こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。
個人事業主の方に向けて、青色申告のメリットと注意点、申請のタイミングについて、解説します。
1 青色申告の主なメリット
青色申告は、正しい帳簿付けと申請を行うことで、税務上さまざまな優遇を受けられる制度です。
1. 最大65万円の青色申告特別控除
■条件を満たせば、所得から最大65万円を控除
■控除額は 65万円・55万円・10万円 の3段階 ※帳簿の形式と提出方法による
■所得税だけでなく、国民健康保険料等にも影響
例:500万円の所得→65万円控除→対象額は435万円に!
※帳簿の形式と提出方法による
- ■65万円控除:複式簿記 + 貸借対照表・損益計算書 + 期限内申告 + (e-Tax電子申告 または 電子帳簿保存)
- ■55万円控除:複式簿記 + 貸借対照表・損益計算書 + 期限内申告
- ■10万円控除:簡易簿記でも可
なお、期限後申告の場合、65万円・55万円控除が受けられません。
2. 家族への給与を「経費」にできる
「青色事業専従者給与」の制度により、届出した金額の範囲内で家族への給与を必要経費化できます。
- ■青色申告:事前届出で合理的な範囲内で支給
※配偶者控除・扶養控除との併用不可。事前の届出が必要です。
また、次の要件を満たす必要があります。
- ■青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族
- ■12月31日現在で15歳以上
- ■年間6ヶ月超の期間、その事業に専ら従事
- ■労務の対価として相当な金額
3. 赤字を繰り越せる/繰り戻せる
■赤字を最大3年間繰り越し可能
2 青色申告の注意点・デメリット
もちろん、メリットばかりではありません。青色申告に切り替えると、いくつかの実務的な変化が生じます。
帳簿が必須(65万円控除の場合)
青色申告では、通常、複式簿記で仕訳帳・総勘定元帳などの作成が必要になります。
決算書の作成・提出が必要
■青色申告決算書(損益計算書・貸借対照表)の提出が必要
3 青色申告の承認申請は“期限厳守”
青色申告をしたい年の「3月15日まで」に提出!
■例:2025年分から青色申告したい場合 → 2025年3月17日(月)までに提出(※3/15が土日のため)
年の途中で開業した場合
■開業日から 2ヶ月以内 に申請
■例:2025年2月1日開業 → 2025年4月1日までに提出
相続で事業を引き継いだ場合
死亡日によって以下の期限内に提出が必要です:
死亡日 | 提出期限 |
---|---|
1月1日 ~ 8月31日 | 死亡日から4ヶ月以内 |
9月1日 ~ 10月31日 | その年の12月31日まで |
11月1日 ~ 12月31日 | 翌年の2月15日まで |