目次 1 設例:売掛先の経営悪化と債権者集会の発生 2 貸倒れの2分類:法的貸倒れと事実上の貸倒れ 3 A社への対応:時期尚早な貸倒処理に注意 4 B社への対応:更生手続開始 5 まとめ:債務整理・債権回収不能の判断には慎重さと証拠が必要 こんにちは。富士市・富士宮市の税理士、飯野明宏です。今回は、取引先の経営悪化や債権者集会の発生時における「売掛金や貸付金の貸倒損失処理」について、法人税法上の取扱いを解説します。 本ブログは次のブログの具体例となっています。 情報元:国税庁 貸倒損失として処理できる場合 貸倒損失について > 1 設例:売掛先の経営悪化と債権者集会の発生 ある得意先A社は、業況悪化により10か月間にわたり売掛金の支払を停止しています。債権者間では債権回収に向けた相談が始まっており、当社としてもA社との取引を停止したうえで今後は現金取引へ移行する意向です。 また、別件として、倒産した会社社長が更生手続開始の申立てを行ったB社に対して、当社は2,000万円の貸金を有しており、担保不動産の査定額3,000万円のうち300万円が回収見込額とされています。このようなケースにおいて、税務上の貸倒処理が可能か否か、判断基準が求められます。…