目次 1.電子帳簿保存法とは?その目的と基本構造 2.3つの保存形態とその適用範囲 3.電子取引データ保存の要件とは? 4.中小企業向けの緩和措置と猶予措置 5.今やるべきこと:まずは取引書類の棚卸し 1 電子帳簿保存法とは?その目的と基本構造 こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 電子帳簿保存法は、法人税法や所得税法に基づき保存が義務付けられている帳簿書類を、電子的に保存できるようにすることを認めた法律です。法令に準拠した電子保存を行うことで、税務調査時の確認も電子的に対応でき、業務効率化・ペーパーレス化の推進を目的としています。 なお、「すべての帳簿や書類を電子化しなければならない」という誤解がありますが、電子化が義務化されたのは一部(電子取引データ)に限られます。郵送で受け取った紙の請求書・領収書は、これまで通り紙での保存が可能です。 2 3つの保存形態とその適用範囲 電子帳簿保存法の保存形態は次の3つに分かれます。 1. 電子帳簿等保存(任意) 会計ソフトなどで作成した帳簿や決算関係書類を、データ形式のまま保存する方法。導入は任意で、事前承認は不要です。 2. スキャナ保存(任意) 紙で授受した請求書・領収書などをスキャンし、データで保存する方法です。スキャナ保存を行えば原本の紙は破棄できますが、改ざん防止措置(タイムスタンプや社内規程)などの要件が課されます。…