出先:被相続人の納税地を所轄する税務署 この準確定申告によって、過払いとなっていた所得税が還付されることがあります。 注意点として、納税が必要な準確定申告は4ヶ月以内が厳格な期限ですが、 還付のみの場合は5年以内まで申告可能です。ただし、相続税申告がある場合は、…