目次 1 小規模宅地等の特例とは? 2 特例の対象となる4種類の宅地 3 各種類の詳細な要件と注意点 4 宅地が複数ある場合の取扱い 5 手続きと必要書類 6 まとめ 相続が発生し、土地を相続することになった場合、相続税の負担が大きな課題となることがあります。「住む家を失ってしまう」「事業を継続できなくなる」といった事態を防ぐため、「小規模宅地等の特例」という制度が設けられています。この特例を適用することで、相続した宅地等の相続税評価額を大幅に減額できる可能性があります。 今回は、この節税制度である「小規模宅地等の特例」について解説します。 1 小規模宅地等の特例とは? こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 小規模宅地等の特例とは、個人が相続や遺贈によって取得した財産のうち、被相続人や生計を共にしていた被相続人の親族(「被相続人等」といいます)の事業用または居住用に使われていた宅地等(土地または土地の上に存する権利)について、一定の面積まで相続税の課税価格に算入すべき価額から減額できるという制度です。 この制度の目的は、相続人が住み慣れた自宅や、先祖代々引き継いだ事業に利用している土地を、相続税を支払うために売却せざるを得なくなるという事態を防ぐこと、つまり、相続人の生活や事業の基盤を守ることにあります。…