所得税

所得税に関するコラム(blog)です。

26 5月 2025

アパートを経営している会社が「社用車」を購入してもよいのか?

📚 目次 chapter1|法人名義で乗用車を購入することは可能? chapter2|ポイントは「誰が」「何のために」使うのか chapter3|「不動産管理のために必要」と認められる条件 chapter4|不動産の売買を予定している場合の取り扱い chapter5|まとめ:法人名義での車購入は「実態」で判断される chapter6|【補足】税務調査でもよく見られるポイント こんにちは。富士市・富士宮市の税理士、飯野明宏です。今回は、不動産賃貸業を営む法人における「社用車(乗用車)の購入」の可否と税務上の注意点についてお話しします。 第1章|法人名義で乗用車を購入することは可能? 不動産オーナーの方からよくあるご相談のひとつが、「法人で所有しているアパートの管理や新規物件の調査のために車を買いたい。社長である自分が使うけど、法人で買って問題ないですか?」というものです。 この問いに対する答えは、「事業に必要であれば法人での購入は可能」です。ただし、使用目的が重要になります。 第2章|ポイントは「誰が」「何のために」使うのか 法人が資産を購入した場合、その資産が「法人の事業に必要」であれば、法人の経費として認められます。しかし、次のような場合は注意が必要です。 実際には社長が私用で使っている 賃貸物件がすべて社長の自宅のすぐ近くにあり、車を使う必要性が乏しい こうしたケースでは、法人名義で購入していても、「社長個人に対する役員賞与」として課税されるリスクがあります。 第3章|「不動産管理のために必要」と認められる条件 次のような条件を満たしていれば、法人名義の乗用車でも税務上問題となる可能性は低くなります。 管理物件が自宅から離れた地域に点在している…

24 5月 2025

副業の税金、結局どうなの?|メリットを得るには帳簿をつけなければならない

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 「副業収入って雑所得?それとも事業所得?どっちで申告すればいいの?」 というものです。 この問題に関連して、かつて話題となったのが、「副業300万円問題」。実際に国税庁が方針を出したあと、大幅な修正が加えられました。 本記事では、その背景と最新のルール(帳簿の作成の有無による判定)を、解説します。 📚 目次 第1章|副業収入の区分がなぜ重要なのか? 第2章|かつて物議を醸した「300万円基準案」 第3章|改正後の新ルール|ポイントは「帳簿の有無」 第4章|なぜ事業所得にしたい人が多いのか? 第5章|副業収入を事業所得で申告したい場合の対策 第1章|副業収入の区分がなぜ重要なのか? 副業収入が「事業所得」になるのか「雑所得」になるのかで、適用される税制や節税の余地が大きく異なります。 事業所得と雑所得の比較表 区分 特徴 事業所得 ・青色申告が可能 ・赤字は他の所得と損益通算・繰越控除が可能…

24 5月 2025

【個人事業主へ】青色申告のメリットと申請期限

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 個人事業主の方に向けて、青色申告のメリットと注意点、申請のタイミングについて、解説します。 第1章|青色申告の主なメリット 青色申告は、正しい帳簿付けと申請を行うことで、税務上さまざまな優遇を受けられる制度です。 ✅ 1. 最大65万円の青色申告特別控除 条件を満たせば、所得から最大65万円を控除 控除額は 65万円・55万円・10万円 の3段階(事業所得の場合、帳簿の形式と提出方法による) 所得税だけでなく、国民健康保険料等にも影響 例:500万円の所得→65万円控除→対象額は435万円に! ✅ 2. 家族への給与を「経費」にできる 「青色事業専従者給与」の制度により、届出した金額の範囲内で家族への給与を必要経費化できます。 青色申告:事前届出で合理的な範囲内で支給 ※配偶者控除・扶養控除との併用不可。事前の届出が必要です。 ✅…

23 5月 2025

なぜ住民票のある自治体への、ふるさと納税は損なのか?

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 「住んでいる自治体にふるさと納税はできるの?」「損だって聞くけど本当?」そんな疑問をお持ちの方に向けて、今回は住民票のある自治体にふるさと納税をした場合のメリット・デメリットを、制度の背景とあわせて詳しく解説します。 📚 目次 第1章|住んでいる自治体にふるさと納税はできる? 第2章|なぜ「損」と言われるのか?2つの理由 第3章|それでも地元にふるさと納税をする意義とは? 第4章|同じ都道府県内の他市町村なら返礼品はもらえる? まとめ|「損かどうか」は目的次第。地元への寄付も立派な選択肢 第1章|住んでいる自治体にふるさと納税はできる? まず結論からお伝えすると、居住している自治体にふるさと納税することは可能です。 ふるさと納税は、「応援したい自治体に寄付をする」という仕組みであり、寄付先の制限はありません。現在住んでいる都道府県や市区町村も、寄付対象の自治体に含まれます。 ただし、注意点として、その自治体が“住民票のある自治体”だった場合、返礼品を受け取ることはできません。 第2章|なぜ「損」と言われるのか?2つの理由 ① 返礼品がもらえない ふるさと納税の大きな魅力の一つが、地域の特産品やサービスなどの返礼品です。しかし、住民票登録のある自治体に対する寄付では返礼品が交付されません。 これは総務省の通知および地方税法により、 「当該地方団体の住民に対して返礼品を送付しないようにすること」と明記されているためです。 ※感謝状など金銭的価値のない返礼は例外的に認められています。…

23 5月 2025

ふるさと納税のデメリットとは?知っておきたい8つの注意点

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 ふるさと納税は、寄付によって地域を応援しながら特産品も受け取れ、税金も控除される制度として広く知られています。テレビCMやインターネット広告でも頻繁に紹介され、その人気は年々高まっています。 しかし、制度を利用するうえで知っておくべき“デメリット”や注意点も存在します。本記事では、税理士の立場からふるさと納税の注意点をわかりやすく整理し、制度活用前の判断材料としてご紹介します。 📚 目次 第1章|ふるさと納税の仕組みをおさらい 第2章|ふるさと納税のデメリット・注意点 第3章|制度の特性を理解し、上手に使いこなそう まとめ|ふるさと納税のデメリットを知って納得の制度活用を 第1章|ふるさと納税の仕組みをおさらい ふるさと納税とは、居住地以外の地方自治体に「寄付」することで、寄付額の一部が税金から控除される制度です。寄付した自治体からは、お礼として地域の特産品などの返礼品がもらえることも魅力の一つです。 https://iinotax.com/blog/8278/ 第2章|ふるさと納税のデメリット・注意点 ① 出費が先に発生する ふるさと納税は税金が控除され、メリットを感じるのは翌年以降です。つまり、寄付をしたその時点では実費で支払いが発生します。所得税の控除は寄付した年の3月に確定申告を通じて、住民税の控除は翌年度6月以降に反映されます。 🔍 キャッシュフローに余裕がない時期は注意が必要です。 ② 手続きに手間がかかることがある…

23 5月 2025

【中小企業向け】少額減価償却資産の3つの特例を活用しよう

こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 事業で使用するパソコンや什器などの資産を購入した際、一定額以上であれば通常は「減価償却」によって数年かけて経費化します。しかし、取得価額が比較的少額の固定資産については、購入した年に全額を経費にできる特例制度が用意されています。 本記事では、中小企業や個人事業主が活用できる3つの少額減価償却資産の特例について、それぞれの制度概要、適用条件、メリット・デメリットを解説します。 📚 目次 第1章|10万円未満の少額減価償却資産:誰でも使える基本の特例 第2章|30万円未満の特例:中小企業向けの強力な即時償却制度 第3章|20万円未満の一括償却資産:費用を3年間で分割 第4章|中小企業が選ぶべき特例はこれ! 第5章|制度選択の注意点と申告の実務 まとめ|少額資産の特例を使いこなしてスマートに節税! 第1章|10万円未満の少額減価償却資産:誰でも使える基本の特例 制度の概要 取得価額が10万円未満の資産は、購入年度に全額を即時に経費計上できます。 特徴 10万円未満の少額減価償却資産の税務上の取扱い 項目 内容 対象者 中小企業・大企業問わずすべての事業者…