所得税

所得税に関するコラム(blog)です。

23 5月 2025

【消費税】購入者が受け取るキャッシュバックの税務処理とは?

目次 1 キャッシュバックの判断基準 2 課税取引となるキャッシュバック 3 不課税取引となるキャッシュバック 4 実務での注意点とまとめ こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 「家電を買ったらメーカーから5,000円キャッシュバック」「クレジットカードで1%還元」など、キャッシュバックは私たちの身近な制度です。しかし、事業者の方にとって重要なのは、このキャッシュバックで消費税の処理をどのようにするか、という点です。 キャッシュバックの提供元によって消費税の取り扱いが大きく異なります。 1 キャッシュバックの判断基準 キャッシュバックの定義 商品・サービスの購入後に、購入者へ代金の一部が返金される制度です。返金方法は現金振込、ポイント付与、次回割引クーポンなど様々です。 よくあるキャッシュバックの例 ■スマートフォンメーカーの新機種購入特典 ■住宅設備メーカーのリフォーム補助金 ■クレジットカードのポイント還元…

23 5月 2025

「財産債務調書制度」対象者・提出期限・ペナルティを解説

目次 1 財産債務調書制度の基本理解 2 令和5年分からの重要な制度変更 3 提出義務の判定と対象者の拡大 4 加重措置と軽減措置の実務的影響 5 実務対応のポイントと今後の展望 1 財産債務調書制度の基本理解 こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 財産債務調書制度は、内国税の適正な課税の確保を図るための重要な制度の一つです。 確定申告が必要な方や一定の要件に該当する方が、確定申告書とは別に保有する財産や債務に関する調書を税務署に提出することが義務付けられています。 この制度の真の目的は、将来の相続税申告対象財産を税務署が事前に把握することにあると考えられています。つまり、税務当局による「財産の見える化」を通じて、所得税・相続税の申告の適正性を担保する仕組みといえるでしょう。 昭和25年に「財産債務明細書」として導入された当初は罰則がなく実効性に乏しかったものの、平成27年度税制改正により加算税制度を伴う実効性のある制度として生まれ変わりました。そして令和4年度税制改正により、令和5年分から大幅な見直しが実施されています。 2 令和5年分からの重要な制度変更…

23 5月 2025

【個人事業主向け】家族への給与は経費にできる?青色事業専従者給与!

目次 1 青色事業専従者給与とは? 2 青色事業専従者となるための要件 3 必要経費にできる金額の上限とは? 4 適用には事前手続きが必要! 5 制度適用にあたっての注意点 6 まとめ こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 個人事業を営む中で、ご家族に仕事を手伝ってもらうというケースは珍しくありません。特に配偶者や子ども、親などと生計をともにしている場合、「せっかく働いてもらっているのだから給与を出したい」と考えるのは自然なことです。 しかし、家族に支払う給与については税法上の制限があります。青色申告者であれば「青色事業専従者給与」として、一定の要件を満たすことで家族への給与を必要経費として計上することが可能になります。 この記事では、青色事業専従者給与の制度概要、適用要件、手続き、注意点などを、解説します。 リンク 国税庁 青色事業専従者給与と事業専従者控除 1 青色事業専従者給与とは?…

22 5月 2025

報酬・料金にかかる源泉徴収の基礎と実務ポイント

目次 1. 源泉所得税とは? 2. 源泉徴収が必要な報酬・料金とは? 3. 実際の源泉徴収税額の計算方法 4. 消費税の取り扱い 5. 納付手続きと期限 こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。報酬や謝礼を支払う際、「源泉徴収って必要?」「計算方法は?」といった疑問を抱える経理担当者の方も多いのではないでしょうか? 本記事では、報酬・料金に関する源泉徴収の対象・計算方法・納付手続きまで解説します。 1 源泉所得税とは? 源泉所得税とは、特定の支払(報酬、給与など)から所得税等をあらかじめ差し引いて、支払者が国に納める制度です。税収の安定確保と、納税者の税負担の平準化が目的とされています。 2 源泉徴収が必要な報酬・料金とは? 源泉徴収が必要かどうかは、支払を受ける側が個人か法人かで異なります。 今回は個人の場合について解説します。…

22 5月 2025

自宅の買い替え、「3000万円控除」と「住宅ローン控除」に注意!

目次 1 まずは基本を理解しよう!2つの税制優遇制度 2 なぜ併用できないの?法律で決まっている理由 3 例外的に両方の恩恵を受けられる「レアケース」 4 一度適用した制度から変更はできる? 5 まとめ:事前のシミュレーションが何より重要 こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 マイホームの売却と新居の購入を検討されている方から、「売却時の3000万円特別控除と住宅ローン控除は一緒に使えるの?」というご質問をよくいただきます。結論から申し上げると、原則として併用はできません。 今回は、なぜ併用できないのか、その理由と例外的なケースについて、わかりやすく解説していきます。 1. まずは基本を理解しよう!2つの税制優遇制度 居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除 マイホームを売却して利益(譲渡益)が出た場合、最高3000万円まで税金がかからない特例です。例えば、3500万円で購入した自宅を4000万円で売却した場合、通常なら500万円の利益に税金がかかりますが、この特例を使えば税金は0円になります。 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除) 住宅ローンを利用してマイホームを購入・改築した場合に、年末のローン残高の一定割合を税金から直接差し引ける制度です。…

21 5月 2025

【中小企業向け】令和6年、中小企業倒産防止共済はどう変わった?

目次 1.中小企業倒産防止共済とは?制度の目的と基本概要 2.制度の主な特徴とメリット 3.「課税の繰り延べ」としての活用と出口戦略 4.令和6年10月1日からの制度改正とは? 5.2年間の損金不算入ルールが与える影響 1 中小企業倒産防止共済とは?制度の目的と基本概要 こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 中小企業倒産防止共済(通称:経営セーフティ共済)は、取引先事業者の倒産によって自社が連鎖倒産したり、深刻な経営難に陥ったりすることを防ぐ目的で設けられた、政府系の共済制度です。 この制度は中小企業者同士の相互扶助を基本理念としており、経営の安定を支援することを目的に、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。すでに多くの法人・個人事業主が活用しており、倒産リスクに備えた有効な手段として広く認知されています。 2 制度の主な特徴とメリット 経営セーフティ共済には以下のようなメリットがあります。 無担保・無保証人での借入が可能 取引先の倒産によって売掛金等が回収不能になった際、納付した掛金の最大10倍(最高8,000万円)までの貸付が受けられます。 掛金を損金(法人)または必要経費(個人事業)に算入できる 月額5,000円から20万円の範囲で自由に設定でき、掛金総額は800万円まで。全額を損金・経費算入できることから、節税効果があります。 解約手当金の支給がある 自己都合で解約しても、12ヶ月以上の納付で8割以上、40ヶ月以上で全額が戻る仕組みです。…