中小企業の社長用 勉強のすすめ(嫌わないで!)

2022年8月15日
Posted in コラム
2022年8月15日 飯野悠美子

「勉強なんてしたことねーよ。」という方も、多いと思います。「勉強のできるやつに、勉強のできないやつの気持ちなんてわからねーよ。」と思われるでしょう。それは、私の経験から言うと間違いです。勉強のできない人は自分の気持ちは分かり、人の気持ちは薄っすらとわかる、というのが私の感想です。

勉強をすると、考える力というものが醸成されていきます。考える力があると、もし、これが理解できないとすると、どのように感じるのか、ということを想定することができます。勉強のできない人の気持ちを理解できるのは、実は勉強をしてきた人間の方だと、私は思っています。

私の短いサラリーマン経験(10年弱)の中で、たくさんの企業を見てきましたが、中小企業の社長で次のパターン以外で継続的にビジネスを成功させてきた人は、私の知る限りいません(何代も継続してビジネスを成功させている人達を何家族も見てきました。)。

1 会計的センスがある(簿記や会計学がわからなくてもOK)

2 1をビジネスに適用でき成果を出すために行動する。

3 2の結果、周囲の人を幸せにしている。

税理士をしているから言っているわけではないのですが、特に1でコケる人が本当に多いです。罪深いのは、ある程度の規模(利益1,000万円くらい)までは、なんだかんだ上手くいってしまうのです。1がないと、そこからは、停滞か衰退のいずれかです。それ以上には大きくも儲かるようにもならないと思います。

何代も継続してビジネスを成功させている本物の富裕層のご家族を見る機会があり、非常に私は恵まれていました。まず、絶対的にそのファミリービジネスを継がなければいけないという意思があります。そのために後継者も、勉強をし(多くは慶應の小学校から慶應なのですが、受験勉強をしていないからといって侮るなかれ。非常に優秀です。選ばれし家柄の中で育つのですから当然でしょう。)。そして、総合商社やビジネスに近い職場へ就職します。

特に、大手総合商社出身の後継者は非常に優秀でした。

もちろん、総合商社に就職していない方が多数で。この話の後に、アドバイスがありますので、まずは中小企業の社長の最高峰を知りましょう。

その方の弱点から話すと、他人を寄せ付けないくらいの強烈なオーラがありました。それは真剣勝負をしてきたゆえだと思うので仕方ありません。

次に強みはについてです。コミュニケーションがとてもスムーズでした。必要なこと以外この人の口からは一言も発せられないのではないか、と思うくらいです。また、決断が異常なくらい速い、というよりも既に決まっているのです。おそらく、普段からビジネスについて考えているからでしょう。

そして、最も凄いと思ったのは、会社の仕組みづくりが極めてしっかりしている。ここまで自社でできるのか、と税理士でも信じられないレベルで数字を用意してきます。会社の業績予測も自社で作成し、それを元に税理士と議論するという会議に何度か出席しました。税理士の最も優れた専門性は税法の知識であるということを理解し、税理士を100%利用していました。

厳しい言い方になりますが、逆も然りです。5%も税理士を利用できていない方も何人も見てきました。良心的な税理士は、顧問先様であっても社長に会って知識を提供し、継続的な勉強を促すことしかできません。良心的ではない税理士(お客様が成長したり儲かるためではなく、気持ちよくさせることをする方)は、会う時間を作って世間話でもするのでしょう。もちろん、私の知らないことを聞いたり、相手の知らないことを話したりすることは有用なので、それはします。ただ、知っていることだと、私は接客中でも居眠りをしてしまうので、それは許してください。

このような中小企業の経営者になるにはどうしたら良いか。まずは机に座ってビジネスに関する本を読む時間を作ってください。オススメの本は私に直接、聞いてください。開業後、3,000冊以上には目を通しているので、何が良くて何がダメかと、本のだいたいの難易度は分かります。そして、自分がその内容を実行しているところを想像し、実業に支障がなければ実際に小さく実行してみてください。いきなり多額の金額をかけたり、従業員に強いストレスをかけるようなことはダメです。次に、読んでもよくわからない本は、すぐに読むのを辞めてください。私は、私が良いと思った本しか紹介しませんが、わからないということは、失礼を承知で申し上げると、まだ早いということです。読書そのものの能力が不足している、あるいは、前提としている知識がない、だから読めないのです。

毎日、時間を作り、机に座り、理解できる本を読む(最初はビジネスに関する本でなくてもよいです)。

この習慣の継続は、絶対に御社のビジネスの役に立つと約束します。正しい知識は、絶対に裏切りません(ただし、間違った理解をしたら台無しです。そのため、自分の理解は正しいだろうか、と常に疑いながら読んでください。同じジャンルの本を複数冊読むと間違いに気づきやすいです。)。

「巨人の上に立つ」という言葉があります。西暦2022年。全人類は少なくとも2022年間は考え続けてきたわけです。自分1人の考えが、それに勝るわけがないのです。まずは、既にある時間をかけて検証された考え方を知り、その上で自分で考える。そのことを「巨人の上に立つ」といいます。

自分で考えることは何よりも大切です。ただし、それは巨人の上に立ってからです。巨人の足から登りながらでも、自分で考えてください。地上から考えるよりはましです。

「巨人の上に立つ」という意識を持つことから始めましょう。

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