こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 キャッシュバックという言葉は、家電製品の販促やクレジットカードの特典など、日常的にもよく見かける仕組みです。購入後に一定額が返金されるこの制度ですが、消費税の視点から見ると「課税」「不課税」の判断が分かれるため、注意が必要です。 この記事では、購入者がキャッシュバックを受け取った場合における、消費税の取り扱いを詳しく整理します。 📚 目次 第1章|キャッシュバックとは何か? 第2章|課税取引となるキャッシュバック 第3章|不課税取引となるキャッシュバック 第4章|実務での注意点とまとめ 第1章|キャッシュバックとは何か? キャッシュバックとは、商品やサービスの購入後に購入者へ代金の一部が返金される制度です。返金は現金振込やポイントで行われることが多く、主に販売促進の一環として実施されます。 キャッシュバックは一見すると単なる「値引き」にも思えますが、誰から・どのような経路で支払われたかによって、消費税の取り扱いが異なります。 第2章|課税取引となるキャッシュバック 製品メーカー等からの販売促進目的キャッシュバック メーカーが製品購入者(消費者)に対し直接支払うキャッシュバックは、「売上げに係る対価の返還等」に該当します(消費税法基本通達14-1-2)。 例えば、次のようなケースです。 家電メーカーが新製品を購入した消費者に対し、一定額を後日銀行振込で還元 ソフトウェア企業が、購入者全員を対象に申請ベースで返金を行う このようなケースでは、購入者もメーカーの取引先に含まれると解釈され、返金されたキャッシュバックは「仕入れに係る対価の返還等」(消費税法基本通達12-1-2)として、課税仕入れの修正対象になります。 仕入税額控除の修正が必要…