コラム

税理士・公認会計士 飯野明宏が執筆

会計・税務・経営のお役立ち情報

21 5月 2025

小規模企業共済制度を活用した相続対策のポイント

目次 1 小規模企業共済制度とは? 2 共済金と相続税の関係 3 制度活用時の注意点 4 制度の活用にあたって まとめ 1 小規模企業共済制度とは? こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 小規模企業共済制度は、中小企業の経営者や役員、個人事業主の方が、将来の退職や廃業に備えて資金を積み立てる制度です。掛金は全額が所得控除の対象となり、毎年の所得税・住民税の節税効果が期待できます。 本制度は、老後資金の確保という本来の目的だけでなく、加入者が亡くなった場合には相続税対策としても活用することが可能です。 2 共済金と相続税の関係 小規模企業共済の共済金が死亡退職金として扱われ、非課税枠の適用を受けるためには、以下の事業継続要件と3年以内支給確定要件を満たす必要があります。 死亡退職金として認められる要件 事業継続要件:共済契約者が死亡する直前まで、個人事業主または会社等の役員として事業に従事していること…

21 5月 2025

【相続税】“死んだらあげる”という口約束に法的効力はあるのか?

目次 1 「死因贈与契約」とは何か? 2 口頭の死因贈与契約は有効?有効性とリスク 3 死因贈与契約のトラブルを防ぐには? 4 まとめ:確実な承継のためには書面化が必須 こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 相続の現場では、「父が生前に“死んだらこの家はお前にやる”と言っていた」「母から“預金はあなたに”と伝えられていた」といった、口頭での財産の約束に関するご相談を多くいただきます。これらは法的に有効なのでしょうか?そして、実際にその財産を受け取るにはどうすれば良いのでしょうか? 今回は、「口頭での死因贈与契約」に焦点を当て、法的な取扱いやリスク、トラブル回避の方法について詳しく解説します。 口頭での生前贈与について > 1 「死因贈与契約」とは何か? 「死因贈与契約」とは、贈与者の死亡を条件に、受贈者に財産を与える契約です。遺言と異なり、当事者双方の合意により成立する契約であり、死亡により効力が発生します。 死因贈与と遺言の違い 死因贈与契約と遺言の比較 項目…

21 5月 2025

相続時の注意点 老人ホームの入居一時金、返還金は遺産?

目次 1 老人ホームの入居一時金とは? 2 入居時の課税関係にも注意 3 返還金は誰のもの?トラブルになりやすい相続上の注意点 4 その他の関連論点 5 まとめ|返還金の税務判断は専門家に相談を こんにちは。富士市・富士宮市の飯野明宏税理士事務所です。 高齢の方が老人ホームに入居する際、多くの場合「入居一時金」というまとまった費用を支払います。この入居一時金、被相続人が亡くなった後に一部返還されることがありますが、この返還金は相続税の対象になるのでしょうか? 今回は、老人ホームの入居一時金の返還金が「相続財産」にあたるのか、また課税関係や注意点について詳しく解説いたします。 1 老人ホームの入居一時金とは? 老人ホームに入居する際に支払う「入居一時金」は、居住費やサービス提供に対する前払い金として扱われ、入居者が退去または死亡した際に、一定期間分の未償却分が返還される仕組みです。 返還金は契約内容により異なり、償却期間の途中で亡くなった場合、その未償却分が一定の計算式に基づいて戻ってくることがあります。 返還金の相続税上の取扱い 入居一時金の返還金は、原則として相続税の課税対象となる相続財産です。被相続人の死亡時点で、契約に基づき返還される権利(債権)として相続財産を構成します。…

20 5月 2025

特別寄与料とは?相続税の課税関係と注意点

目次 1 そもそも「特別寄与料」とは? 2 特別寄与料と相続税の課税関係 3 課税時期と申告期限の注意点 4 まとめ こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 今回は、令和元年の民法改正により新設された「特別寄与料」と、その支払いに伴う相続税の課税関係について詳しく解説します。   1 そもそも「特別寄与料」とは? 被相続人の介護や看護など、無償で長年にわたって尽力した親族がいた場合、その労務提供に見合う財産的な対価を「特別寄与料」として請求できる制度が、令和元年7月1日より施行されました。 これにより、相続人でない親族(例:長男の妻など)であっても、相続において金銭請求ができるようになった点が大きなポイントです。 特別寄与料の金額はどう決まる? 特別寄与料の金額は、以下の要素を総合的に考慮して決定されます:  労務提供の期間・頻度・内容  被相続人の介護度や必要性の程度…

20 5月 2025

被相続人の準確定申告の還付金 相続税の取り扱いと注意点

目次 1 準確定申告とは?まずは基本を確認 2 還付金と還付加算金の違いとは? 3 還付金は相続財産になる! 4 還付加算金は相続税の対象外!でも所得税がかかる こんにちは。富士市・富士宮の税理士の飯野明宏です。 相続が発生すると、被相続人が亡くなった年の所得について「準確定申告」を行う必要があります。準確定申告の結果、すでに支払っていた税金の一部が還付金として戻ってくることがありますが、そのとき気になるのが相続税との関係です。 今回は、準確定申告によって戻ってきた還付金や還付加算金(利息部分)が、相続税の対象になるのかどうかを分かりやすく解説いたします。 1 準確定申告とは?まずは基本を確認 被相続人が死亡した年の1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わりに申告する手続きが「準確定申告」です。 申告期限:相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内 提出先:被相続人の納税地を所轄する税務署 この準確定申告によって、過払いとなっていた所得税が還付されることがあります。 注意点として、納税が必要な準確定申告は4ヶ月以内が厳格な期限ですが、 還付のみの場合は5年以内まで申告可能です。ただし、相続税申告がある場合は、…