日本の会社は上司の言うことを部下が聞いているだけ、アメリカの会社は各個人が上司にモノ申す。このイメージ、だいたい99%間違っています。
でも、こういうイメージありますよね。では、なぜこのようなイメージを多くの人が持つのでしょうか。
上司にモノ申すのは、実は日本の会社の方です。モノ申すというより「お伺い」を立てるという方が正確です。いわゆる稟議を上げるというやつです。
下の職階の者が考えて、良さそうと思ったことを上司にお伺いを立てて、OKがでれば実行。ただ、稟議はOKがでるまでに、沢山のハンコをつかれてながら、グルグルと、いろんな人のところを回ります。
他方、アメリカの会社は、上司がこうしろと言ったことは絶対です。そもそも、アメリカの会社のサラリーマンは、日本の総合職のサラリーマンのように均質ではありません。経理なら経理、営業なら営業でそれぞれの専門性を高めて、基本ずっとその仕事をします。上司もマネジメントという種類の専門性を持っている人というだけです。
結果、日本の会社は動きが遅い、アメリカの会社は動きが速いというイメージになりますが、これは、上記のような仕組みが原因です。
逆に、日本の会社は、稟議書がグルグル回るので、共通の価値観を持ちやすく、集団として強いという良い面もあります。
アメリカは個人個人がその専門性を厳しく評価されるため、伝統的には、集団として弱い傾向があります。
アメリカの会社では、部下は自分の専門分野で結果を出さなければクビになってしまうので、降ってきた指示の範囲内で、なんとか結果を出すために不要な気を使わないだけです(例外として、一部の超競争型の外資系企業では、アメリカ人は日本人以上に上司に気を使います)。
日本の会社では、集団としての結果が重視されるため、個人としては結果がでなくとも、和を乱さない方が重視されます。
根本的にこのような仕組みになっているのは、日本の会社は従業員を重視し、アメリカの会社は株主を重視しているからです。
今日、日本型経営も変化しつつあります。インターネットが普及し、人口も減少する中、スピード感を持って結果を出さないといけない競争環境に置かれているからでしょう。ただ、長年かかって築いてきた仕組みは、なかなか変化しません。
しかし、変化しなければならない時期が急速に迫ってくると思います(というよりも富士通等の配置転換のニュースをみると、もう来てます)。
中小企業の経営者の皆様は、世の中の変化を、繰り返し従業員に伝え、会社が荒波に飲まれる前に、荒波を越える体力をつけられるよう、従業員の意識を少しずつ変えていく必要があると思います。
どのような方向へ意識を変えるべきかは、また別の記事でお話ししたいと思います。