税理士

税理士に関するコラム(blog)です。

23 5月 2025

18歳成年 成年年齢引き下げが相続税・贈与税に与える影響とは?

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 2022年(令和4年)4月1日より、民法の改正により日本の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。これは明治時代以来、およそ140年ぶりの大きな法改正です。 この変更により、18歳以上であれば親の同意なく契約が可能となり、社会的・法律的責任を負う年齢のハードルが下がりました。そしてこの影響は、相続税・贈与税などの税制にも及んでいます。 本記事では、成年年齢引き下げに伴う相続税・贈与税への主な影響について、実務上の注意点とともに整理します。 1 成年年齢引き下げで何が変わったのか? 成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことで、若年層は次のような契約や行為を親の同意なく単独で実行できるようになりました。 ■携帯電話やクレジットカードの契約 ■賃貸住宅の契約 ■ローン契約 等 2 税制に与える5つの主要な影響点(相続税・贈与税) ① 相続税の未成年者控除の対象年齢が「18歳未満」に 相続人が未成年の場合、相続税から控除できる「未成年者控除」の対象年齢が、20歳未満 → 18歳未満に引き下げられました。 控除額の計算式: (18歳に達するまでの年数)× 10万円…

23 5月 2025

【中小企業向け】【2025年4月改定】雇用保険料率が引き下げに

目次 1 改定の背景:なぜ引き下げられるのか? 2 改定後の雇用保険料率(令和7年度) 3 企業が取るべき対応策 4 据え置きとなる料率も確認 5 まとめ 早めの準備と制度理解が鍵 こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 2025年(令和7年)4月1日より、雇用保険料率が改定されることが厚生労働省より正式に発表されました。今回の改定では、労働者・事業主の双方で負担する雇用保険料率が引き下げられます。これは、企業の人件費管理に直接関わる重要な変更です。 この記事では、改定の背景、具体的な変更内容、そして給与・賞与への適用タイミング、企業として必要な実務対応について、簡潔かつ正確に整理します。 1 改定の背景:なぜ引き下げられるのか? 雇用保険料率は毎年、制度の財政状況や雇用環境を踏まえて見直されます。2025年度の引き下げは、コロナ禍に対応するために導入されていた一時的な特例措置が終了し、雇用保険財政の健全化が進んだことを背景としています。 企業にとっては、雇用維持に向けた支援策からの正常化の流れともいえ、負担軽減が実現するものです。 参考として雇用保険料率の推移(一般の事業)を挙げます。…

23 5月 2025

【消費税】購入者が受け取るキャッシュバックの税務処理とは?

目次 1 キャッシュバックの判断基準 2 課税取引となるキャッシュバック 3 不課税取引となるキャッシュバック 4 実務での注意点とまとめ こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 「家電を買ったらメーカーから5,000円キャッシュバック」「クレジットカードで1%還元」など、キャッシュバックは私たちの身近な制度です。しかし、事業者の方にとって重要なのは、このキャッシュバックで消費税の処理をどのようにするか、という点です。 キャッシュバックの提供元によって消費税の取り扱いが大きく異なります。 1 キャッシュバックの判断基準 キャッシュバックの定義 商品・サービスの購入後に、購入者へ代金の一部が返金される制度です。返金方法は現金振込、ポイント付与、次回割引クーポンなど様々です。 よくあるキャッシュバックの例 ■スマートフォンメーカーの新機種購入特典 ■住宅設備メーカーのリフォーム補助金 ■クレジットカードのポイント還元…

23 5月 2025

「財産債務調書制度」対象者・提出期限・ペナルティを解説

目次 1 財産債務調書制度の基本理解 2 令和5年分からの重要な制度変更 3 提出義務の判定と対象者の拡大 4 加重措置と軽減措置の実務的影響 5 実務対応のポイントと今後の展望 1 財産債務調書制度の基本理解 こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 財産債務調書制度は、内国税の適正な課税の確保を図るための重要な制度の一つです。 確定申告が必要な方や一定の要件に該当する方が、確定申告書とは別に保有する財産や債務に関する調書を税務署に提出することが義務付けられています。 この制度の真の目的は、将来の相続税申告対象財産を税務署が事前に把握することにあると考えられています。つまり、税務当局による「財産の見える化」を通じて、所得税・相続税の申告の適正性を担保する仕組みといえるでしょう。 昭和25年に「財産債務明細書」として導入された当初は罰則がなく実効性に乏しかったものの、平成27年度税制改正により加算税制度を伴う実効性のある制度として生まれ変わりました。そして令和4年度税制改正により、令和5年分から大幅な見直しが実施されています。 2 令和5年分からの重要な制度変更…

23 5月 2025

【法人成り・消費税】なぜ決算期を7ヶ月にする?

目次 1 消費税の課税事業者と免税事業者 2 なぜ設立1年目は免税になるのか 3 設立2年目に影響する「特定期間」の考え方 4 短期事業年度の特例とは?「7ヶ月」の意味 5 12ヶ月決算と7ヶ月決算の比較 6 注意点と実務対応 リンク 国税庁PDF 特定期間 リンク 国税庁 特定期間Q&A 1 消費税の課税事業者と免税事業者 こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 消費税には、納税義務を負う「課税事業者」と、免税が認められる「免税事業者」があります。以下の条件をすべて満たすと、免税事業者として消費税の納税義務が免除されます。 ■資本金1,000万円未満で設立された法人であること…

23 5月 2025

【個人事業主向け】家族への給与は経費にできる?青色事業専従者給与!

目次 1 青色事業専従者給与とは? 2 青色事業専従者となるための要件 3 必要経費にできる金額の上限とは? 4 適用には事前手続きが必要! 5 制度適用にあたっての注意点 6 まとめ こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 個人事業を営む中で、ご家族に仕事を手伝ってもらうというケースは珍しくありません。特に配偶者や子ども、親などと生計をともにしている場合、「せっかく働いてもらっているのだから給与を出したい」と考えるのは自然なことです。 しかし、家族に支払う給与については税法上の制限があります。青色申告者であれば「青色事業専従者給与」として、一定の要件を満たすことで家族への給与を必要経費として計上することが可能になります。 この記事では、青色事業専従者給与の制度概要、適用要件、手続き、注意点などを、解説します。 リンク 国税庁 青色事業専従者給与と事業専従者控除 1 青色事業専従者給与とは?…