経営者のための本 1冊目-4 /現実を直視せよ!/「ビジョナリーカンパニー2」

2022年8月20日
Posted in コラム
2022年8月20日 飯野悠美子

『ビジョナリーカンパニー2』の4回目。

前回は、最初に適切な人をあつめて、そこから目標をきめるべき、私の理解では、人から全てが始まる、ということでした。そして、当事務所でどのように適切な人を集めているかを述べました。

今回は、事業をとりまく環境にどのように対応するのか?という話です。今は新型コロナウイルスの大流行で、非常わかりやすい状況だと思います。この状況を、そんなことない大丈夫、と思う経営者は少ないでしょう。しかし、例えば、自社の今のサービスが時代遅れになってしまっていたらどうでしょうか?「そんなことはない、うちは今の時代でも大丈夫だ」と思ってしまうかもしれません。

今のようなショッピングモール、スーパーマーケットがある前の時代を想像してみましょう。食品雑貨店を多く経営していた会社についてです。今だからスーパーマーケットや複合店舗は普通ですが、戦後すぐの小規模な商店が並んでいたころに頭を切り替えてください。

そのころのアメリカの食品雑貨店は、スーパーマーケットのように一店舗で全てがそろうような店は少なく、安価な食品雑貨を大量に、実用本位の店舗で販売する方式でした。これは第二次世界大戦と大恐慌のなごりでした。この時すでに、アメリカ人は豊かになり趣向が変化していました。

偉大になれなかった企業は、事実に気づいてはいました。スーパーマーケットを1店舗別ブランドで実験的に作り、非常に買い物客の受けが良いことをわかっていました。しかし、なんとこの事実が気にくわず、この店舗を閉鎖してしまったのです。つまり、事実から目をそらしたということです。そして、今までと同じ方針をさらに推し進め、値下げをし、コスト削減を行い、買い物客はさらに減ってしまいました。

このときの事実は、「買い物客は、値引きではなく、別の店舗形態を望んでいた」ということです。

 

偉大になった方の企業はどうでしょうか。すべての店舗を閉鎖するか、改装するか、移転し、新しい現実に合わない地域からは撤退する決定をくだしました。そして約20年かけて事業全体を新しい方式で作りなおす作業を完了させたのです。

 

さきほどの変化できなかった企業は、いまだに店舗の半分以上が1950年代の規模であり、既に比較対象にもならないほどに衰退しています。

 

偉大になった方の企業の経営者の言葉の引用です。

われわれは要するに徹底した調査を行ったが、それで集まったデータは明白な事実を示していた。スーパーマーケットこそが将来への道なのだ。それに、各市場で1位か2位になれないのなら撤退するしかないことも学んだ(※)。たしかに、当初は懐疑的な見方もあった。しかし事実をみれば、何をすべきか疑問の余地などなかった。だからそれを実行しただけだ。

※ この話は1970年代初めで、「各市場で1位か2位になれないのなら撤退する」という考え方が主流になるのは10年以上後であることにも着目すべきです。

 

この2社の違いは、厳しい現実を直視し、現実に対応して事業方式を完全に変更したかどうか、という違いです。

そんなことは当たり前じゃないかと思うかもしれませんが、当たり前じゃないんです。過去の栄光にはみんなすがりたい。いままでうまくいっていたじゃないか、そう考えるのが多くの人です。

私は、柔軟に変化することの大切さを徹底して自分に意図的に刷り込んでおり、そして変人扱いされています。変化するということは普通ではないのです。

 

次回は、真実に耳を傾ける社風にするには、どうしたら良いのか?について書きたいと思います。


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